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迷宮レストラン  作者: 悠戯
双界の祝祭編

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ss 四天王の昼休み

百話記念企画⑤

今回のお題はFool様に頂いた『四天王男性陣&ドンブリ物』です。

Fool様、ありがとうございました。


「おや、君たちもこれから食事ですか」


「おお、奇遇だな。たまには一緒に食うか」


「いいっすね」


 ある日のお昼時、魔王城の食堂で四天王の男性陣三人が出くわしました。普段から魔王城で仕事をしているヘンドリックは日常的に食堂を利用していますが、ガルガリオンとサブローは魔界内の色々な場所を回って仕事をしているので、この食堂で見かけることはあまりありません。



「今日はたまたま近くまで来たんでな、ちょっと寄ってみたんだよ」


「オレは肉の納品に来たんすよ。良い具合に熟成の進んだ牛肉があったんで、さっき料理長に渡しといたっす」



 サブローが厨房に視線を向けると、料理の下ごしらえをしていた料理長が艶かしいウインクを飛ばしてきました。筋骨隆々のマッチョマンのウインクには形容しがたい迫力があります。

 料理長は四本の腕を巧みに操り、肉のスジ切りと野菜の皮むきと鍋の火の調節を同時にこなしています。



「ほう、牛肉ですか……なるほど、今日のオススメはステーキ丼と牛丼のようですね」



 ヘンドリックは食堂内にある、その日のオススメを書いたボードを確認しました。


 魔王城の食堂で出しているステーキ丼は、牛の赤身肉をミディアムに焼き、肉汁と醤油ベースのタレをかけてワサビを添えた人気メニューです。


 一方の牛丼は牛の薄切り肉をタマネギと一緒に甘辛い味付けで煮込みご飯に乗せた定番料理。希望すれば生卵も付いてきます。



「さて、どっちにしましょうか?」



 ヘンドリックはその明晰な頭脳をフルに活用し、どちらのメニューを選ぶべきかを冷静に計算します。たかが食事と侮るなかれ、この昼食での満足度が午後の業務の能率に大きく影響するのは明らかです。

 メニューの選択肢はオススメ以外の定番メニューもありますが、『良い牛肉が入った』という情報により今回の候補からは外れています。



「俺はステーキ丼と牛丼、どっちも大盛りで頼む!」


「料理長、オレも両方大盛りで頼むっす。あ、あと生卵も!」



 どちらを食するべきか悩むヘンドリックを尻目に、ガルガリオンとサブローは身も蓋もない注文をしていました。どちらにするか迷うならば両方とも食べてしまえばいいのです。



「料理長、私にはステーキ丼を普通盛りで。あとサイドメニューで牛皿とサラダを付けてください」



 あまり食べ過ぎても午後の作業効率が落ちてしまうのですが、どちらか片方だけしか食べれないと、それはそれでもう片方が気になってしまいそうです。ヘンドリックの冷静かつ的確な判断力により、このような注文に決まりました。決して妥協ではありません。



「「「いただきます」」」



 ガルガリオンとサブローはガツガツと、ヘンドリックは上品に食べ進めます。食べ方一つとっても性格が見え隠れしているようです。



「おお、美味いじゃねぇか!」


「ええ、大したものですね」


「うんうん、美味しく食べて供養してやらなきゃっすね」



 ステーキ丼は赤身中心の肉を使用しているので、見た目のボリューム感に反してサッパリと頂けます。しっかりと火は通っていても固くなっておらず、肉の旨味をじっくりと楽しめます。


 牛丼の方は反対に煮汁に溶け込んだ脂の美味さを存分に楽しめます。甘辛い濃厚な味付けは一歩間違えば下品にもなりそうですが、脂の質が良いためか、はたまた料理人の腕が良いおかげか、最後まで飽きることなく食べられます。



「「「ごちそうさま」」」



 しばし黙々と食べ進み、ものの十分ほどで三人とも昼食を終えたようです。食器には米粒一つ残っていません。熱いお茶を飲みながら、そのまましばらく休憩し、



「さて、そろそろ仕事にもどりますか」


「おう!」


「うっす! それじゃ、また」



 こうしてお昼休憩を終え英気を養った三人の男達は、各々の午後の仕事へと向かうのでした。



4/17までお題募集中です。

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