「ひつじ」の「まきもの」
そのころ、となりの丘では、七等賞の賞品が、発表されていた。
「忍者の『指人形』でござる」
こどもたちに向かって、忍者が言う。
「これを使えば、むずかしくない方の『分身の術』が、できちゃうかもでござる」
そして、実際にやってみせる。
「ぶんしんのー、じゅつ!」
ぴょこっ!
「もしも、一等賞の『米だわら』があたったら、こっちの『指人形』と、交換してあげても、いいでござるよ」
ここで、「おしろ」の方から、「どんどんどどん」と、大太鼓の音が聞こえてきた。
これから、「おしろ」の外の壁を、「おそうじ」するのだ。「おしろ」の上から、下に向かって、かっこよくきれいにする。「おしろ」の中ではなく、「おしろ」の外なので、この丘からも見ることができるのだ。
「この『おそうじ』、忍者じゃないのに、おなじことをすると、けがをするでござる。死んじゃうかもでござるよ」
こどもたちに注意してから、
「外の壁の『おそうじ』では、忍者たちが二つの組にわかれて、勝負するでござる」
どれどれと、みんなが「おしろ」の方を見る。
その時だ。「おしろ」の近くで、土煙が上がった。
「あれ? 何でござるか?」
その正体は、赤い村の忍者たちだ。「おしろ」に向かって、シュタタタタタと走っていく。
「『おそうじ』の途中で、赤い村の忍者たちが来るなんて、聞いていないでござる!」




