「うし」の「まきもの」(その一)
三日後になった。
黒い村の忍者たちが、「おそうじ」を始めようとしている。
今日の「おしろ」は八かいだてだ。「おしろ」の中では、かなり大きい。
黒い村の忍者たちが二〇人、「ほうき」や「はたき」を持って、「おしろ」の前にならんでいた。
この時、黒い村の忍者大将は、ちがう場所にいた。
丘の上だ。ここからなら、「おしろ」がよく見える。
忍者大将とおなじ場所には、おとのさまと、おひめさまもいる。他にも、「さむらい」がたくさん。
今日はみんなで、忍者たちの「おそうじ」を見るのだ。
そのとなりの丘にも、たくさんの人たちが集まっていた。おじいちゃんやおばあちゃん、こどもたちもいる。
この近くに住んでいる人たちだ。
今日はみんなで、忍者たちの「おそうじ」を見るのだ。
どちらの丘にも、忍者が五人ずついる。
この忍者たちは、「おしろ」の「おそうじ」をせずに、他のことをするのだ。
たとえば、ここにある大太鼓をたたく。二つの丘から、「どーん、どーん、どーん、どーん」。
「おそうじ、始めー!」
丘の上で、忍者大将がさけぶ。
すると、「おしろ」の前にいる忍者たちが、かっこよく走り出した。
なぜか、門の方には向かわない。塀をジャンプして、乗りこえていく。
おひめさまがふしぎそうな顔をしているので、
「忍者は近道が好きなのです」
忍者大将は説明した。




