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イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について  作者: のびろう。
第8章『音だけでメシテロ!?Vキッチン対決SHOW』

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『料理じゃない、これは音楽だ!? #耳グルメバトルでトレンド入り』

「……配信終了ーっ! 皆さま、おつかれさまでした〜!」


神代マネージャーの軽快な締めの声とともに、LinkLiveの特設キッチンスタジオに、ようやく静寂が戻った。

いや、厳密には**“嵐が過ぎ去った後の、耳の焼け野原”**である。


レイは、審査用チェアに座ったまま、まるで廃人のように虚空を見つめていた。


「……おれは……誰だ……ここは……どこだ……」


「お兄……もとい、レイくん……しっかりして……!」


ひよこまる♪が、涙目でレイの肩をゆさゆさと揺する。


「あなたの耳、もう何も聞こえてないの……?」


「……聞こえてるのは……チョコのとろける音と、トースターが爆発した音……それが、ずっと耳の奥でリピートしてる……」


「それ、もはやトラウマなのでは……」


ヨヨが苦笑しながら背後に立ち、ささやくように囁いた。


「レイくん……その耳に残る音は、私からのプレゼント……♡」


「返品したい……即日で返品したい……」


月詠ルイはというと、自分の調理ブースの前で腕を組んでいた。なぜか真顔。


「ふむ……やはり“ドカン”は早すぎたか……“ボン”まで抑えるべきだった……」


「爆発音を微調整しようとするな!」


そんな混乱の舞台裏とは裏腹に、SNSではとんでもない事態が進行していた。


X(旧Twitter)トレンド1位

《#耳グルメバトル》

《#音だけ料理革命》

《#レイの耳が心配》

《#トースター爆発の瞬間》


サジェストには「鼓膜崩壊」「バター攻撃」「しゅわしゅわ蒸しケーキの癒し」など謎ワードが並び、タイムラインは**“音の暴力”と“癒しの美味音”の大喜利合戦**と化していた。


特に切り抜き動画が爆速で拡散されていた。


――ルイの“猫の声”事件(正体は冷蔵庫音)

――ヨヨの「これは耳で味わう愛情です」ポエムシーン

――ひよこまる♪の「ジュワッ! きいてお兄っ!」叫び


どれも、再生回数10万を超える勢いだった。


「見て見て! わたしの唐揚げ音、海外Vさんが“ASMR神”ってリポストしてる!」


「へぇ、わたしのチョコフォンデュも“甘すぎて脳がやばい”ってコメント来てるわ」


「俺の“ぶおおおん”は“地獄の轟音”って言われてた……」


「いやそれ褒められてないからね!?」


神代マネージャーが笑顔で資料を差し出す。


「今回のバズ、公式も狙ってました。というわけで……第二弾、決定です!」


「えっ!? もう決まってるの!?」


「視聴者参加型でね。“次に聞きたい料理の音”を募集するキャンペーン、もう始まってるよ。優秀コメント投稿者には――」


「耳だけレシピボイス……!」


ヨヨがうっとりした声で続けた。


「そう、“レイのイケボで読み上げる、妄想レシピガイド”……」


「えっ、それ俺が読むの!? 聞いてない!!」


「当然よ。だって、耳だけ審査員でしょ?」


「じゃあ、お兄には“ジュワッ”ってセリフ、録ってもらわなきゃだね!」


「俺、効果音担当だったの!? もうやだあああ!」


視聴者向けプレゼントも決定した。


・“耳だけで楽しめる”レシピカードPDF(ひよこまる♪、手描きイラストつき)

・ルイの爆音SE素材集(ボイス特典:猫の鳴き声入り)

・ヨヨのささやきボイス「愛を溶かして、チョコにして」つきスイート音パック


おまけに、出演者4人が即興で考えた“妄想スイーツ”のレシピを詰め込んだガイドブックまで、PDFで無料配布が決定。


レイは、放心状態のまま最後の締めに入った。


「……じゃあ、最後に……審査員として、ひとこと……」


全員が息を呑んで見守る中、彼はボソッと呟いた。


「……次は、胃袋で審査させてください」


スタジオ爆笑。コメント欄もそれに合わせて一斉に盛り上がる。


「レイくん、胃袋で判断宣言w」

「次回は“食って判定”編か!?」

「耳が死んだら、舌で勝負だな」

「#耳グルメバトル第二弾期待」


そして、画面がフェードアウトしていく。


最後に映るのは――

『Coming Soon… #音だけじゃないグルメSHOW』

『次回、ついに“実食編”スタート!?』


こうして、“料理じゃない、これは音楽だ”とまで言わしめた伝説の企画は、音と笑いと混沌を残して、大成功のうちに幕を閉じた。

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