もう一度、声を届けたい――LinkLive村リベンジマッチ!?
「よし、リベンジだ!! 今日こそ、オレが主導権を握るッ!」
翌朝のLinkLive村。
目覚めたレイ(=天城コウ)は、ベッドの上でガッツポーズをキメていた。
……というより、夢の中でプロポーズされ、四人に追いかけ回された末に川に突き落とされたせいで、
ベッドから転げ落ちた勢いで目が覚めた、が正しい。
「今日こそ普通に、マイクラでのんびり隠れ家建てて、焚き火して、羊毛刈って、平和に暮らす……!」
夢見るような目でログイン。
画面がLinkLive村に切り替わる。
「——って、なんで俺の家、消えてんの!?」
ログイン初手で飛び込んできたのは、更地。
昨日まで愛情込めて積み上げていた“木造平屋の隠れ家”は、
美しくなめらかに整地されていた。
画面端に、誰かの看板が立っている。
《New!共用ラブハウス予定地♡ by 夜々》
「夜々ぃぃぃぃぃぃぃ!!?」
「レイくん、おはよ〜♡ 建築自由エリアだったから、つい♡」
「“つい”で消す規模じゃねぇよ!? これ、共有の愛の巣じゃなくて、俺の尊厳が燃えた跡地だぞ!?」
だが、運命の歯車は、すでに回っていた。
「じゃーん♪ リベンジ企画、発表しちゃいまーす♡」
夜々の声が響き、村の中央に巨大な看板が出現する。
《#推し婚リベンジ祭・第二幕「新婚生活RTA選手権」》
「……新婚生活……RTA……?」
「ルールは簡単♪ 制限時間内に、レイくんと新婚っぽい“共同生活”を一番うまく演出できたチームが勝ち♡」
「チーム!?」
「そう♪ 今回は、“同棲チャレンジ形式”♡」
レイを中心に、ひより・メグ・みなと・るる・いのり・夜々の6人が、ランダムペアで“新婚生活ワールド”へ飛ばされる。
しかも、それぞれの部屋に与えられるアイテムが超クセ強。
▼チーム割りとアイテム状況:
・ひより&レイ → 狭小ワンルーム(ベッド一つ)+「恥ずかしいイベント音声MOD」
→「わ、わたしの声で、“おかえりなさいご主人さま”が流れてるぅぅ!?///」
・メグ&レイ → 全力推しグッズ部屋+「同人誌即売会MOD」
→「ちょっとレイくん! 自分の抱き枕に囲まれて寝る気持ち、どう!? 最高でしょ!? ね!?」
・みなと&レイ → 土間+竈+和式便所(超リアル)
→「……ご飯、食べる? 大根あるよ」
→「この圧、すごい家庭感……」
・るる&レイ → 豪華な天蓋ベッド+バスタブ(設置済)
→「一緒にお風呂入るイベントって、そういう意味じゃないよね!?」
→「えへへ〜♡ 泡立て係、がんばるね♡」
・いのり&レイ → 空飛ぶ神殿+“夫婦神託チャレンジ”付き
→「レイ様、神が告げています。“いま、抱きしめよ”と……」
→「無茶振りがすぎる!!!」
・夜々&レイ → “結婚式”会場の控室で24時間生活MOD
→「ドレスのまま寝るの、ロマンあるよねぇ♡」
チャット欄は当然、トレンド爆走。
《レイくんが過労死する回》《どの部屋も罠しかない》《みなとの台所の安心感》《泡風呂どこだ!》《神託ガチ怖い》《メグの布教が本気すぎる》《ひよりの声MOD…最高か》
レイ:「これ、試練どころか、**人生の岐路なんだけど……!?」」
でも、そんな中で——
「……ねぇ、お兄ちゃん。次は、ちゃんと伝えたい」
ワンルームで、そっとひよりが言った。
「投票じゃなくて。見せかけでもなくて。
この声が、誰かに“好き”って届くなら……
わたし、自分の気持ち、もう隠さない」
目が合った。
そこには、ステージもランキングもなく、
ただ“ひより”というひとりの女の子が、俺を見ていた。
「……うん。ちゃんと聞くよ。どの声も」
その言葉に、ひよりは微笑んだ。
──ラブバトルは続く。
でもたぶん、もう負けるのは怖くない。
伝えたいって思える声が、ここにはたくさんあるから。
「それじゃ、#リベンジ婚バトル、ラストスパートいっくよー!!」
夜々の号令で、再び村が騒がしくなっていく。
レイ:「……ちょっとだけなら、付き合ってやるよ。この戦場に」
(※なお、このあと三回爆発し、レイはベッドに引きずり込まれる模様)