7. 引き続き”あのエンド”について考えてみました。
7/1 改稿しました。内容が微妙に変わってます。
冷たいお茶を一気飲みして部屋に戻る。そしてすぐにパソコンを立ち上げた。昨日から前世の記憶を整理してたのとは別の新しいメモ帳のファイルを作る。
そして一番上に”《冥王》エンドの可能性について”と打つ。
皆様ご存知の通り、恋愛趣味レーション系のゲームには各キャラの数だけエンドがあり、またキャラごとにも最終的な好感度などの状況によってエンドのレベルが変わったりする。【今キミ】もそのタイプのエンディングだった。
攻略対象は隠しキャラを含め8人。そのうちの5人がメインキャラで、彼らにはハッピーエンド、ノーマルエンド、ヤミエンドの3種類が存在した。ヤミエンドについてはご想像にお任せする。個人的な意見を言わせて貰えば、心がうち震えるほどに楽しませてもらったエンドだ。そして隠しキャラは3人。こちらはキャラによって存在するエンドが異なる。
隠しキャラの1人は《王子》。《王子》はハッピーエンドしか存在しない。攻略方法が特殊なのでということもあるのだろう。
もう1人の隠しキャラは《女騎士》。【セント・ファタジア】の勇者パティの唯一の女性であり、【今キミ】では攻略対象の1人となっている。攻略対象といっても、残念ながら彼女にはノーマルエンド、つまり友情的なエンドしか存在しない。開発段階でかなりもめたそうだが、純粋な乙女ゲームにしようと百合要素は排除したそうだ。ヤミエンドはどうなのよってツッコミは開発グループまでどうぞ。
そして、問題なのが最後の1人。
3人目の隠しキャラ、《冥王》。
話は若干前後するが、”ヤツ”の存在を語るために【セント・ファンタジア】のストーリーを軽く説明しておこう。
舞台は【人族】と【魔族】が存在する世界。互いが互いを忌み嫌い、長きにわたって領土争いを繰り返し、世界は疲弊しきっていた。いい加減に【魔族】との決着をつけなければならないと考えた【人族】のトップであった王様は、異世界から《勇者》を召喚する。《勇者》は王様の命により【魔族】の長《魔王》を倒す旅に出る。様々な困難を乗り越えながら仲間を集め、世界を救う鍵を握ると言われる《聖女》を探し、《魔王》を討ち果たすのが《勇者》の使命だった。
《勇者》は見事《魔王》を殺し、【魔族】は滅亡、【人族】の永久の繁栄が訪ずれた……と、行かないのがこの【セント・ファンタジア】の特徴だ。
《勇者》と《魔王》が対峙した時、冒険の中では見つけられなかった《聖女》が現れて、両者に告げる。
「これは、仕組まれた戦いなのです。ここままあなたたちが戦い、滅ぼし合うことこそ、この世界の裏で糸を引くものの目的なのです」
「彼ものの名は、《冥王》」
ぬぉぉぉ、思い出してたらまたプレイしたくなってきた!
ともかく、要約すると【セント・ファンタジア】は《勇者》と《魔王》の対決かと思ったら、実は《創造主》と敵対する《冥王》がラスボスで、物語の終盤では《魔王》まで操作パーティに組み込めるゲームなのである。そして見事に2つの種族が協力し、ラスボスである《冥王》を討ち果たしてハッピーエンドとなる。
そんな《冥王》は派生ゲーム【今キミ】でもラスボスとして君臨している。
隠しキャラである《冥王》にも他の2人と例外なく、1つしかエンドは存在しない。
ご察しの方もいるだろう。そう、《冥王》にはヤミエンドしか存在しない。
《冥王》のヤミエンドは、”病み”ではなくまさに”闇”。
別名”世界滅亡エンド”、なのだ。