ss アリスとリサとフィッシュアンドチップス
百話記念企画④
今回のお題はTony Lewis様に頂いた『アリス&リサ&フィッシュアンドチップス』です。
Tony Lewis様ありがとうございました。
※本日三話目の投稿です。
ある日のお昼時、一緒に買物に出ていたアリスとリサは近くにあった屋台で昼食を購入しました。こんがりと揚げたタラのフライとフライドポテトの組み合わせ、つまりはフィッシュアンドチップスです。お酢とタルタルソースもセットで付いてきました。
「あら、意外と美味しい」
「『意外と』ですか?」
地球ではイギリスの定番料理として知られるフィッシュアンドチップスですが、その評判は良いものばかりではありません。リサもイギリス料理に対する諸々の評判は知っていたので身構えていたのですが、どうやら今回買った物に関しては心配はいらないようです。
サックリ揚がった衣を噛み切ると中からホクホクの魚の白身が出てきて、それがサッパリしたお酢とよく合っています。
タルタルソースとも相性が良く、魚の合間に食べるポテトも口直しとして良い仕事をしています。驚くほどに美味しくはないにしても、少なくとも不味くはありません。
「鮮度の落ちた魚を使うからアンモニア臭が出ていたり、古くなった油を使い回すせいで食べると胸焼けしたり、新聞紙に包んで売ってるからインクが滲んでインク味になったり……みたいな噂を聞いてたんですけど杞憂でしたね」
「それはあまり食欲が湧きませんねぇ」
それらの噂が事実“有”根なのがかの国の恐ろしいところですが、それも努力と工夫次第でどうとでもなります。色々と悪名高いイギリス料理ですが、材料と料理人の腕がそれなりならばちゃんと美味しくなるのです。
「要するに魚とお芋を揚げた物ですから天ぷらの親戚みたいなものですし、極端に不味くなることはないですよね」
「なんにせよ、食わず嫌いはいけませんよ」
食わず嫌いはいけないと言っている当のアリスも納豆だけはダメだったりするのですが、それはそれ、これはこれ。
「この味ならケチャップとかも合いそうですね」
「今度うちのお店でも出してみましょうか」
こうして、何故か英国とは縁も所縁もない異世界で、リサの中でのイギリス料理の印象が改善されたのでした。
まだまだお題募集中です。
ガンガン書きます





