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迷宮レストラン  作者: 悠戯
双界の祝祭編

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ss 神子 vs ケーキゴーレム

百話記念企画③

今回のお題は天城様の『神子 vs ケーキゴーレム』です。

天城様、ありがとうございました。


※本日二話目の投稿です


「おかわりをお願いしますわ」


「むう、なんと……本当に人間でござるか?」


 ある日のこと、ケーキゴーレムが管理しているスイーツダンジョンに神子がやってきました。ちょっとした小島くらいの大きさの陸地には、多種多様なお菓子モンスターが平和に暮らしていたのですが、それらは現在進行形で絶滅の危機に瀕しています。


 既に島の生物の九割以上が神子の胃袋に消え、世にも珍しいジュースの川や蜜の泉なども一滴残らず飲み干されてしまいました。



「さあ、これならどうでござる!」


「まあ、ゴーレムさま、ありがとうございます」



 ゴーレムは残った魔力を振り絞り、家屋ほどに巨大なグリフォンを生み出しました。本来であれば鷲の頭部と翼を持つ獅子という強力な魔物ですが、今回はその形を模したお菓子製です。瞳はグミ、翼はクッキー、頭部と胴体はチョコで四肢は飴細工でできています。


 巨大なグリフォンは足元の神子を見ると、勢いよく食べ……られにきました。お菓子モンスターは本能的に人に食べられることを望んでいるのです。



「ごちそうさまでした」


「し、信じられぬ……!」



 明らかに神子の身体より体積の大きかったグリフォンは、ほんの一分も保たずに消滅してしまいました。



「いったいその身体のどこに入っていくのでござるか!?」


「ふふ、それは乙女の秘密ですわ」



 乙女の秘密は時に物理法則すらも超越するようです。



「では、おかわりをお願いします」


「む、実はさっきのグリフォンで魔力切れなのでござる」



 魔力さえあればいくらでも眷属を生み出せるのですが、先程のグリフォンに残った魔力を全てつぎ込んでしまいました。回復するまではチョウチョ一匹出せそうにありません。ですが……、



「あら、おかわりならここにあるではありませんか」


「え、どこでござるか?」



 神子はニコニコと笑いながらスッとゴーレムを指差しました。



「それでは、いただきます」


「ちょっ……全部食べられたら再生できな……待っ……!?」






「ごちそうさまでした」



 こうして、主を失ったダンジョンは程なくして閉鎖されることになりました。




 ◆◆◆




「……という夢を見たのでござるよ」


「ふふ、ワタクシはそんなことはしませんので安心して下さいね。いくらなんでもそんなには食べられませんもの」


 島が滅びたのはゴーレムの夢の中でのことでした。いわゆる夢オチです。



「まあ、冷静に考えてそんなに食べられる人間がいるわけないでござるしな」


「ええ、ワタクシでも精々が島の八割といったところでしょうね」


「……え、冗談でござろう?」


「うふふ、どうでしょうね」



 神子の言葉が冗談なのか否かは、まさしく神のみぞ知るところのようです。



まだまだssのお題募集中です。

お気軽にご応募ください。

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