表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について  作者: のびろう。
第10章『“妹”ポジは、誰にも渡さない。』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/195

『18歳まで、あと1000日。』

ぽつり、ぽつりと、雨が降っていた。


放課後の帰り道、傘をさす手が少し重くて、

私はカバンの中に忍ばせていた小さなノートを、ぎゅっと抱きしめた。


そのノートには、誰にも見せたことのない“私の計画”が書かれている。

タイトルは――


『コウお兄ちゃんを絶対に落とす作戦ノート♡』


……自分で書いてて恥ずかしくなったけど、

でもこれ、本気の計画なの。


「18歳になったら、一線を越える――」


それが、私の密かな目標。

今はまだ妹で。

今はまだ、抱きしめてもらうだけでドキドキして。

恋人になんてなれない、そんな関係だけど。


「でも……1000日後。私は、もう子どもじゃなくなるから」


誰より近くにいて、

誰より知ってて、

誰より想ってる。


だから、ゆっくりでもいい。

少しずつ“女の子”として見てもらえるように、私なりに積み重ねていくしかない。


……私、負けないから。


その夜。

お兄ちゃんは帰りが遅くて、私はリビングでひとり、ぼんやりとテレビを見ていた。


がちゃりと玄関の鍵が開く音に、心臓が跳ねた。


「ただいまー。遅くなってごめん」


「おかえり……お疲れさま、お兄ちゃん」


「晩ごはん、食べてないんでしょ? 作ってあるよ、レンチンする?」


「……ひより、今日なんか優しすぎない?」


「な、なにそれ……。妹だから当然でしょっ」


「ふーん……なんか、“妹以上”な気遣いな気もするけど?」


「っっ!!」


な、な、なにそれ、

いきなりそんなセリフ、言う!?

ずるい、そういうとこ、ほんとずるい!!


「そ、そ、それよりっ、今日は大変だった? 誰と収録だったの?」


「……みなとちゃん。久々に真面目な話、けっこう語っちゃってさ」


「ふーん……」


さりげなく聞いたつもりだったのに、

心の奥で小さくチクンとした。


やっぱり、“妹”じゃない立場って、ずるい。

お兄ちゃんに近づける口実が、私には限られてるのに。


「……でも、やっぱりひよりがいちばん気楽だな。帰ってくると安心する」


「……っ!! そ、そうかな? えへへ……」


そんなふうに言われたら――

今日一日、モヤモヤしてた気持ちなんて、全部吹き飛んじゃうよ。


お兄ちゃんは、たまに反則級にやさしい。


……好きになっちゃうに決まってるじゃん、そんなの。


夜、部屋に戻って。

私は、机の上に広げた作戦ノートに、“今日の成果”を書き込む。


・朝ごはん作戦 → 成功♡

・さりげない差し入れ → 成功♡

・一緒にテレビ作戦 → 成功♡

・雨の日ノート更新 → 達成!


「ふふっ……よし」


私は小さくガッツポーズをして、ベッドに潜り込んだ。


でも、布団をかぶったまま、ふと天井を見つめて思う。


――これから、どうなるんだろう。


本当に、“兄妹”って関係のまま、私はお兄ちゃんの隣に立てるんだろうか。


他の女の子たちに奪われたりしない?

私のこと、“ただの妹”って思い続けてるんじゃない?

……もし、そうだったら?


「……ううん、考えない」


私は、信じてるから。

お兄ちゃんが、優しくて、真面目で、

ちゃんと向き合ってくれるって、知ってるから。


だから、いまは“妹”でいい。


そのかわり――


「18歳になったら、ちゃんと振り向かせてみせるから」


言葉にすると、胸が熱くなった。

まだ遠くて、でも確かに存在する未来。


あと1000日。


そのカウントダウンは、

ただの“歳月”じゃない。


私が、“妹”から“女の子”になるための、準備期間。


それまでに、お兄ちゃんが誰にも取られちゃわないように――

私は、毎日ちゃんと、“戦う”。


だから……待っててね、コウお兄ちゃん。


その夜、夢を見た。


大人になった私が、

お兄ちゃんと手をつないで、笑ってる夢。


それがどんなに幸せだったか、

朝起きたとき、まだ胸の奥がぽかぽかしてた。


――恋する妹は、1000日後の未来へ向かって、今日も進む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ