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4. アミューズメントパーク①




 《魔王》いわく、どうやら《暗殺者》にはそういった趣味はないらしく、確かに今まで彼女ができた様子はなかったそうだが、ストレートだと思う、とのことだった。

 おかしいなー。体育祭の様子からして真白に全然ときめいてないっぽいから、てっきり恋愛対象が女じゃないんだとばかり思ってたんだけど……。

 やっぱあれかな、もう1つの可能性のめちゃくちゃきっついツンデレってことかな?でも、《魔王》のダブルデートに協力してあげたりしてるし……真白のことは好きだけど《魔王》命!見たいなやつだったって《吟遊詩人》も言ってたし、《魔王》>真白ってこと?

 うーん、よくわからん。



「奈美、お待たせ!」

「おはよう、真白」



 日付は例の土曜日。現在地、待ち合わせ場所のアミューズメントパークの入り口の前。そこで《暗殺者》ゲイ疑惑について悶々と考えていたら、真白が私を見つけて駆け寄ってきた。

 白いミニTシャツに青い短パンにスニーカーっていう、すっごく動きやすそうでシンプルなかっこうの真白だが、そんなシンプルな服装でも真白は今日も半端なくかわいい。まず短パンから伸びる白くて長い足が魅力的なのは言うまでもないけど、ミニTシャツでちょっと見えそうなおなかとか、ぴっちりしてるからしっかりわかる胸の感じとか、シンプルゆえに危ないポイントがいっぱい。

 パークに入ってこうとしている人々が思わず二度見するほど、今日も真白は輝いている。真白もこうみえてコースター系大好きだから、動きやすい格好で着たんだろうな。うん、はしゃいでる真白もかわいすぎる。



「早かったんだね、何時についたの?」

「5分前くらいかな?」



 本当は20分くらい前にはついてたんだけどね。真白と何か約束してるときは、基本的に待ち合わせ時間よりかなり早くしてる。真白も待ち合わせ時間より早くくるんだけど、そんな真白を1人で待たせるなんてこと、させられないからね。こんなかわいい子が1人で立ってたらナンパされないわけないし。現に、《勇者》とのデートのときに1回それ起こってるしね。

 しかし、女子より後に来るなんて、減点だぞ、《魔王》。あ、どこぞの小姑みたいな思考になっちゃった。



 《魔王》と《暗殺者》が来たのはそれから5分後、つまり待ち合わせ時間ぴったりだった。



「悪い、遅れた」

「大丈夫、時間ぴったりだよ」



 やってきた《魔王》たちに真白は笑顔を向ける。その笑顔に《魔王》の表情は一瞬にして崩れていた。またあわてて口元を手で隠そうとしていますが、無駄ですよー。



「えっと、小夜時雨隼人君だよね?この間は自己紹介しなかったけど、私、真白清華です。今日はよろしくね」

「……どうも」



 おいおいおいおいおいおい!真白が気を利かせて自分から自己紹介してるって言うのに、『どうも』の一言で終わりかよ!てか、一応《暗殺者》って私たちの後輩に当たるはずなんですけど!?礼儀とか、そういう概念ゼロですか!!?



「ちょっと……躾がなってないんじゃないの?」

「俺はあいつの親じゃない。まぁ……あいつはあんな感じで誰にでも無愛想だから、気にしないでやってくれ」

「わかった」


 《魔王》のフォローに苦笑しながら真白はうなずく。そこで納得してあげちゃうなんて、真白は優しすぎるよ。てか、ダブルデートの相方に、こんな態度悪くて無愛想な奴つれてくんなっつーの!


「あ、あとこっちが前にも話した平野奈美だ」

「……」


 おい、《魔王》。今、『前にも話した』とか言ってたけど、《暗殺者》と私のことを話題にしてたことがあるってことか?一体、私について何を話してたというんだ……。

 そして、《暗殺者》。お前は相手が目の前にいるにもかかわらず、いつもの調子でガン飛ばしてくるんじゃない!


「よ、よろしく……」

「……」


 まぁ、大体予想してたけど、やっぱ私には反応すらなしですよね。すぐさまそっぽ向いちゃったし。やっぱこれは、真白への態度はツンデレ故に、私にはなんか知らんが純粋な嫌悪感を抱いていると見るべきか……。

 しかし、《魔王》よ、もう1回言うけど、何で《暗殺者》をダブルデートの相方に選んじゃったんだよ?キミ、他に友達いないの?



「じゃあ、行くか」

「うん」



 《魔王》と真白が並んで入場口に向かう。うーん、こうして2人が並んでるところを見ると絵になるなぁ。《魔王》のほうがかなり背が高いから、真白がちょっと上を見上げる感じで話してるのがすごくかわいい。これぞ身長差萌えというやつか。いいねぇ。


「……」

「……」


 ……って、2人の姿に見とれてる間も《暗殺者》に睨まれ続けていた!もー……この人何なんだ。睨んでくるだけで、なんか言ってくるわけじゃないからホントわけわからん。



「隼人、行くぞ」



 先に行ってた《魔王》がそう声をかけると、やっと《暗殺者》は入場口に向かって歩き出した。《魔王》の言うことは素直に聞くんだね……。今世でも前世同様《魔王》命!っていうのは変わってないみたいだな。



 それにしても、《暗殺者》としゃべる絶好の機会だと思ってたのに……あんなにガンガン睨まれちゃったら、いくら私でもさすがに話しにくいんですけど。


 ってか、あれは話しかけてくんなオーラのような気もするし……。


 これ、話するチャンとかあるのかな?



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