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序章

今、俺の家の台所には自称俺と同い年の女の子が朝食を用意している


あー…はいはい…自慢乙とか思った奴…取り合えず頭突き食らわすから並べ…俺は困っているんだ

この子は人間じゃない…猫又と言う妖怪だ

俺を可哀想な目で見るな…事実だからしょーがない


俺も人間と妖怪のハーフだから、妖怪だってのには驚かない

俺は人間として暮らしているがな


昨日の夕方だ…この子がやって来たのは…

その時の事は思い出したくもない…が、そー言うと話が進まないので思いだそう…


いつ帰って来るかも分からん両親はいないと思う事にして数年、俺は一人暮らしをしていた

夕方、夕飯の支度でもしようかと、リビングに向かう途中にチャイムが鳴った

なんだと思い出てみると、ニコニコしてなが大荷物を持った女の子がいたんだ…


「お嫁に来ました!貰って下さい!」


え…?なんつったこの子は…


「…間に合ってます…」


と、痛い子に関わるのは危険だと感じてドアを閉めたのが間違いだった

ドンドンとドアを叩きながら…


「間に合ってるってなんですか!?

京太郎様!もしかして彼女がいるんですか!

ラブラブなんですか!ラブラブなんですね!?

リア充だなんて酷いですぅ!

あたしなんか…あたしなんか…京太郎様のお嫁になる為に、小さい頃から家事全般から、あんな事やこんな事まで勉強して、実戦経験はないけど妄想爆発だったのに!

京太郎様がリア充だったなんて…あたし出会う前から捨てられましたー!!」


「分かった!分かったから家の前で叫ぶな!

話くらいはちゃんと聞いてやるから入れよ…」


これ以上叫ばれると、ただでさえ評判の悪い家の評判がドン底まで落ちる…

取り合えずリビングに入れて、飲み物を出した


「京太郎様…小さい時にカラスに襲われてる子猫を助けた記憶がありませんか?」


「あるな…5歳くらいの時か…」


「それがあたしです」


…つー事はこの子は妖怪か…


「まだ人に化けられなかったあたしは、あの時カラスに襲われて、死んじゃうかと思いました

それを助けてくれたのが京太郎様です

あの時凛々しい京太郎様に一目惚れしてしまい

お館様の元で京太郎様の嫁になる為に修行を積んで参りました」


本気なのだろーか…つーか本気なんだろーな…玄関先であんな事喚いてたんだから…


「あぁ…なんだ…お館様ってのはうちのジジィか?」


「そーですよ

日本妖怪を統べる御大将です

京太郎様の母君、美琴様の父君であらせられまちゅ…」


噛みやがった…馴れない言葉使うからだ…


「京太郎様の嫁候補はたくさん居たんですよ

ガシャドクロ族の姫とかダイダラボッチ族の令嬢とか…」


ロクなのいねーなぁ…おい…つーか政略結婚なんて御免だぞ


「あたしはただの猫又ですが、頑張って花嫁修行してお館様や、お養父様やお養母様に認められ、今日やって来たのです」


くそ親父やバカ母も一枚噛んでやがるのか…どーしてくれようか…


「あっ…でも京太郎様に、もう恋人がいらっしゃるなら…あたし…」


帰ると言うなら、恋人がいる事にしちまうか…


「お子だけも授かりたく思い、誠心誠意頑張る所存ですので、よろしくお願いいたします」


「なんでそーなる!?」



俺の突っ込みにヒョコと猫耳と尻尾が現れ、尻尾がパタパタと動き出す


「想い人と結ばれたい…と、思うのは人も妖も変わりません…

例え心が通わず、体だけの関係であろうとも…一時はあたしを求めてくれた…と、言う証が欲しいです…」


そんな思い詰めなくても…


「なんなら二号婦人でも構いません

人間界に身を置くとは言え、あたしは妖怪ですから、人の倫理観なんて、簡単にポイですよ!」


人間界にいる以上、簡単に倫理観や道徳観を捨てるなー!!


「それに浮気にも寛大ですよ

あたし猫ですから、あたしだけ見て…なんて言いません

あたしも見てくれるなら、何人の女性と付き合っても無問題です!

あたしは…京太郎様以外の男なんてゴメンですけど…」


そこでモジモジしても可愛くねーよ…むしろ問題だらけで頭がいてーよ…


「あーなんだ…人間の男は18にならねーと、結婚できねーって知ってるか?」


「法的にはでしょ?

あたし戸籍なんてないから、最初から法的な結婚なんて無理ですよ」


そーだったな…妖怪だもんな…アプローチ間違えたよ…


「つーか…帰る気はないんだな?」


こいつ…絶対に帰る気がない…居座る気だ…


「はい!帰りません

嫁と認めて頂くか、お子を授かるまでは!」


と、言うのが昨日の出来事だ…

彼女は七尾一子と言う名前らしい

猫又の尾は七本だから、七尾なんだろう…安易な…


夜も大変だった…一緒に風呂に入るだの、一緒に寝るだの…妄想でシミュレーションはバッチリだが、実戦経験はないからよろしくだの…頭大丈夫か…こいつは…

もちろん、全部却下した

言う事を聞かないと宅急便に詰めて、ジジィのトコに送り返すぞ…と、脅して大人しくさせた

結局、猫の姿で俺のベッドの枕元で寝てたが、そのくらいは許してやろう…


明日から俺と同じ学校に通う手続きもしてあるそーで、同じクラスにならない事を祈ってる…

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