3-1 もうやだ!大事件ですよ ① ★人類滅亡まであと7日★
■■■人類滅亡まであと7日 ■■■■■■■
ミュー「お姉さん、大丈夫ですか?」(..;)
若い女性が、突然意識を失い足元から崩れる。
正面に居たミューミューは、自前の瞬発力で、
その女性をキャッチ。
ゆっくりと彼女をその場に寝かせる。
「キャー」 \(>_<)/
「キャー」
「キャー」
周囲のあちこちで悲鳴が鳴り響く。
ミューミューは立ち上がり壁際へと急く。
そして会場内を見渡した。
ミューミューが現在立っている場所は、
パビリオンとパビリオンをつなぐ橋の上。
多くの人が倒れいる光景が目に飛び込む。
その数は、100人や200人ではすまない。
数えきれないほどの人だ。
大変な事態が会場を襲った。
ミュー(何が起きてるの?毒ガス?催涙ガス?)
倒れた女性へ、耳元で話し掛けるも返事がない。
肩を軽く揺らしてもピクリとも動かない。
女性のタグを見て、健康状態が正常であることを確認する。
ひとまず命に別状がないことが分かり安堵する。
ミュー(どういうこと?)
ミューミューは自分に異変がないかタグを確認するも
特に異常はみられない。
タグとは、左腕に装着している幅10cmほどのブレスレット。
一見、アクセサリーのようにも見えるが、この世界での携帯端末だ。
ミュー>>ネロ、会場内で倒れた人が大勢出てるんだけど、
何が起きてるの?
ネロ >>各人が身に付けているタグから即効性の・・・
ネロとは、ミューミューのタグに内蔵されている
AI(人工知能)の名称。脳内で会話することができる。
「だれかー!」
後方の下から悲痛な男性の叫び声が耳に入る。
ミュー>>ちょっとまって。(‥;)
ネロとの会話を中断する。
後ろに振り向くと壁際に人だかりができている。
身を乗り出し下を眺めているようだ。
ミュー(あの人達が見ている先に叫んでる人がいるのね。)
ミューミューが現在居る場所は、地上から20mのところにある
アーチ状の橋の上。ちょうど中心に位置している。
ミュー「お友達は眠っているだけです。
健康に異常はないので安心してください。」
友達 「本当ですか?
どうして、そう言い切れるのですか?」
ミューミューは、倒れた女性の友人らしき人物へ、早口で
言うだけ言って、その友人の質問に返答せず、淡々と倒れた女性の
両脇に手を入れ、急いで人が居ない方の壁際へと引きづる。
友人はただただミューミューのすることを見守るだけだった。
ミュー「お友達に付いててください。」
友達 「あっ、はい。」
人溜まりは増え続けている。
まだ、注目されてるということは、
状況は変わってないと推測する。
ミューミューは走り、大きくジャンプする。
彼女が履いているシューズは、重力制御機能があり、
地面の重力を打ち消し大きくジャンプすることができる。
空中で側転しながら人溜まりを飛び越え、
5cm幅の壁の上へと着地する。
そして、仁王立ちのまま見下ろす。
階段の途中で4人の男性が固まっているのが見える。
どうも4人のうち、3人は立ったまま意識を失い
倒れ掛かっている。
1人が3人を支えている状況だ。
先ほど助けを求めた声の主は、恐らく支えている彼だろう。
手足がプルプルと震え、今にも力尽きそう。
階段は角度があり、このままだと4人とも
下の方へと転げ落ちそうな勢いである。
彼らの近くには、手助けできる人が見当たらない。
ミュー>>ネロ、眠っている人達はみんな生きてるの? (‥;)
ネロ >>はい、この会場で意識を失った人たちは
全員同じ症状によるものです。
タグから即効性の睡眠薬が投与され睡眠状態と
なった模様です。
今のところ健康的には問題ありません。
ミュー>>分かった。
ミューミューが壁の上に立ったことで、
周辺は少女へと視線が集まる。
おじさん「お嬢さん。危ないから。降りなさい。」(‥;)
こんなことろから落ちたら確実に死ぬ高さだ。
そばに居る年配のおじさんが、危険な行為をする
ミューミューに対し注意する。
だが次の瞬間、少女の取った行動は周囲を驚愕させた。
「キャー」
ミューミューは前方へと大きくジャンプして飛び降りてしまったのだ。
誰が見ても自殺としか思えない。
悲鳴はホールを響かせ、下にいる人たちにも届く。
そして一斉に見上げると、何てことでしょう。
少女が上から落ちてくるではないか。
中には下を向き目を背ける人や、逆に口を押さえて凝視する者がいた。
大勢の人々が落ちて行く少女の姿を目で追い、行く末を見守る。
ミューミューはジャンプする直前に、
救助者の元へ最短で行くようネロに指示していたのである。
それを受け、ネロはミューミューの全神経を奪い
身体をコントロールさせてジャンプした。
ミューミューは弧を描いて落下する。
傘が閉じたような形状をしたパビリオンの屋根を横切る。
この時、屋根を蹴飛ばし軌道を変えると同時に
落下速度を減速させる。
そして、助けを求めた男の真横へとピンポイントに
着地して見せ。
ミュー「よくがんばったね。もう大丈夫だから。」(^_^ )
ミューミューは笑顔で、倒れかかる2人の男性の間に顔を埋め、
両手を伸ばし2人の腹を支える。
2人の男は大柄で意識がなく、ミューミューへ全体重が
乗りかかる。
残る一人は、片足を伸ばし、のすねで男を支えるという
アクロバティックなことをやってのけた。
救助を求めた男は解放され、安心からか
力が抜けその場で座り込む。
ギャラリー「おぉー」
♪パチパチパチパチ (拍手)
目を背けず、一部始終を見ていたギャラリー達は、
少女への歓声と拍手を送り、ホール全体が響き渡る。
助けを求めた男「ありがとうございます。助かりました。」
男は心から感謝する。
あと数秒遅かったら、力尽きて下へ転がっていたかもしれない。
ちょっとだけ休みたい気持ちではあったが、よく見ると、
助けに来てくれた人は、細身の女性であることに気づく。
そして、どうみても十代だ。
なんてこった。
3人の大男を両手と片足で支えた上、残る1本の足で
倒れないよう踏ん張っている。
そもそも、どうしてこんな体勢が維持できるのか。
男は驚く。
助けを求めた男「この人、横に寝かせます。」
ミュー「大丈夫ですよ。休んでて下さい。」
助けを求めた男「無茶です。」
助けを求めた男は、ミューミューが足で支えている
男を横に寝かす。
ミュー「ありがとう。」(^_^ )
ミューミューの片足は解放され、
やっと両足で立つことができるようになった。
ミュー「私は大丈夫ですから、
その人、落ちないよう見てて下さい。」(^_^ )
笑顔で応対する少女を見て、心に余裕が生まれる。
そして1つの疑問が頭をよぎった。
この少女は、一体どこから現れたのか?と。
階段の上下に人影がなかたことは把握していた。
周辺を見渡しても、階段以外ここへ来る手段など
見つからない。
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