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イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について  作者: のびろう。
第11章 ドキ❤️ドキ❤️温泉慰安旅行!ポロリと恋と混浴と!?

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【出発前夜】―天城ひよりの場合―

天城家のリビングには、旅行用のキャリーケースがふたつ並んでいた。

ひとつは大学生の兄――天城コウのもので、もうひとつは妹・ひよりのもの。

ふたりは今夜、同じ屋根の下で、同じ旅への準備をしていた。けれど――心の中は、まるで違う場所にいた。


(や、やばい……やばいって……!)


自室に戻ったひよりは、畳んだ水着を手に、ベッドの上でくるくる転がっていた。

ピンク地に白いフリルのついた、小さめビキニ。――高校生になって初めて買った「勝負水着」だった。


(これ……似合うかな。お兄ちゃん、見てくれるかな……?)


普段は部屋着姿でダラダラしてても、「妹なんだから」とスルーされても、今日は違う。明日からは――。


(混浴って言ってなかったけど、もし万が一……もしも、そういう展開になったら……っ)


想像してしまう。

湯気に包まれた露天風呂、ふたりきりの湯船。

兄の隣に並んで座って、「あついね……」なんて、顔を赤くして言ってみる。

そのあと、ちょっと湯に沈んで、ぽちゃんと肩が触れて――。


(だ、だめ! だめだめだめっ! ……けど、そうなったらどうしようって、準備しておかなきゃ……)


慌ててベッドの下から小さなポーチを取り出す。

中には、つい買ってしまった“勝負下着”と――なぜか“大人の雑誌”が数冊。


(……だって、ちゃんと予習しておかないと……! お兄ちゃん、そういうの慣れてたりしたら、私……)


高校生らしからぬ真剣な眼差しで雑誌をパラパラとめくりつつ、ひよりは顔を真っ赤に染めた。


「はぁ……お兄ちゃん、私のこと……見てくれたらいいのに」


自分が“妹”だってことは分かってる。

ずっと一緒に住んでて、家族みたいな距離感。

でも――。


「……私は、女の子なんだよ?」


誰もいない自室で、小さくつぶやく。


クローゼットを開けて、いくつかの浴衣を並べてみる。

それから、リップグロスと軽いアイシャドウもポーチに詰めた。


(……全部、ちゃんと準備しておかないと。明日、チャンスがあるかもしれないから)


ポーチの中に手を伸ばし、そっと触れたのは――一枚の小さなレースの布。

薄い、でもちょっと大人っぽく見える、黒のランジェリー。


(……下着見られるなんて、絶対イヤ。だけど……でも、可愛いって思ってくれたら……)


わかってる、自分の体はまだまだ子供っぽいってことも。

けれど、最近ほんの少しだけ、胸がふくらんできて。

それを、お兄ちゃんがちょっとでも“女の子”として見てくれたら――。


「……やっぱり、ちょっと、勝負……しちゃおっかな」


お風呂あがりに着るルームウェアも、ちょっとだけ丈の短いものを選んだ。

恥ずかしいけど、「何も知らない妹」って顔は、もう、していられなかった。


ポーチを閉じて、キャリーケースに水着と一緒にそっとしまい込む。

荷物を閉じたその瞬間――リビングから、お兄ちゃんの声が聞こえた。


『ひよりー、荷造り終わった? 飲み物持ってくけど、なんか欲しいのある?』


「えっ!? あ、うんっ、えっと……い、いちごオ・レっ!」


変な声になってしまった自分に慌てて口を押さえた。


(あああ……なんで、こんなことで緊張してんの私……!)


でも、しょうがない。

だって――明日からは、ただの兄妹じゃいられない気がするから。


「……お兄ちゃんの、隣、ずっと、空いてるといいな」


そう言って、小さなため息と一緒にベッドに身を投げた。


その唇には、ほんのりと桜色のリップが光っていた。

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