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魔王対何かの戦い

空気の魔王と雷の魔王の戦いの1コマ

作者: 蟹地獄

二人の魔王の超絶バトル開幕

舞台は荒れ果てた大地。

空には暗雲が立ち込め雷鳴が轟き、空気の魔王と雷の魔王が空中で対峙している。

何を隠そう奴等は仲が悪いのである。


まず先に空気の魔王が雷の魔王を指差し、文字通り口で口火を切る。

空気のような存在感でふよふよと漂いながら叫ぶ。

「雷よ!貴様の力は一時の脅威に過ぎぬ!私の力で貴様を包み込み、静寂をもたらしてやる!」


だが逆に先制攻撃を仕掛けたのは雷の魔王。

「ふん、空気の魔王よ。お前の静けさは、私の雷鳴には勝てぬ。見せてやろう、真の力を!」

雷の魔王が空に向かって手をかざすと激しい雷光が空気の魔王に向かって落ちる。

ドギャーン!グワラゴラワガラガラドーン!

遅れて雷鳴が鳴り、地上では木が裂け、火柱が上がり、動物達はカメラを回してた。


雷の魔王が放った稲妻は空気の魔王を捕らえ決着がついた。

否。

空気の魔王は動じない。

「無駄だ、雷よ!私の力でその雷は吸収した!」

空気の魔王は周囲の空気を操り、雷を封殺したのだ。


周囲が静まり返る。

驚いた雷の魔王の目が飛び出す。

「何だと!?それが貴様の力なのか!」

しかしそこは歴戦の雷の魔王。

すぐに気を取り直す。


「やるな!だが、私にはまだ秘策がある!」


雷の魔王は深呼吸し、全身に雷のエネルギーを集めた。

雷を操れるのだ。


だが空気の魔王は余裕の笑み。

「よかろう。そのエネルギー、私が受け止めてみせよう!」


雷の魔王は青筋を立て、少しだけピリッとした。

「ふん。つまらん奴め。喰らえ!」


そして雷が一気に放たれた。

先程とは比べ物にならないくらい圧縮された高威力の稲妻が空気を伝う。


空気の魔王は全力で受け止めるが、圧倒的な力に押し返される。


空気の魔王は地面に叩きつけられ大の字になって倒れた。

「ぐっ…!」


今度こそ決着はついたかに見えた。


しかし。


「だが、まだ終わらん!」


終わらないようだ。

空気の魔王はわりとしぶとい。


それを見た雷の魔王は調子に乗ってさらに追撃の雷を落とし続けていく。


ゴロゴロドカーン!ガシャーン!ビシャーン!イヤ~ン!


再び木が裂け、大きな火柱が上がり、動物達もあわてふためきながら口々に「カメラに収めた動画には解説が必要だ」と叫び「この戦いはどうなってしまうのでしょうか。続く。」とナレーションを入れ始めた。


一旦CMが入る。


CMの間、動物達は立ち止まり再び魔王達の戦いに目を向けた。


すると今度は空気の魔王が周囲の空気を一気に動かし、強風を巻き起こした。

雷の魔王はその風に翻弄される。


しかし雷の魔王はキリモミしながらこう言った。

「この風…およそ1253メートル毎秒!だが、私は負けない!」


戦いはより一層グダグダしいく。


雷の魔王が再び雷を放つ。

二つの力がぶつかり合い、周囲が光り輝く。

圧縮された空気や稲妻がノスタルジーを醸し出す。


「この戦い、どちらが勝つか…!」


雷鳴と風の音が交錯し、戦いは続く。


そして舞台は暗転し、少しずつ幕が下りていく。


ビーッ!!


「ここで終わりかー!?」「もっと見せろーっ!」「ふざけんなー!」「時間を返せーっ!」


こうしてアメリカ市立フランス老学校三年二組の出し物は野次と罵声の中で幕を閉じたのであった。

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