第一話
「朝ですよ!京太郎様!
起きないとお目覚めのチューしちゃいますよ!」
「すんな!」
あー…朝から最悪だ…
なんだ…なんでこいつは目を閉じて、唇を突き出してるんだ…なんかの病気か?きっと脳の病気だな…
しかも手遅れだろう
「一応聞くがなんのマネだ?」
ほんとは聞きたくない…
「いやだ~京太郎様~
おはよーのチューを待ってるんですよ~」
やっぱ脳の病気だな…
「ガゼルパンチでいいか?」
「それは…アメリカンボクシング古のフィニッシュブロー…って、か弱い女の子に何する気ですか!」
「目の前にいるのは、人間より丈夫な雌の猫又だが…」
腰に手を当て「差別です!雄の猫又よりはか弱いんですよ!」と怒っているが、スルーだ…朝からこれ以上面倒くさい
「お着替え手伝いますよ…ぐぇっふぇふぇ…」
なんで雌の猫又がエロ親父的なノリなんだよ…
「一人でできるから出てけー!」
「京太郎様のいけずー!」
文字通り部屋から蹴り出して着替える…
今日は日曜だから私服だ
七尾一子…最近はワンコと呼んでるが…ワンコが来てから一週間が経った
学校では京太郎様の立場が悪くなるよーな事は致しません…と、宣言した通り…学校では同じ歳の親戚の女の子…と、言うスタンツで接してくれるのは助かる
その分家では、今みたいにはっちゃけるが、ワンコのノリにも大分免疫が出来てきたよーだ
なんとか撃退している
着替えてリビングに行くとテーブルには朝食が出来ていた
塩鮭に味噌汁に温かいご飯と漬け物…なんか純日本風な朝食だが悪くない
「朝御飯出来てますよ」
こーしてると普通に可愛いんだがなぁ
「ありがとう」
と、テーブルについて食事を始める
期待に満ちた目でこっちを見てるワンコ
「美味しいよ」と言うと、「お口に合って良かったですぅ」と、ワンコも食事を始める
鮭の骨をバリバリ食べるワンコを見て…やっぱ猫なんだな…とは思うが…つーかこいつの性格はどちらかと言う犬っぽいと思うんだが…
食事を終えて珈琲を飲みながら
「なぁ…ワンコ…」
「キシャー!その呼び方は止めて下さい!」
耳が現れ、尻尾がピンと立ってる…怒っているよ
「尻尾…尻尾…パンツ見えるぞ…」
「あたしは猫又ですぅ!
犬扱いだけは我慢できません!
パンツくらいなんですか!見たいなら、いくらでもお見せします!」
目の前でスカート持ち上げるな…目のやり場に困る…
「スカートまくるな!見たい訳じゃない!」
「えっ…もしや…ずっと考えないよーにしてたんですが…
京太郎様には男色の気が…美少年好きとか…あぁ…めくるめく耽美な世界…
それはそれで萌えますよね!」
つ…疲れる…たった一言でここまで暴走すんなや…
「んな訳あるか!」
「違うんですかぁ!あの一瞬で乙女ゲージがレッドゾーンを天元突破して、美少年に向かって、京太郎様が俺のドリルはお前を貫くドリルだー!みたいに暴走した妄想を返して下さい!」
理不尽な逆ギレすんな!
つーか肖像権の侵害だろ…
そんな気持ち悪い趣味はねーよ
「そーなんですか…ちょっとざんね…はっ!まさか!?」
「ロリでも老け専でもないからな…」
「ダメですよ…京太郎様
あたし知ってます…ロリコン、正確にはロリータ・コンプレックスって言うのは、小さな子供に対して恋愛感情を抱く精神病の一種です
子供に欲情するのはペド・フィリアって言いますから、ロリじゃないって言われても簡単に安心したりはしません」
「ペドでもねーよ!つーかいい加減にしろ!!」
なんだ…その無駄知識は…
「毎晩どころかいつでもウェルカムな女の子と暮らしてるのに、何にもしないから疑われるんですよ
全くウブなんだから…」
俺のせーなのか…俺が悪いのか…
マジで朝から疲れたよ
もういいや…
「で、何かご用でしたか?」
「いや…もういい…出掛けるから一緒に行くかと聞きたかったんだが、もういい…むしろついてくんな…」
「えー!酷いですぅ
京太郎様~一緒にイきます!イっちゃいます!」
なんでこいつ…下ネタから離れないんだろーな…
エロネタっつーかフルオープンな言動のせーで、こっちはドン引きしてるって、気づけばいいのに…
「分かった…11時に出掛けるから用意しとけよ…」
「はい!京太郎様とお出かけ嬉しいですぅ
はっ!勝負下着に着替えないと!」
「そんなんいらねーよ!
本屋に行って昼飯食うくらいだよ!!」
「お昼の後にあたしもつまみ食い…みたいなー!」
ねーよ…絶対にねーから安心しとけや…
「えー…そーなんですか…
はっ!サプライズですね!気づかなかったフリしときます!」
なんだ…また変なスイッチ入ったのか…
「食後のデザートの変わりに甘美で濃厚なスイートタイム…ダメです…京太郎様…こんなトコじゃ…
他の人に見られちゃう…」
「クネクネしながら、珍妙な妄想するな!」
全く盛りのついた猫かこいつは…その通りだが…
「ぶぅ…もう一週間も一緒に暮らしてるのに、キスの一回もしてくれないんです…妄想で暴走くらいはいいじゃないですか…」
「そーゆーのは一人の時にやれよ…」
「誰かに聞かれてる…見られてると思うと、ただの妄想でも興奮しちゃいますよね?」
同意を求めるな!
俺はそんな変態な趣味はない!
まぁ…外に連れ出せば、人の目があるから暴走しないだろう…




