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短編集  作者: 柚樹
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緑色の世界

気が付くと、私は街中に立っていた。

そこは自分のよく知る場所で、周囲には沢山の人が行き来している。

しかし、不思議な事に私以外の人間は頭から爪先まで緑色をしているのだ。

さて、これは一体何なのだろうか。

声をかけつつ、呼び止めるつもりでそっと近くにいた人の肩に手を置く。

瞬間、私が手を置いた場所から順に、さらさらと砂のようになり崩れていった。

突然の事に驚いて、一歩後に下がると誰かと肩がぶつかる。

振り返ると、そこには先程と同じようにさらさらと崩れ落ちていくものがあった。


私が触れると砂になって崩れてしまうのだと理解する。


いつの間にか、周囲を歩いていた人間は皆立ち止まり、じっと私を見ていた。

私に集まる虚ろな視線。

お前が悪いのだと責めるかのようなその視線。

それから逃れたくて、後ずさった私の背中に何かが当たる。

振り返ると、そこには電柱が立っていた。

見慣れた灰色をした電柱にそっと、触れる。

手に伝わるのは、冷たく硬いただの石を触った感触だけ。

触れても崩れなさそうなその感触が、今の私にはとても嬉しい。

そっと目を閉じて、安堵の溜め息をつく。


次に目を開けたとき、見慣れた色をしていたはずの電柱が緑色になっていた。


いや、電柱だけではない。周囲の建物や草木や空さえも、私以外の全てが緑色になっていた。


さらさらと音をたてて目の前で電柱が崩れていく。

そして、そこを中心に私以外の全てのものが順に崩れ落ちていく。


私は、崩れ落ちた緑の砂が足元に流れ込んでくるのを感じながら、ただ呆然と全てが崩れ落ちていく光景を見つめていた。

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