「ねずみ」の「まきもの」(その二)
「おそうじ、始めー!」
そう言って忍者大将は、一本の縄に火をつけた。縄の途中には、いくつもの結び目がついている。
どこまで縄が燃えたのかで、「おそうじ」にかかった時間を、はかるのだ。
忍者たちはかっこよく走りながら、「おしろ」へと向かう。
最初は、廊下だ。
ぞうきんを持って、忍者が一人ずつ、「おそうじ」を始める。
まずは、ぬれたぞうきんを、廊下にあてて、
「みずぶきー!」
四つんばいの姿勢で、まっすぐ走っていく。
すると、次の忍者は、かわいたぞうきんで、
「からぶきー!」
一回ふいただけじゃ、きれいになっていないと思うので、
「みずぶきー!」
そして、
「からぶきー!」
廊下が、どんどんきれいになっていく。
ぞうきんがけが終わると、「おしろ」の外から、「どんどんどどん」と、大太鼓の音が聞こえてきた。
これは時間を知らせている。
火をつけた縄が、最初の結び目まで、燃えたらしい。
ここまでは予定どおりだ。
この「おしろ」のおとのさまが帰ってくるまでに、「おそうじ」を終わらせる。




