13. 体育祭準備③
久々の投稿。
あの日から、真白と《女騎士》とは一切しゃべらないまま一週間が過ぎた。真白は教室で何回か話しかけようとしてくれたけど、回りの女子達がそれを阻止しようと間に割ってくる。
こういうのが目に見えてたから、余計に真白とは一緒にいたくなかったんだよね。別に、真白のためとかじゃない。たとえ私に味方したって、真白がいじめの対象になるなんてありえないからね。
だから、突き放したのは完全に自己防衛。私が完全に独りになれば、私のこと気に食わないと思ってやる奴も満足するだろうし、うまくすればそのままほとぼりが冷めて標的を変えてくれるかもしれない。
そんな理由で真白を突き放して傷つけるなんて、我ながら最低だと思う。
前世と比べれば、いい学園生活送れてるなんて調子乗ってたけど、そんなの勘違いだった。そもそも私が真白に近づいたのは、《冥王》の降臨を知っていながらスルーしたら自責の念に押しつぶされちゃうとかいう、こりゃまた自己防衛のためだった。
そんな私が今またぼっちになってるのは、自業自得としかいいようがないか。
「は?なんでアンタの言うこと聞かないといけないわけ?」
つまり、この状況も単なる自業自得。放課後、生徒会室の隣の教室。体育祭の準備の仕事を振ってたからその進捗を聞いたんだけど、同じ班の2年の女子から返ってきた答えはそれ。
あーあ、とうとう生徒会の後輩までこの態度ですか。まったく覚えがないんだけど、どうやら私はいつの間にかたんまりと敵さんを作ってしまっていたらしい。一体何が気に食わないんだろうね?実際聞いてみたら、存在自体、とかいう答えが返ってくるから、聞いたりしないけど。
嫌いなのは結構だけどさ、体育祭の準備にも関わってくるから、仕事はちゃんとしてほしいんだけどなー。まぁ、会社でも気に食わない奴の業務妨害なんて平気である世の中で、”仕事だからちゃんとして”なんて学生に言ったところで無駄だろうけど。
「おい、平野」
「あ、武蔵野せんぱぁい」
隣の教室で会議をしていた《勇者》が顔を入り口から声をかけてくる。《勇者》の姿を目にした途端、さっきまでこっちを見下していた悪役面を引っ込めて、満面の笑みで《勇者》に駆け寄っていく2年の女子。語尾にはハートマークがついてそうだな。女の変わり身って本当恐ろしいね。
「頼んでた仕事できたか?」
「あー、ごめん、まだ」
今週中にって言われてた仕事があったんだけど、こっちは手一杯で2年の女子に仕事ふってたんだけどね。さっきの女子の返答からして、これっぽっちも進めてないのは間違いない。
それを正直に《勇者》に言ったところで、この女子から余計にうらみ買うだろうからなー。さて、なんて言い訳しよう。
「なんで手伝ってやらないんだよ」
なんて考えてたら、《勇者》が珍しく怒った顔で後輩女子を睨む。あ、もしかして心読まれちゃったのか?何も言わずに状況把握してくれるのはありがたいんだけど、この女子に問うてみたろころで、むちゃくちゃな言い逃れしてくるだけだと思うけど。
「ひ、平野先輩が1人でやるって言い張ってー」
誰がんなこと言うか。この後輩女子、予想以上に意味わからん返答したな。そんなの心読まれなくても嘘ってばればれでしょうよ。
案の定、さっきよりも《勇者》の表情が険しくなる。うん、イケメンが睨むと迫力あるね。いつもやさしい《勇者》先輩が怖い顔してるから、後輩女子もおびえちゃってるよ。
「お前が1年と責任もって終わらせろ」
「えっ!?」
「平野、ちょっとこい」
おー、怒った《勇者》、こわっ。驚く後輩女子をガン無視して、こっちに話しかけてくる。そして、私を睨む後輩女子。さしずめ、《勇者》に怒られたのを私のせいだとでも思っているんだろう。私は君をかばって言い訳してあげようと思ってたんだよー。なぁんて言っても信じちゃもらえないだろうね。
あーあ、またヘイトあげちゃったよ。《勇者》に悪気がないどころか、私のこと心配してくれてのことっていうのはわかるんだけどねー。こういう場合、放っといてもらうのが一番だったりするんだよね。
ひとまず、春が終わるまでは毎日投稿予定。




