「うさぎ」の「まきもの」(その三)
おじいさんのさむらいが、その忍者をつかまえて、お説教を始める。
「ペンキをぬるのは、反則ですぞ」
これは前もって、打ち合わせしていた「おしばい」だ。
このあいだに、忍者大将は「おそうじ」の準備をすませる。
「それでは、ペンキを使わずに、かっこよくきれいにします」
おとのさまとおひめさまに、そう告げる忍者大将。
片方の「しゃちほこ」。そっちのすぐ横には、忍者大将が立っている。
もう片方の「しゃちほこ」。そっちのすぐ横には、だれもいない。
二人の忍者が、大きな傘を持ってきた。
その傘をひらく。
おとのさまとおひめさまのいる場所から、どちらの「しゃちほこ」も見えないように、傘でかくしてしまった。
忍者大将も、傘の向こう側だ。
「おそうじ、始めー!」
忍者大将がさけんだ。
二人の忍者が傘をまわし始める。ぐるぐるぐるぐる。
「見えないよー」
おひめさまが、顔を右や左に動かした。傘の向こう側を、なんとか見ようとしている。
「おひめさま、それだけは、勘弁してほしいでござる」
二人の忍者が傘をまわしながら、おねがいした。
その時だ。
「おそうじ、かんりょうー!」
忍者大将の声だ。




