斯くして、彼女は愛を問うに至れり
この冬、最初に雪が舞った日の朝。
長い、とても長い思索を経て、白い少女は自らが至った答えを呟きました。
「あの方たちは、間違えています」
人と神との狭間に立つ身ではあれど、此度ばかりは神も教義も関係なく、ただ一人の人間として自分の言葉で言いました。
「それでは、駄目なのです」
この彼女にあの三人の間の、極めて私的な関係性に口を挟む権利があるか否か?
無論、そんな権利があるはずも無し。
他の誰にだってそんな権利はありません。
「今のままでは、それは……なんだか、良くないと思います」
されど、権利の有無などに関係なく、神子は口を出すことを決めました。道理に反している事も、本来無用であった不和や混乱を生みかねない事も承知の上で。
これから彼女がしようとしているのは、例えるなら釦の掛け違いを正すようなもの。当事者たちが未だ気付いていない、あるいは彼ら自身が誤解している前提条件を、正しく置き直す。
「ワタクシを傲慢だとお思いですか?」
『はい。でも、そういう、人間の人間らしさというものが、女神は結構好きなのです』
「人間らしさ、ですか」
『ええ。普段の貴女は、迷いも悩みも無さすぎますから。ですが、今回は教義を抜きに自分の頭で悩んで答えを導いたのでしょう?』
「その答えが間違っているかもしれません」
『それでも良いのですよ。ただ神の教えに従順なだけの、絶対に間違いを犯さない人形など、見ていても退屈なだけですから』
神子の半身、女神は堂々とそう嘯きました。
教義とは、人が善く生きる為の指針ではあれど、人を縛る鎖に非ず、と。
「それでは、お節介を焼きに参りましょう」
お待たせしました。
今回は短め&今回だけだと多分意味不明ですが。





