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イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について  作者: のびろう。
第7章《るる☆るん!》の初恋研究レポート

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『お兄ちゃんみたいで、ちょっとカッコよすぎる』

ふわふわのピンクのクッション、リボンが散りばめられたティーカップ、

そして机の上には虹色のクリームが乗ったドリンク――まさに原宿っ!


「うわ〜〜! なにこれ……全部“映え”のかたまりじゃん!」


思わず声が出ちゃう。

わたしが興奮してるのを見て、ひよりちゃんがくすっと笑った。


「よかった。るるちゃん、元気戻ってきたみたい」


「うん……さっきはホント、泣きそうだったけど……」


視線を向けると、目の前に座るコウさんが、アイスコーヒーをゆっくり飲んでいた。

その仕草が、なんだろう……ちょっとだけ、大人っぽく見えて。


「……コウさんって、機械に詳しいんですか?」


「まぁ、少しだけね。好きだから」


「……ふふ、なんか、意外。すっごく落ち着いてたから、お仕事の人かと思いました」


「それは初めて言われたかもな。学生だからね、いちおう」


「えっ!? 学生さん……? あ、でも確かに、年齢的には……」


わたしはこっそり胸を押さえる。

さっきのトラブルのとき、真剣な顔でスマホを操作する手。

あれが、ちょっとカッコよすぎて……まだドキドキしてるの、内緒だけど。


「ひより、お砂糖そっちにある?」


「えーっと……あ、はいはい、レイ先輩」


「……って、誰がレイ先輩だよ」


「わ、ごめんっ!? いつもの癖でっ……!」


――ん? れいせんぱい……?


「……レイ、って、あのレイさん?」


思わず、声に出てた。


「え、もしかして、コウさんって……Vの……?」


「ちょ、ちょっと待って、るるちゃん、それ以上は……!」


ひよりちゃんが慌てて手を伸ばしてきたけど、もう遅かった。

私の中で、すべてのピースがカチッとはまった。


この声、このテンション、この言葉選び――間違いない。

あの、深夜テンションの神・癒し系V、レイ。

そして、ひよりちゃんの明るくて元気な喋り方は……《ひよこまる♪》!


「ええええっ!? マジ!? ほんとにっ!?!?!?」


椅子から立ち上がりそうになって、あわててクッションを抱きしめる。


「え、え、うそ、あたし……ずっとファンでっ、あの、あの回とか、コメント送ってて、あの、なまえは“うさぱん団長”で……!」


「う、うさぱん団長!?」


ひよりちゃんが目をむいた。


「えっ、コメントの常連さんじゃん!? アイコン、あのウサギの……!」


「そうそうそれ! “うさぱん”って、うさぎパンの略で……!」


「やば、めっちゃ名前聞き覚えある!」


「やばいやばい、あの回のアドリブ、マジで神でした! めっちゃ真似して、るるの配信でやったことあるくらい……!」


二人でわーって盛り上がる横で、コウさんは少し困ったように頭をかいてた。


「……ばれちゃったか」


「す、すみません!でも、すぐ気づいちゃって……声だけで、わかっちゃって……!」


「いや、嬉しいよ。そこまで見てくれてるってことだし」


そう言って、コウさんがふわっと笑った。


(あ、やば……この笑顔……ふつうに、イケボすぎる)


なんか、胸の奥がふわっとした。

好きなVさんと、こんな風にしゃべれるだけで夢みたいなのに、

“レイ”じゃなくて“コウさん”のまま話してくれてることが、なんか、すごく特別な気がして。


「あの……その、ちょっと相談したいことがあって……いいですか?」


「相談?」


「……実は、わたし、最近ちょっと悩んでて。事務所のこととか、自分の方向性とか……。るるって“賢い子”って言われること多いけど、ほんとはもっと自由にやりたいっていうか……」


気づけば、口が勝手に動いてた。

ほんとは誰にも言えなかったこと。

でも、この人なら――コウさんなら、ちゃんと聞いてくれそうな気がして。


「……もしよければ、また……お話、聞いてもらえませんか?」


「もちろん」


コウさんがすぐに言ってくれた。

迷いなく、まっすぐな声で。

ひよりちゃんが「ちょっとぉ?」ってジト目で見てたけど、あたしはもう顔が真っ赤で。


「じゃ、じゃあ……これ、わたしの連絡先ですっ」


スマホを取り出して、ディスコードIDを表示する。

コウさんはちゃんと確認して、にこって笑った。


「ありがとう。連絡するね、るるちゃん」


その“ちゃん”が、嬉しすぎて、わたしの胸はぱんぱんにふくらんでいった。


(……なんでだろ。好きとか、憧れとか、そんな言葉じゃ足りない)


わたしの中に、あったかくて、でも落ち着かない気持ちがどんどん広がっていく。


(……これって、なに?)


その答えを、わたしはまだ知らない。

でもきっと、今日からはじまったんだ――はじめての、“なにか”が。

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