「とり」の「まきもの」
丘の上でも、「おしろ」の異常に気づいた。
さむらいたちが大さわぎになる。
「『どろぼう』だー!」
「『どろぼう』がいるぞー!」
「あれは、おひめさまの『ぬいぐるみ』だー!」
最近、このあたりに出るという、「かわいいもの」ばかりをぬすむ「どろぼう」だ。
しかし、ここからだと、何もできないし・・・。
その時だ。
赤い忍者大将が言う。
「あの忍法を、いっしょに使うぞ」
黒い忍者大将はうなずいた。
「わかった。あの忍法だな」
二人の忍者大将は、「たこ」の方に向かって、
「はーっ!」
気合いの入った一言をはなつ。
忍法『紙やぶり』だ。しかも、二人どうじ。
これは、「しゅりけん」とちがって、音による攻撃だ。刀でふせぐことはできない。
そして、「どろぼう」の「たこ」は、紙でできているのだ。
忍法『紙やぶり』によって、「たこ」がぼろぼろになる。
「もう一回やるぞ!」
「わかった!」
二人の忍者大将は、忍法『紙やぶり』を使う。
「はーっ!」
もしも、ここにいるのが一人だったら、この攻撃は、「おしろ」まで届かなかっただろう。
でも、ここにいるのは、二人だ。
黒い忍者大将と赤い忍者大将。二人の力が、合体する。
忍法『紙やぶり』によって、「どろぼう」の「たこ」が爆発した。操縦不能になる。
「あわわのわわわわわわ!」
あわてる「どろぼう」。このままでは、じめんに落ちてしまう。
「つかまるのは、いやだぞー!」
こんな時は、とくべつな『竹とんぼ』だ。右手と左手にそれぞれ、この『スーパー竹とんぼ』を持てば、すこしだけなら、空を飛ぶことができる。
しかし、『スーパー竹とんぼ』を持ったことで、「どろぼう」は「ぬいぐるみ」から手をはなしてしまった。
「あー! ぬすんだ『ぬいぐるみ』がー!」
下に落ちていく「ぬいぐるみ」。
じめんにつく前に、忍者の一人が受け止めた。
くやしそうな顔で、「どろぼう」が言う。
「おぼえてろー!」
空をふらふら飛びながら、遠くの方へ逃げていった。




