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イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について【7万PV感謝】  作者: のびろう。
第17章『LinkLive村 夏祭り!バーチャル縁日スペシャル』
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『灼熱!焼きそば戦線異状アリ!?』

「よし……今度こそ、ちゃんと焼くぞ。普通の、ちゃんとした焼きそばを……!」


煙が目にしみる中、レイは懸命に鉄板と格闘していた。


豚肉、キャベツ、そして謎ナルト(今回は封印した)を乗せ、ジュウウッと焼き色がつく。ソースをかければ、香ばしい匂いが一気にVR空間に拡散。


「……いいぞ、今回はまともだ。これぞ、祭りの主役……」


しかし、その瞬間。


——ブイィィィンッ!


画面右上に、システム通知が浮かび上がる。


【★観客アンケート機能:起動しました★】

【“焼きそばに何を入れたい?” 現在集計中……】

【1位:チョコバナナ(37%)】


「待て待て待て待て待て!!なんで!?なんで焼きそばに甘味を求めるの!?!」


慌てて操作を止めようとしたが、時すでに遅し。


鉄板の上に、バナナの皮が舞い降り——その上からチョコソースが豪快に滴る。


「ギャアアアア!?バナナ、跳ねてる跳ねてる!焦げてるし跳ねてるし甘い匂いするしぃぃぃ!!」


しかも観客アバターたちは、なぜか大興奮。


「やべぇ!革命だ!」「あまじょっぱい系の未来、来てる!」「レイさん、天才!」


「違うんだよぉおおお!?俺、そんな気は一切ないのにィィィィ!!」


一方その頃。


LinkLive村・中央エリア。そこに、白銀の小さな影がゆっくりと姿を現す。


「ふっふっふ……“るる式しゃてき・完全体”のデビューなのっ♪」


それは《るる☆るん!》の進化系屋台。いや、もう“屋台”というか“メカ”。


四足歩行型の移動式射的台に、後部には煙突から泡が噴き出し、屋根には風鈴とアンテナ。そして前方には——ミサイル型(※実際は花火エフェクト)“スーパー弾”が。


「るるは考えたの。お客さんが“待つ”んじゃなくて、“屋台が行けばいい”って!」


「なるほどね!って違うわ!!」


通りすがりのアバターが全力でツッコむが、もう止まらない。


「さあ、るる式しゃてき!モード2、れっつ・ばーすとっ☆」


——ズガガガン!!


移動式射的屋台が、煙を吹きながら広場を爆走。


その弾道が何を破壊するかというと、なんと真白みなとの輪投げ屋。


「きゃっ!?るるちゃん!?そこ、輪の回収ポイントなのぉぉぉ!?」


輪が衝撃で吹っ飛び、代わりにメグのヨーヨー釣りスペースへダイヴ。


「わあっ!?お客さーん、ヨーヨーじゃなくて“浮き輪”釣ってますよぉ!?サイズ違いッスぅ!」


ドタバタの連鎖反応が続く中で、観客のボイスチャットが次々に炸裂する。


「焼きそばが甘い!」「射的が自走する!」「ヨーヨーが爆発した!!」「もしかして、これが芸術……?」


LinkLive村は、もはや芸術の域に達していた(※混沌という名の)。


「ひよりちゃん、金魚どうなってる?」


「えっと……“水槽から旅立って野生化”してる」


「ええええ!?野生化ってなに!?バーチャルで!?VRなのに!?」


水槽の外でピチピチと跳ねまわる金魚アバターたち。それらは自我を持ったかのように、まるで“第二の夏”を謳歌していた。


「……この村、絶対バグってるよね……」


レイは焼きそばにバナナを追加しながら、遠い目でつぶやいた。


すると、カオルマネージャーから音声通話が飛んでくる。


《あのぉ……焼きそばのカメラ、視聴者数が現在トップです。3万超えてます》


「いやいやいや!?なんで!?どの層に刺さってんの!?」


《“甘い焼きそば”っていう新ジャンルの切り口が斬新すぎて、“バズってる”らしいです》


「バズらなくていいんだよぉおおおぉおお!!!」


その声が、LinkLive村の祭囃子にかき消されていく中——


「さて、つぎは“空飛ぶしゃてきモード”を実装するの♪」


天才系(物理)キッズV、《るる☆るん!》の無謀なアップデートが……こっそり始まろうとしていた。


LinkLive村、崩壊まであと……カウントダウン、開始!

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