「さる」の「まきもの」(その二)
さて、三人めの対決だ。
ところが、ある忍者が異常に気づいた。
「『おしろ』の七かいに、『どろぼう』がいるでござるー!」
ふくめんをした「どろぼう」だ。「ばけねこ」のイラストがついたTシャツを着ている。
「『かわいいもの』は、いただいたぞー! それでは、さらばだー!」
大きな「たこ」にのって、空へ逃げようとしている。
あれは、お正月などに、空に上げる「たこ」だ。紙でできた「たこ」。
海にいる、八本足の「たこ」ではない。
ふくめんをした「どろぼう」は、大きな「たぬき」の「ぬいぐるみ」を持っている。
「あれは、おひめさまの『ぬいぐるみ』でござる!」
「ぜったいに、取り返すでござる!」
黒い村の忍者たちも、赤い村の忍者たちも、「こいのぼり」を「しゅりけん」に持ちかえた。
空にいる「たこ」に向かって、「しゅりけん」をなげる。
しかし、「どろぼう」が刀をぬいた。
すばやく刀を動かす。飛んでくる「しゅりけん」を全部、たたき落とした。
笑いながら、「どろぼう」が言う。
「きかないぞー!」
忍者たちは「どろぼう」をにらみながら、
「あいつ、強いでござる」
「こまったでござる」
このままだと、おひめさまの大事な「ぬいぐるみ」をぬすまれてしまう。




