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イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について  作者: のびろう。
第9章『きょうも、なんでもない一日。』

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『推しカプ運営会議は今日も通常運転』

事務所の会議室。午後三時。

カーテンを閉め切り、ホワイトボードの前に一人立つ男の影があった。


神代カオル、二十七歳。LinkLiveのマネージャーにして、運営の実行責任者。

その男は今、深い集中状態に入っていた。


カツン。カツン。


ホワイトボードに、赤と青のマーカーを交互に走らせていく。


書かれていたのは、こうだ。


《レイ×ノワール=クロエ:先輩後輩イケボ対決カプ》

《しろみな×メグ:ゆるふわお姉さん×生意気見習いの姉妹感百合》

《ひよこまる♪×るる☆るん!:年の差癒し×天真爛漫の禁断の妹萌え》

《ルイ×誰とも組まず、孤高のポジション。逆に熱い》

《レイ×しろみな:ほぼ夫婦。お互いの“素”を知っている安心感》

《レイ×メグ:ツッコミ不在のボケ倒しカプ。カオス。でも刺さる層がいる》


「ふふ……いい。いいぞ……想像以上に仕上がってきた……」


神代は独りごちた。


「次のコラボ配信では“即興カップリングドラマ”企画を入れよう。視聴者の投票で相手役が変わる、地獄の即落ち2コマ芝居……」


自らの案に陶酔しながら、資料をプリントアウト。


机には“LinkLive非公開資料:恋愛相関図Ver.8.3β”の文字。


「……なにをやってるんですか」


背後から声がした。


カオルが振り向くと、そこには天城コウが、アイスコーヒー片手に立っていた。


「これはあくまで業務の一環だよ、コウくん。ファン心理の可視化と企画構造の最適化」


「なるほど、“企画書風の二次創作”ってやつですね」


「否定はしない。でも、重要なのは“ときめきの供給”だ。感情は熱いうちに食え」


コウはため息をついた。


「……で、これどこまで本気なんですか?」


カオルはにやりと笑った。


「次の月例ミーティングで提案するよ。テーマは“恋とスキャンダルの境界線”だ」


「なんかもう、タイトルだけで荒れそう」


「いいか、コウ。視聴者は恋愛模様に飢えている。けど、リアルすぎると冷める。だから俺たちは“ギリギリのドキドキ”を運営するんだよ」


「“運営する”な……」


コウが呆れ顔で去っていく。


だが、カオルはその背中を見ながらひとりごちた。


「さて、君たちの“関係性”も、そろそろ一歩進めてもいい頃だ」


◇ ◇ ◇


その夜。

カオルは新しいファイルを開いた。


そこに綴られていたのは、来季イベント案のドラフト。


【次期企画案】

企画名:『LinkLive文化祭 ~本気で作って、バズらせろ~』

概要:

・メンバーによるリアル模擬店運営×V配信連動企画

・各チームが“実際の出店”を行い、コラボメニュー・ライブ・演劇などで競う

・ファンは現地参加&オンライン視聴OK。ライブグッズ販売あり

・事前配信で「チーム分けドラフト会議」&「裏方密着ドキュメント」を実施


狙い:

・メンバー間の“素のやりとり”を最大化

・“誰と誰が組むか”を視聴者が見守る=カプ供給の自然発生装置

・文化祭という“非日常”での感情揺れを利用したストーリー生成


「ふふ……完璧だ」


カオルはコーヒーをすすりながら、ファイルを保存した。


その名も――


《LinkLive企画案2025_恋と文化祭とカレーうどん(仮)》


彼は知っている。


“偶然の隣席”こそが、ラブコメのはじまりだということを。

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