「りゅう」の「まきもの」(その二)
忍者たちがみんなに、『福引き券』をくばり終わった。
「他の人の『福引き券』をぬすむのは、ダメでござるよ」
最近、このあたりに、「どろぼう」が出るらしい。「かわいいもの」ばかりをぬすむのだ。
だから、『福引き券』は、かっこいいデザインにした。これなら、「かわいいもの」ではなく、「かっこいいもの」だ。
忍者たちは、その「どろぼう」がいないか、まわりをきょろきょろする。
どうやら、いないようだ。
「福引きをする前に、賞品の一つを、実際に使ってみるでござる」
六等賞の「洗剤」だ。瓶に入っている。
水のたまった「たらい」に、忍者が「洗剤」をまぜた。
そのあと、「どろんこ」だらけの服を取り出して、
「よーく見ているでござる」
せっせと、あらい始めた。
しばらくして、
「できたでござる」
忍者が「たらい」の中から、服を取り出した。
「どうでござる。『どろんこ』がなくなって、おどろきの黒さでござる!」
黒い忍者の村には、黒い服が多いのだ。白い服はとてもすくない。
よっぱらいのおっさんが聞く。
「その洗剤で、白い服をあらったら、黒い服になるのかい?」
「そんなことは、ムリでござる。それができたら、手品でござる」
こうしている間も、「おしろ」では忍者たちが「おそうじ」中。




