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#001 Prologue
「……ただいま」
ふぅ……。
玄関の扉を開くなり、思わずため息がでてしまった……。こんなに疲れた日は初めてだ。今日一日、あったことを思い出しただけで頭痛がする……。言い過ぎかもしれないけど、それでもなんとか家にたどり着けたのは、奇跡といっていい。
どうしてこうなったんだろう……。口をつくのは後悔と失意の念ばかり。
高校生になっても、退屈で安穏とした学校生活が続くのだと、ずっとそう思ってた。でも本当は、心のどこかで少し期待していたんだと思う。今までと違う何かを。だから、自分でも気がつかないうちに張り切っていた。新しい性活のスタートにワクワクしていた。それが、まさかこんなことになるなんて思いもしなかった……。
靴を脱ごうとして、手に持っていた小さな紙袋に目が止まった。
(これ、うちのお母さんから美由紀さんにって、預かってきたんだ。中身は見ればわかるって言ってたよ)
キラキラと大きな瞳を輝かせながら、その子は紙袋を手渡した。肩まで伸びた栗色の髪と、ピンク色のスカーフがほのかに風に揺らいでいる……。
思い出せない遠い過去の記憶……。
よく知っていたはずなのに……。
なにもかもが違う現実に、今はただ……。
戸惑うばかりだった……。




