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イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について  作者: のびろう。
第8章『音だけでメシテロ!?Vキッチン対決SHOW』

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開幕!耳が騒ぐ音フェチ料理対決!

「それじゃ――今回の新企画。“音だけで料理対決”、いってみようか」


静まり返ったLinkLive会議室に、神代マネージャーの一言が響いた。


「音だけで……料理って、どういう意味っスか?」


コウ――いや、V名レイとして活動中の天城コウが、眉をひそめて問い返す。彼の声は相変わらずの低音イケボだが、表情は困惑そのもの。


「そのままの意味よ。目隠しした状態で、音と実況だけで料理を“審査”してもらう企画。視聴者は画面あり、審査員の《レイ》くんだけが完全ブラインド」


神代マネージャーが、手元のタブレットをタップして、モニターに新しいスライドを映す。そこにはポップなフォントでこう書かれていた。


『音でガチ勝負!?バーチャル料理対決SHOW!』

――目を閉じれば、そこは戦場。音と香りと笑いの三重奏!――


「……香りは再現できないですよね? ね?」


「まあ、そこはイメージと実況で補完してもらって。**“脳内補完型グルメバトル”**ってことで」


「やりにくいにも程があるだろ……」


「でもお兄、そういうの、好きそうじゃない?」


と、口を挟んだのは、妹系ポンコツV《ひよこまる♪》。コウの義妹、ひよりだった。彼女は椅子に座ったまま、机の上で両手をぱたぱたと揺らしてニコニコしている。


「え、俺そんなキャラだったっけ?」


「うん、なんか“感覚で捉える男”って感じがする。あと、食べ物の話になるとやたら真剣になるし」


「……完全に偏見だろそれ」


「でもまあ、料理得意なわたしとしては! この勝負、受けて立ちますっ」


「ひよこまる♪ちゃん、包丁ちゃんと使えるようになったの?」


艶のある声で問いかけたのは、《ヨヨ》。夜々だった。流れるように脚を組み替え、涼しげな笑みを浮かべている。彼女の放つ言葉には、どこか含みがある。


「へっ? そ、そんなの……前にお兄に教えてもらったし!」


「……確かに。教えたな。三回指切って泣いたあとに」


「や、やめてそのエピソード掘り返すの! 放送禁止!」


「ふふ……でも、“家庭料理の音”って、なかなか強いわよね」


「夜々さんはどんなの作るんですか?」


「わたしはそうね――音だけでとろけさせる。そんな料理を」


「出た! ヨヨさんの“耳から落とす”作戦だ!」


「ま、私にかかれば、バターの音ひとつでリスナーの鼓膜が恋に落ちるわよ?」


「耳が恋に落ちるって何……」


そんなやりとりの中、椅子の背にもたれて静かに笑っていたのは、王子系先輩V《月詠ルイ》。


「楽しそうだな。俺も、参戦させてもらおうか」


「ルイさんも!? ていうか料理できるんですか?」


「……この前、冷凍グラタンを温めた配信でバズった」


「料理じゃねぇ!!」


「いやいや、あれは“音”が良かったんだ。チーン、っていう電子レンジの音がやけにエモくてさ」


「視聴者にエモさでごまかすつもりですか!?」


「そう言うなよ、レイ。**“料理は科学と芸術”**っていうだろ?」


「それ、失敗する人の言い訳で聞くやつだ……」


神代マネージャーが笑いながら会議の空気を整える。


「じゃあ整理するよ。今回のルールは以下の通り」


・参加者は3名(ひよこまる♪、ヨヨ、月詠ルイ)

・調理中は音声と実況だけでアピール

・審査員のレイは目隠し+映像なし

・視聴者はフル映像・コメント自由

・勝敗はレイのジャッジ+コメント投票で決定


「ちなみに……ジャンルは自由。煮物でも、揚げ物でも、スイーツでも。ただし、“音と語り”が主役です。映えより音映え! 以上!」


「音映えってなんだよ……」


「で、調理ブースはアバターと連動してるから、動きに合わせてリアルタイムで物理エフェクト+ASMRマイクが作動する仕様」


「ハイテクすぎて逆に怖いんだけど」


「つまり、お兄は“耳だけ”を頼りに、わたしたちの料理を想像しないといけないの!」


「なんかエロい言い方になってない?」


「想像、してくれるんですよね……? レイくん♡」とヨヨがすかさず乗ってくる。


「……もう俺、何も言えないじゃん……」


そして――配信当日。


特設されたバーチャルキッチンには、3台のブースが並び、中央の審査席にはレイのアバターが“目隠しモード”で鎮座していた。


配信タイトル:

『音でガチ勝負!?バーチャル料理対決SHOW!』


視聴者コメント欄:


「#レイくん耳だけ審査ww」

「ヨヨさんの声で白米食える」

「ひよこまる♪ちゃん、火加減気をつけて!」

「月詠ルイ、今度は爆発しないでね」

「耳が幸せになる準備できてます!!!」


「……って、こんなテンションで本当に審査できるのか、俺……」


緊張感と笑いの渦の中、戦いの火蓋が切って落とされる。

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