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狼ちゃんの告白と羊くんの狼狽。3
彼の震えは治るどころか、指先まで伝染している。一年以上片思いしているが、こんな彼は見たことがない。私は、つい上から下まで彼を凝視してしまった。
すると、彼がまた変なことを言ってきた。
「……お、おい! 威嚇してんじゃねーぞ!」
「威嚇? 震えてるから、大丈夫かなって見てただけだよ」
私がそう返すと彼は、目を見開いて大げさに胸を張った。
「……誰が震えてるって? これは、武者震いだ、武者震い! っか、か、かかってこい!」
彼の鼻息は荒い。
私は頭を整理することにした。
私、桜井ナノカは、彼、間宮キョウスケ君に告白しました。高一の春、一目惚れしてから高二の夏まで温めていた想いを。
結果は惨敗。ぜってームリとまで言われた。けれど名前は知っていてくれたから、私は嬉しくなって……
そうだ、そうだ。告白したんだ。
じゃあこの状況は何なのだろうか。
目の前彼はファイティングポーズとろうとしているけれど、正直腰が引けているのが一目瞭然だ。
というか、ケンカするつもりなのか?
頭がますます混乱した。