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15. 体育祭①




 木戸事件が起こって以来、私は資材室に近寄るのをやめた。そうすることで自然と《魔王》と会うこともなくなった。せっかく見つけたオアシスだったのに勿体無い気もしたが、助けてもらった《勇者》の助言だし、これ以上木戸に目をつけられるのは御免だったので渋々断念した。


 その代わり、私は真白に癒しを求めることにした。活動班は違うし、《勇者》との仲が早く進めばいいし、2人のいい雰囲気を邪魔しちゃいかんと思って生徒会の仕事をしてる時は真白にべったりなのはやめとこうと思ってたんだけど、心の潤いが足りなさすぎて限界だった。たまにヘタレると真白に会いに行くという 行動を繰り返し、私は立派な2人のお邪魔虫と化していた。

 ごめんよ、《勇者》……。私は君の恋を心の底から応援してるんだ。でも、私の心にも潤いが必要なんだ。じゃないと干からびちゃうから。





 そんなこんなやってたら、体育祭当日となった。物資調達班は当日各競技の道具設置や回収、ライン引きなどが主に仕事に変わる。これが結構大変。道具が足りなかったり、ラインの位置が違ったりすると、せっかく練習したのにそれが意味をなさなくなってしまう。

 ちなみに学園の体育祭の練習はたった1日しかなかった。各競技の入場位置や待機位置、退場位置などを流しでやっておしまい。なので、生徒会と学級代表で結成された体育祭運営位委員会の指示がなければ、全く進行しない体育祭なのだ。

 こんなんならなくてもいいんじゃないかな?とも思うだけど、競争ごとが好きな人たちはやっぱりいて、こっそりクラス全員を巻き込んで練習に打ち込んだりするところもあるらしかった。クラスの団結を深める、というのがこの体育祭の目的でもあるから、彼らは立派にその本分をやり遂げたとうことになる。うん、 実に素晴らしいことだね。



 ちなみに、私はたとえ競争ごとでも誰かと争うなんて遠慮願いたい超平和主義者なので、体育祭というより、生徒会として与えられた仕事を社畜のようにこなしていくだけだ。



「平野さん、撤収が済み次第、次のライン引きをお願い!」

「はい!」

「あ、あそこ1つ棒が足りてないわ!急いで持って行って!」

「はい!」

「赤組と白組の配置が逆よ!急いで誘導係りに伝えて!」

「はい!」



 ……副会長、なぜ私ばかりに指示を飛ばすのですか?私末席の平平要員なんですが。まぁ、文句は口には出すまい。上司の言うことは絶対だ。副会長も指示を出しているだけではなく、全体の様子を見ながら穴があかないよう、的確な人員配置を行っている。うん、この体育祭は副会長によって運営されたと言っても過言ではないな。


 そんな私も1つだけ競技に出た。半分以上が参加する100m走。もちろん、足は早くないが、他の競技がハードすぎてこれが一番楽な種目なのだ。案の定どんけつでゴールした私は全くチームには貢献できなかった。

 そのゴールテープも白線引くための粉も、順位を示す旗も発注したの私だから許してください。


 一方、真白はほとんど全種目に出ていた。そしてほとんどで1位になった。1位になるたびに私のところに嬉しそうに手を振りに来る。



「奈美ー!また一番になれたよ」



 うーん、なんてかわいいんだ。疲れも一気に吹っ飛ばしてくれるスマイルだ。



 そんな体育祭にも終わりはやってくる。あと一種目でこの体育祭も幕を閉じる。ここまで準備に追われていた私も、最後の競技でもう準備するものがないのでゆっくりと競技を見れる。やっと真白の勇姿を見ることができますよ!ぃやっほい!


 うちの学園では毎年紅白対抗リレーが最終種目なのが伝統らしい。ちなみに紅白はクラス単位で分かれており、リレーでは赤白それぞれ3チームずつ、つまり全6チームで勝敗を競う。A組は白だった。《勇者》のD組も白組でしかもリレーでは同じチームだ。



 そしてそして、なんと真白と《勇者》の2人は男女のアンカーとして走る。



 普通こういう時3年がアンカーをするもんだと思うんだけど、是非ともということで2人に大役が回ってきたらしい。美男美女の活躍を見たいという気持ちはみんな同じなんだろうな。うん。

 私も運営委員会本部という名の特等席でしっかり2人の勇姿をたのしませていただきましょう。ビデオも三脚に立ててしっかり固定したし、準備は万端!さぁ、いつでも走り出してくれたまえ、真白くん!

 ん?なんで膝の上に救急箱持ってんだって?それはねぇ……。



 このリレーとこの展開、【今キミ】のイベントと一致してるんだよねぇ。




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