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迷宮レストラン  作者: 悠戯
双界の祝祭編

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154/382

閑話・■■■■


 さして広くもない殺風景な部屋。

 あえて灯りを点けていないのか、深海のように深い闇が揺蕩たゆたう伽藍洞。



「さて」



 暗闇が煙る室内に澄んだ女の声が響きました。

 部屋には他に誰の姿もなく、会話をしている風ではありません。



「ここまでは万事が万事、予定通り」



 コツコツと硬い靴音を鳴らし、ゆっくりと円を描くように歩きながら女は呟きました。

 独り言、なのでしょうか?

 自身に言い聞かせるように、考えに間違いがないのかそうして確認するかのように、断片的な言葉を紡いでいきます。



「そういえば、監視の気配はいつの間にか消えていましたね。誰だかは分からずじまいでしたが……まあタイミングからして大方の想像はつきます」



 コツコツ、コツコツと歩みを進め、窓際まで来たところで青白い月明かりが女の横顔を照らしました。銀糸のように細く輝く髪を手慰みに指で弄びながら、コスモス・・・・は独白を続けます。



「あの方が敵に回る可能性はまだ否定できませんが、現状は妨害の気配も感じませんし、どうやら静観の構えのようですね」



 情報の漏洩など先刻承知。

 その上でなお、目的達成の為の策を十重二十重に準備しているのです。仮に第三者の妨害があったとしても即座に軌道修正できるように。



「もう少し……もうすぐ私の■■■■が」



 その未来を夢想してか、コスモスの口の端は自然と上がり穏やかな、それでいてどこか切ないような微笑を浮かべました。


 しかし、それも一瞬。

 万が一にも失敗は許されないとでも言うように、すぐさま気と表情を引き締めて、計画に穴がないか再度の検証を、もう何百回、何千回と繰り返してきた思考を更に重ねます。


 あらゆる不確定要素や偶然までをも考慮し、一切の油断も緩みもなく、ただひたすらに、延々と。その思考の大半は実際には起こりえない妄想、徒労だと分かった上でなお。

 コスモスは己の一番最初の、そして今なお続く渇望を満たす為に、どこまでも、どこまでも深く思考の海を泳ぎ続けました。




勘の良い方は■の中の文字に気付いたかもしれませんね。

答え合わせは今後の展開をお待ち下さい。

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