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迷宮レストラン  作者: 悠戯
双界の祝祭編
105/382

ss コスモスとドーナツ

百話記念企画①

今回のお題はこねこねこ様に頂いた『コスモス&ドーナツ』です。

こねこねこ様、ありがとうございました。


「ふむ、こんなところでしょう」


 ある日のこと、コスモスは厨房でドーナツを揚げていました。たっぷりの油で濃い狐色になるまで揚げ、鍋から引き上げたら、まだ熱いうちに砂糖をどっさりとまぶします。ちなみに形状は定番のリング型です。



「我ながらなかなかのものですね」



 コスモスは早速ひとつを味見してみました。どうやら納得のいく出来だったようです。



「さて、それでは持っていくとしましょう」



 

 ◆◆◆




「さあ、手が空いた者からお食べなさい」


 コスモスがドーナツを運んだのはホムンクルス用の食堂です。毎日ではありませんが、コスモスは時折こうして弟妹たちにオヤツを作っているのです。



「ありがとうございます、リーダー」


「これは美味ですね」


「リーダー、流石です」



 休憩にやってきたホムンクルスたちはオヤツのドーナツに舌鼓を打ちました。外見は見目麗しい美男美女たちですが、こういう時は実年齢相応にどこか子供っぽい雰囲気が出ています。



「さて、それでは私は次の場所に行きますので、皆で仲良く食べてください」



 そう言い残し、コスモスは事前に取り分けておいたいくつかのドーナツの入った箱を袋に入れて持ち、次の場所に向かいます。




 ◆◆◆




「お邪魔します、シモンさま」


 コスモスが続いて訪れたのはシモンの住む大使館でした。庭の片隅で木剣の素振りをしていたシモンは、



「おお、コスモスか。こんな所まで来るとは珍しいな 少し待て……九十八、九十九、百! して、おれになんの用だ?」



 キリのいい数字まで素振りを終えてからコスモスに聞きました。



「お菓子を作ったので差し入れにきました」


「おお、菓子か、それはよい! ちょうど小腹が減ってきたところだったのだ、礼を言うぞ」



 シモンはコスモスから差し入れのドーナツの箱を喜んで受け取りました。



「今、じいが午後の茶の準備をしているところなのだ。お前も一緒にどうだ?」


「せっかくのお誘いですが、今日は遠慮しておきます。これから他に行く場所があるのです」


「そうか、ならば無理に引き止めるのは悪いな。茶会はまたの機会にしておこう」




 ◆◆◆




「おや、これは神子さま」


「あら、コスモスさま。ごきげんよう」


 次にコスモスは散歩中の神子と出会いました。



「突然ですが、このドーナツを進呈します」


「あら? よく分かりませんが、ありがとうございます」


「いえいえ、どういたしまして。それでは失礼します」



 不思議そうな顔をする神子にドーナツを押し付けて、コスモスはどこかへ去っていきました。




 ◆◆◆




 最後にコスモスがやってきたのは一軒の新しい建物です。建物内では幼い子供たちが勉強したり遊んだりしていましたが、コスモスの姿を見ると一目散に近寄ってきました。



「さあ、今日のオヤツですよ」


「やったー!」


「コスモスの姉ちゃん、ありがとな!」


「美味しい!」



 ここは最近新設したばかりの学校です。

 迷宮都市には親の都合で引っ越してきた子供たちも少なくありません。この学校には家庭教師を雇うほどの余裕のない平民の子供がおもに通っています。



「こんなの作れるなんて姉ちゃんすごいな」


「ほんと憧れちゃうわ」


「そうでしょう、そうでしょう。さあ子供たちよ、もっと私を褒め称え、崇めるのです」



 純粋な善意による行動ではないのが残念なところですが、頻繁にお菓子を持ってきてくれるコスモスは子供たちの人気者です。



「姉ちゃん、一緒に勇者ごっこしようぜ!」


「お姉ちゃんは、私とおままごとするの!」


「ケンカはいけませんよ。では、間を取って王様ゲームでもしましょうか」


「それってどんなゲーム?」



 子供たちの人格に悪影響が出ないか少々心配ではありますが、コスモスは子供たちと仲良く遊び始めるのでした。



百話記念企画のお題は4/17まで募集中です。

応募する方は登場を希望する「キャラ名&料理名」を感想欄に書き込んで下さい。

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