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 ついに、ついにこの日がやってきた。


 VRMMORPGサクリファイスオンラインのβテスト開始日だ。


 世界で5番目に発表されたVRMMOということでさほど目新しさはないものの、注目を浴びているゲームなので当然βテスター募集には応募が殺到した。


 そして俺と、俺の幼馴染二人は見事に当選することができた。


 なんという幸運。


 俺は夜もろくに眠れない日々が続き、SOをプレイできる日を今か今かと待ちわびていた。


 そして今日。いよいよプレイすることができるのだ。


 初の完全スキル制VRMMORPG、サクリファイスオンラインを!


 もうすぐ開始時間だ、早めに準備しないと乗り遅れてしまうな。


 ハードウェアを頭に装着。


 開始時間と同時に電源を入れれば、視界がじわじわと白く染まってゆく。 



 ……よし、まずはキャラクターメイクだ。


 キャラクターの外見年齢、身長だな。


 18歳で177cmと。現実とほぼ同じだ。


 髪と目の色は共に黒。これまた現実世界と同じ。


 顔も弄れるようだから、多少美形にしておこう。


 体格も弄れるのか。大きな変更はできないらしいが……多少筋肉多めで。


 あとはスキルか。8つ取ることができる。


 武器スキルに魔法スキルに耐性スキル……沢山あるな。


 スキルは自分で選ぶことも、ランダムで決めることもできるらしい。


 後から変更することもできるようだし、ランダムでも問題ないだろう。


 ランダムにすると、本来は選ぶことのできない特殊なスキルを得られる可能性もあるそうだ。


 何それ、気になる。やはりランダムしかないな。


 最後に名前の入力だ。


 本名のミオ、と。女みたいな名前だが、一応俺は男だぞ?


 ……幼馴染のシズキとカナメも、今頃キャラクターメイクに勤しんでいることだろうか。


 あ、ちなみに彼女たちは女だ。3人とも性別が分かりづらい名前なんだよな。


 まあそれはさておき、さっそくゲームを始めるとしますかね。






 気が付けば人ごみの中だった。


『すげえ、景色とかめちゃくちゃリアルじゃん!』


『完全スキル制VRMMO、待ちわびたぜ!』


『誰か、一緒に狩りに行こう!』


『すみません、広場で待ち合わせてるんですが、どこにありますかー?』


 βテストに当選した人数は約5000人と聞いている。


 その5000人がこの町――名前分からんから始まりの町とでも言おうか――に、集まっているわけだ。


 そりゃあ騒がしい訳だ。


「と。俺も広場で待ち合わせてるんだった」


 確か中央だったな、と俺は周囲の景色を堪能しながら町の中央に向かって、てくてくと歩いていく。


 ついでに自分の服装を確認してみる。白いランニングシャツと黒いズボン。なるほど、最初だけあってシンプルすぎだ。


「来たか、ミオ。面影があるからすぐに分かったぞ」


「おう。お前も大して変わんねーな」


 この淡々とした口調なのがシズキ。


「ねえ、ミオちゃんはどんなスキルを取ったの?」


「あ、まだ確認してなかった」


 こっちのおっとりした方がカナメだ。


 二人とも、キャラクター名は本名のまんまか。俺もだけど。


「ちなみに私は【杖】【回復】【浄化】【応援】【光魔法】【幸運】【消費MP減少】【戦闘時MP回復】だよ。イメージはプリーストなんだ」


「私は【刀】【刀作成】【気合】【集中】【疾走】【攻撃力上昇】【防御力上昇】【刀強化】だ。見ての通り、サムライ風味だな」


「ほう。二人は自分でスキルを選んだんだな。俺はランダムにしたから――えっと、」


 ステータス画面を開き、確認してみる。『ステータス』と念じながら左手を掲げれば、すぐ開くようになっているので便利だ。



【ダガー】ダガーを装備することができる。


【投擲】投擲武器を装備することができる。


【跳躍】ジャンプ力が向上する。 


【隠密】一定時間姿を隠すことができる。


【死魔法】死魔法『デス』を使えるようになる。


【闇耐性】闇属性ダメージを軽減する。


【回避力上昇】敵の攻撃を避ける確率が上昇する。


【魔王化】おめでとう。魔王に選ばれたのは君だ。



 ……。


 なんか色々とアレだな……最後のはいったい何だ、意味が分からん。


「なあ、【魔王化】ってスキル知ってるか?」


「え【魔王化】? 聞いたことないけど……ひょっとして、特殊スキルじゃないかな?」


「うむ、おそらくそうだろう」


「マジか」


 効果が分からないのが問題だが……一応、喜んでおくか。


「では、さっそく狩りに行くとしないか?」


 シズキがそう言うと、俺とカナメはこくりとうなずく。


「いいけど、外に出る方法って知ってんのか?」


「ここを真っ直ぐいけば北門から出られるよ。さ、早く行こうよ!」

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