第3・5話「七尾一子」
今日は京太郎様とお出掛けできて嬉しかったです
しかも料理のレシピ本を買って頂きました
初めて京太郎様から買って貰ったモノです
もう…嬉しくて、嬉しくて今晩は抱き締めて眠りたいくらい…
毎日京太郎様のお世話して、側に居られてホントに幸せです
こんな幸せでいいのでしょうか…
あたしはただの猫又…
京太郎様はいずれは日本妖怪の総大将になられるお方です
総大将にはなられないかも知れませんが、そーだった場合は人として生きていくお方
日本妖怪の総大将になっても、なられなくても…あたしとは住む世界が違うお方なのです
お館様からは京太郎様があたしを花嫁に選ばなかった場合、影から京太郎様を守ってくれと頼まれています…
その為に、あたしは小さい頃から妖術、体術の修行をして来ました
修行中、死ぬかと思った事はありません
ただ…死んだ…と、思った事は数えきれないです
ただの猫又が京太郎様の護衛に選ばれるまでに、それこそ死に物狂いに修行をして来ました
フラッと遊びに来た天狗の若様を片手間であしらえるくらいには強くなりました
花嫁候補も嘘ではありませんが、京太郎様が望まないのであれば、傍らにいるだけでもいいんです
辛いだろうし、寂しいでしょうけど我慢します
あたしはそれだけ京太郎様が大好きだから…
でも京太郎様に特定の彼女ができるまでは、夢を見てもいいですか?
彼女になれるように頑張ってもいいですか?
現実が楽しいだけじゃなく、凄く辛くて残酷な事は知っています
だって京太郎様は、人と鬼神の末裔であたしは猫又…
それでも夢を見ていいですか?




