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迷宮レストラン  作者: 悠戯
小さな恋の物語

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ss 炊き込みご飯

二百回記念SS、その①。

今回のお題はmimizu様から頂いた『炊き込みご飯』&『リサ』の組み合わせです。

mimizu様、どうもありがとうございました。


 「赤子泣いてもフタ取るな」とは日本に古くから伝わる炊飯の注意点を分かりやすく表した言葉です。

 炊飯の途中でフタを開けると、中の蒸気が逃げてしまってお米が台無しになってしまうので、それを戒めるためにこんな言葉が生まれたのでしょう。電気炊飯器が普及しきった現代では、ほとんど聞かなくなった言葉でもありますが。


 こういう言葉が残っているということは、ついつい炊飯中のお釜のフタを開けてみたくなった人が、昔から大勢いたのでしょう。

 たしかに、ご飯がうまく炊けているか気になって、あるいは美味しそうな匂いに誘われて、お釜の中身が気になってしまうのも無理はないのかもしれません。







 ◆◆◆









「鶏肉、油揚げ、人参、コンニャク、キノコは……椎茸と舞茸、両方とも入れちゃえばいいか」


 学校から帰ったリサが、自宅の、お店のほうではない台所キッチンで夕食の準備をしていました。本日の主食は普通の白いご飯ではなく、具沢山の炊き込みご飯です。

 醤油と酒、そして具の干し椎茸を戻した際の出汁で炊くので、ご飯自体が旨味をたっぷりと吸い込み、おかずがなくても何杯でも食べられそうな味になります。


 炊き込みご飯の調理行程というのは意外にシンプルです。食べやすいサイズに切った具材をお米や出汁と一緒に炊飯釜に入れ、あとは加熱するだけ。

 もちろん極めようとすれば無数に手を加える余地はありますし、昔ながらの炭火釜で炊こうとしたら絶えず火加減に気を配る必要がありますが、電気炊飯器ならば材料をセットしたら、あとはボタン一つで終了です。


 シュウシュウと蒸気の噴出口から吹き出る香りは、じょじょに食欲をそそるものに変化していき、釜の中への期待も時間と共に膨らんでいきます。今回は欲張ってキノコを二種類入れたのですが、そのお陰と言うべきか、あるいはそのせいと言うべきか、フタを開けてもいないのに香気が台所に充満し、気を抜くとお腹の虫が鳴いてしまいそうです。


 数十分後、ピ、ピ、ピと、炊き上がりを知らせるタイマーの音が鳴り、炊飯器のフタを開けるとむせ返りそうな蒸気がモワッと立ち上ります。雲のように白かった米粒は、これでもかと出汁を吸い込み瑞々しい若木を思わせる薄茶色に色づいていました。



「味見、味見、と」



 食べる前から見ただけで美味しいことを確信できる仕上がりではありますが、だからといって見ただけで満足できる道理などあるはずもありません。



「うん、おいしいっ」



 鶏肉の旨味やクニクニとしたコンニャクの食感、薫り高いキノコも素晴らしいですが、やはり主役は具材全部の味と香りが染み込んだご飯そのものでしょう。モチモチとしたお米の甘みに塩気と旨味が重なり、それはそれは素晴らしい味わいになっていました。





「そうだ、明日のお弁当用におにぎりも作らなくちゃ」


 炊きたてをそのまま食べても当然美味しいのですが、一晩置いて冷めた状態になっても、それはそれで別種の美味しさがあるものです。

 翌日のお弁当用に回すのをあらかじめ見越して多めに炊いておいたので量は充分。冷えてしまったら握りにくいので、リサは温かい状態のご飯を次々とおにぎりにしていくのでした。



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