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イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について  作者: のびろう。
第4章 『ありがとうの予行演習、恋のはじまり』

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幕間デート?:ひより編「兄妹だからって、我慢できると思った?」

「……ねぇ、お兄ちゃん。今日ってさ、仕事だけど……その、ちょっとくらい……デートっぽくても、いいよね?」


声に出した瞬間、もう戻れないってわかってた。

わたしの中の“妹の顔”は、たぶんもうしまえなくなってる。


お兄ちゃん――コウは、隣で立ち止まって、不思議そうに私の顔を見てくる。


「ん? ああ……まぁ、下見っていってもデートコースだしな。ひよりが楽しんでくれたら、それでいいよ」


その笑顔。

無意識に、無自覚に、わたしの気持ちをえぐってくるその優しさ。

ねえ、わかってるの? それが一番ずるいんだよ。


 


手を繋ぐのは、もう自然になってた。

もともと昔からくっついて歩いてたし、今さら気にするようなことじゃ――ないはずなんだけど。


……違うの。

今は、全然、違うの。


繋いだ手から伝わる体温が、妙に熱くて。

風船売りの声も、ジェットコースターの悲鳴も、ぜんぶ遠くに感じた。


そんな中でふたり、観覧車に乗る時間がやってきた。


ゴンドラがゆっくりと浮かび上がっていくと、まるで異世界に閉じ込められたみたいに静かになる。


「ひより、暑くないか?」


「ううん……ちょっとだけ、眠いかも」


本当は眠くなんてない。

ただ……近づきたかった。触れたかった。


だから私は、お兄ちゃんの隣に滑り込むように座って、

そのまま、お兄ちゃんの太ももに――そっと頭を預けた。


 


まず、腰を少し浮かせて、膝の位置を慎重に見極めて。

頭の重みを預けるには、角度が大事で――って、そんなの考えるフリ。


内心ではもうドキドキで、心臓の音が耳に響く。


「……ひ、ひより……?」


「ちょっとだけ、ね?」


そう囁きながら、私は自分の体をお兄ちゃんの右足の上にやわらかく倒す。

両手を前で組んで、まるで“兄に甘える妹”のポーズ――けど、頬が少しだけ太ももに当たる角度で、

耳の先が、お兄ちゃんのシャツの裾に、かすかに触れている。


「これ、ダメ?」


「あ、いや……びっくりしただけ」


たぶん、びっくりしてるのはわたしの方。

太ももって、想像以上に……やわらかくて、硬くて、あたたかい。


触れているだけで、身体の奥がじわじわしてくる。

……こんな感覚、初めて。


視線を上に向けると、お兄ちゃんは顔を赤らめながらもじっとしてくれていた。


その表情が、愛おしくて、たまらなくて。


「……お兄ちゃん、ひよりのこと、どう思ってる?」


「え?」


「妹として、じゃなくて……女の子として」


 


言った瞬間、観覧車の中の空気が変わった気がした。


静寂。沈黙。

だけどその間にも、心臓の鼓動がひとつ、ふたつ――。


私は、そっと体を起こす。

片腕でお兄ちゃんの肩に体を支えて、わざとバランスを崩すように倒れ込む。


ぐらりと傾いた体勢のまま、私はお兄ちゃんの胸に――ぱたんと、顔を埋めた。


「あ……ご、ごめん……」


「ひより、大丈夫か?」


「だめかも……近すぎて、ちょっと……緊張してきた」


まるで告白みたいな声になっていた。

お兄ちゃんの心臓の音が、耳の奥で鼓膜を震わせていた。


そのまま、ほんの数センチ顔をずらすと――

視線と視線が、吸い寄せられるように重なる。


「……キスしそうになったね」


「……ああ、ほんとにな」


その“ほんとに”って、なに?

お兄ちゃん、それは……期待していいの?


 


そのとき、ゴンドラがゆっくりと地上へ戻り始めた。

私は急いで体を離して、さっと隣の席に戻る。

頬が、熱い。心が、暴れてる。


「ご、ごめんね、なんか変な空気にしちゃって」


「いや……こっちこそ。ひより、ありがとうな。楽しかった」


……ずるい、そういうところ。

やっぱりお兄ちゃんは“妹”の私しか見てくれないのかな。


 


けど――それでもいい。

少しずつでいい。ちょっとずつでいい。


いつか、“妹”じゃなく、“ひより”を好きになってもらえるように。

その日まで、私は……ちゃんと“我慢”してみせるんだから。


 


だって、今日のお兄ちゃんの顔、わたしだけが知ってるんだから。

こんなにドキドキした観覧車、きっと他の誰かとは乗ってないはずだもん――。

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