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異世界救命特務係異能科強化部長  作者: 灰葉 結城
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ダンジョン

「おいおい、ちょっと見ねぇ内にすっかり変わったなぁ」

俺は移転した後の光景を見て、呆然としていた。なぜかって?つい1か月前には城のようなその体がツタに包まれ、いかにも「ダンジョン」という感じがあったのだが、今はそのツタはなく石でできた壁も半壊状態だった。

「もしもし本部か?ライラにつないでくれ。名前?レイラと言えば伝わる。」

レイラが本部に電話をかけ、ライラを呼ぶ。王族からこの話を受けたのはライラだったからだ。

救命特務係異能科は基本異能を使って救命活動を行うわけだが、王族が救いたい命なんてここにあるのだろうか。

「もしもしライラか?今ダンジョンについたのだが、いったい何が今回の任務なんだ?ってはぁ?我々の任務は救命であり、モンスター退治ではない!お前も救命異能科であればそれぐらい知っているだろう」


レイラが少し怒ったような口調でいうのを見てイルナが少しひるむ。トタトタと俺の足元へ駆け寄ってきて、俺の服の裾を握っていた。

イルナは極端に争い事を嫌う。レイラから聞いた話では、昔いた兄が友人のけんかを止めようとして亡くなったのが原因だとか。


「なんだと?モンスターの腹の中に王子が!?それを早く言わないか、このたわけ!!」


「だということだ。早く向かわなければ王子の命はない。異能の準備はいいか?」

レイラの言葉に全員がうなずく。銃の安全装置を外し、両腕に一丁ずつ構える。

「救命特務係異能科、任務を開始する。目標物はダンジョン中層部、螺旋階段の柱付近だ。前衛は私、雪菜は現在中層部にて目標物を監視中だということだ。道中の敵は最上にまかせる。イルナの護衛を忘れるな。」

レイラがその言葉を言い終わると同時に俺達は一斉に駆け出す。最初の敵が見える。メガネの右側をコツコツと叩くと、敵の説明が聞こえる。危険度、最高値10の内6、攻撃タイプのオオトカゲ。左側が雌、右側が雄です。この距離では撃てないためもう少し距離を縮める。銃の最終安全装置を外し、引き金に指をかける。。

「半径20m以内に危険度6のオオトカゲを確認した。これより狙撃に入る。」

俺がそう言い終わると、イルナとレイラは身を低くしながらダンジョンの入口へ向かった。敵がこっちに気付く前にポイントを定める。確実に仕留めるためにはメスは左脳、オスは右脳を撃ち抜く必要がある。左右両方の銃のポイントが定まったところで引き金を引く。サイレンサーをつけていたおかげもあってあまり大きな音も出ず、辺りに黒いような赤いような血が飛び散ったのを確認して俺はダンジョン入口へ走り出した。途中何度かモンスターが見えたが、先ほどのように攻撃的なモンスター以外を仕留めている暇はない。

ダンジョンに入ると、左側に螺旋階段があった。螺旋階段を駆け上がり、中層部を目指す。

「最上だ。エリアナンバーを教えてくれ。」

今度はメガネの左側をコンコンとたたき無線機につなぎ、雪菜に連絡を取る。

「八神です。エリアナンバーは5,174で、今イルナとレイラが応戦中です。」

雪菜の声が聞こえ、少し安心もしたが、イルナが出てくるということは苦戦中なのだろうか。イルナの異能はあらゆる水を操ること。普段は聖水を作って戦いの後のHPやMP回復に使っているが、応戦しているということはイルナも敵に攻撃をしているということだ。イルナにとっては久しぶりの任務だからたぶん大技を使うと思う。ただあいつの大技はいろいろめんどくさく、使うとダンジョンそのものをたぶん溶かす。

「最上、イルナは金城王水を使う気だ。使った後イルナの護衛は私が行うから、王子の護衛はお前に任せる。何もしなかったらダンジョン自体が溶けるだろうから、八神にはシールドを張ってもらう。ただこの範囲だとシールドが持つのは10秒以下。瞬歩で逃げ出せ。」

レイラの言葉にうなずき、俺は銃をしまう。


「我、崇めし水の神。アルトート様、今こそお力をお貸しくださいませ。金城王水、レベルファイブ!」


イルナの放つ言葉が意味するものはわかっていた。金城王水のレベルファイブは今イルナが出来る最高難度の技であり、この世界で最も強い技の5つの中にも入っている技だった。

イルナの技が相手にうち放たれたところで俺は腹の中にいた王子を担ぐ。金城王水のおかげもあってか、腹の中にいた割には無臭だった。ダンジョンの壁を一部蹴り飛ばし、そこから俺は飛び降りる。

とてつもない浮遊感が俺を襲う。残り10m、7m、3m・・・着地だ。衝撃は着地の時にうまいこと削減できたようで、大きなけがはない。王子を見てもけがはなく、今はすやすやと眠っている。

「しっかしこの国の王族は美形がそろっていらっしゃる。この王子も鎧着てるってのに美少年ってのがすぐわかるしな。」

俺は王子の仮面を外し、その顔を覗く。銀髪に、高い鼻筋、真っ白な肌に青い目と緑の目。なるほど、オットアイか・・・ってうわ。王子起きた。

「あなたは…その目の色は異能保持者の方でしょうか?僕はローザンアイランドの第一王子、サン・グレイス・ローザンです。」

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