「うま」の「まきもの」(その一)
「おひめさま、よく見ていてください」
黒い忍者大将が言う。
「この『分身の術』で、大事なのは、手の形です。この忍法では、右手も左手も『にぎりこぶし』にします」
実際に、黒い忍者大将がやってみせる。
「ここで、もう一つ大事なことがあります。親指をどちらも、『にぎりこぶし』の中に入れます」
おひめさまもやってみる。
まずは、右手と左手を『にぎりこぶし』に。
そのあと、親指をどちらも、『にぎりこぶし』の中へ。
「それでは、よく見ていてください」
おひめさまはうなずく。
「ぶんしんのー」
黒い忍者大将はそう言ってから、
「じゅつ!」
親指をどちらも、『にぎりこぶし』の中から外に出した。ぴょこっ!
その親指にはどちらも、『指人形』がついている。忍者の『指人形』だ。
想像していたものとはちがったけれど、たしかにこれも『分身の術』かも。
「ぶんしんのー」
おひめさまもやってみる。
「じゅつ!」
親指をどちらも、『にぎりこぶし』の中から出す。
しかし、どちらも普通だ。『指人形』はついていない。
「おひめさま、これをお使いください」
黒い忍者大将が、かわいい箱をくれる。
箱の中には、『指人形』が入っていた。忍者の『指人形』だ。他に、おひめさまの『指人形』もある。これは、かわいい。




