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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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初期掌編

宛ら

作者: 高槻全壱
掲載日:2026/07/31

「一緒に死んでくんない?」

ユキナは突然、そんな莫迦げた事を言ってきた。しかも、二人が付き合って二年目の記念日だ。


「おまえなぁ……別れるって話ならともかく、一緒に死のうだなんて何言ってんだよ。ははは」

何かの冗談かと思ったが、ユキナは大真面目だった。


「マサオ……あたし本気で言ってるの」

「はぁ? 何でだよ? わけわかんねぇよ」

ユキナは俯いて、言いにくそうにまごまごしている。

「あのね、その、今日みたいな日だからこそなのよ……」

「だから意味わかんねぇって! ふざけんなよ!」


ユキナは黙り込んでしまった。


「ごめん怒鳴ったりして……本気なら本気で何か理由があるんだろ? その理由を話してくれよ。急にそんな事言われて、どうすればいいかわかんないじゃないか」

「そうよね、いきなり死のうって言われて、はい分かりましたなんて言う人なんていないものね……」

「あたりまえじゃないか……」


「マサオとならいっかって思ったの。付き合って二年になるけど、こんなに好きだもん。でね、もう最近疲れたなーって思ってさ。仕事もそうだし、家の事もあるし……ほら、あたしんちの両親は借金だけ残して死んじゃったから、あたしと妹のミカでがんばって返してるんだけど、生きてる内には返せそうにないからもう嫌になって……」


「バカヤロー! 俺がいるじゃないか! そりゃさ俺は赤の他人になっちまうけど……俺は軽い気持ちでお前と付き合ってるわけじゃないんだぜ! 丁度いい機会かもな、ユキナ……」

「……急に改まってどうしたの?」


「ユキナ、俺と結婚してくれ!」

俺は意を決して、ユキナに気持ちを伝えた。借金なんて、俺が死ぬほど働いて返してみせるさ。と言わんばかりに勢いが良かった。


「マサオ……嬉しいよ、ホントにそこまで言ってもらえる程、愛されているんだねあたし。答えなんてもちろん決まってるよ!」

「ありがとう、やっと俺達一つになれるんだね」

感極まった俺は、泣いていた。これからの二人の事を考えると苦難の道のりだろうが、そんなものは気にならなかった。


だけど……


「でもね、もう遅いのよ」

「えっ?」

「さっき食べた食事の中に、遅効性の毒を入れたの。今、隠し撮りもしているの。心中ビデオを撮れば、借金はチャラになるって契約しちゃったから」

「何言ってんだ……うっ!」

「そろそろ効いてきたみたいね。ごめんねマサオ……」

2007/5

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