『その声、誰!?――新星Vひよこまる、突撃乱入!』
『ちょっ、まって!? レーイーくーん!? 誰とそんなに仲良くしてるのー!?』
――配信中の朗読劇に、突如として割り込んだ“第三の声”。
一瞬、沈黙。
その直後――
\えっ!?/
\誰!?誰の声!?/
\え、これ台本?/
\ひよこまる!?ひよこまるじゃない!?/
\配信事故!?/
\逆に神回の予感しかしない/
「……おいおい」
配信ブースのコウ――いや、レイ=アマギは、完全にフリーズしていた。
隣のルイはと言えば、余裕の笑みを崩さぬまま、マイクに口を近づけた。
「……あ、来たね」
そのトーンには、どこか“覚悟”のようなものが混じっていた。
けれど内心では――
(来たか……いや来るとは思ってたけど! ここで来るのは想定外すぎる!)
月詠ルイの脳内は、軽くパニックを起こしていた。
『もーう、レイくんったら! 私を差し置いて、他のイケボと何やってるのぉ!?』
画面に新たな立ち絵が表示される。
ひよこパーカーに大きなリボン、明るく元気なトーン――まさに“ひよこまる♪”のアイコンだ。
\マジできたwwww/
\本物!?リアルに!?/
\ひよこまる参戦!?ww/
\いや可愛すぎて耳が幸せ超えて混乱してる/
\台本どこいったww/
裏配信ルームでは、神代カオルが額を押さえて呻いていた。
「だから言ったでしょ!? “出たくなったら出ていいよ”って言ったら、やりすぎるって!」
スタッフ:「マネージャー! このまま放送続行で?」
「続行しかないだろ! ……責任は、全部私が取るッ!」
一方その頃、配信内――
ルイ(冷静風):「さて……“お嬢様”が突然のお出ましだね」
ひよこまる:「ふふふ~ん♡ レイ執事には、ちょ~っとお仕置きしなきゃだよねぇ?」
レイ:「えっ……何この展開」
ひよこまる:「では、いきまーすっ☆」
(※裏でひより本人、完全にテンション爆上げ中)
『第二幕――浮気した執事への“ご褒美”タイム』
ひよこまる(お嬢様):「まったく……他のご主人様なんかと、しけこんで……。ねぇ、わたしのこと、忘れてた?」
レイ(震え声):「あ、いえ……決してそのようなことは……」
ひよこまる:「ふーん? じゃあ……証明、してよ♡」
\ひよこまる攻め!/
\こっちが赤面するわ!/
\レイくんがんばれwwww/
\もはや朗読劇じゃない!新ジャンル始まった!/
\これアーカイブ残る?いや無理では?ww/
コウは必死に画面外のモニターを見る。
(おい……ひより!? お前なにしてんだよ!?)
※現実:隣の収録ブースでノリノリの“妹”。
※さらに言うと、妹が操作してるVモデル=ひよこまる。
神代(裏音声):「ひよこまる、やりすぎ! 軌道修正して! ルイくん、なんとかフォローお願い!」
ルイ(内心):「俺……今日で引退するかも……」
しかし――その“混沌”の中、視聴者数はついに10000人を突破。
コメント欄は秒単位で更新され、《#ひよこまる乱入》《#台本とは》《#神展開》が同時トレンド入り。
そして――次の一言で、爆笑の渦が巻き起こった。
ひよこまる:「レイくん、あとでお仕置きだからね♡ “膝枕30分”ねっ♪」
\それは罰か!?ご褒美だろ!?/
\完全にひよこまるのターン入ったww/
\ひより=女帝説/
\朗読劇が乙女ゲーになってきたw/
\コウ……生きろ……/
ルイは笑いを堪えながら、そっとマイクを調整した。
「ふふ……じゃあ、三人で続けようか。即興で、三角関係の劇に切り替えるよ」
ひよこまる:「えぇー!? そんなの聞いてない~!」
レイ:「……俺も聞いてませんから……」
――嵐は、まだ始まったばかりだった。




