プロローグ
友人の過去世を物語として書き起こしてみました。処女作なので拙いところも多々あると思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。シエラが体験した世界、そしてその思いを皆様にも届けられたらと思っています。
「レオーっ!そんなに急がなくても大丈夫よ!転んだりしたら危ないから走らないで!あまり遠くへ行ってはだめよ!」
「うん!わかってるー!!」
「んもう・・・本当にわかってるのかしら・・・」
元気いっぱいに野原を駆け出したレオを見て、シエラは小さくため息をついた。
レオがこんなに張り切っているのも無理はない。10歳になったばかりのレオは久しぶりの母との外出を心から楽しみにしていたのだ。もちろんシエラも楽しみだったのは同じだ。
リリーとシエラが大好きだった場所、大地の丘。
そして今日はシエラにとって特別な日。
姉のように慕っていたリリーの誕生日でもあり、命日でもあるからだ。
レオ、大きくなったでしょう?あれから5年・・・もう5年も経ったのね・・・
リリーの墓所、と呼ばれる場所はない。墓所を作るのは禁じられているからだ。
シエラはこの丘をリリーの墓所の代わりにしていた。
この大地の丘はリリーのお気に入りの場所で、昔はよくこの丘に遊びに来ていた。
リリーはシエラが作るハーブパンが大好きで、そのハーブパンにたっぷりの野菜とベーコンをのせて、レオと3人でかぶりつき大声で笑っていた光景が昨日のように思い出される。
今日はレオと2人でリリーに会いにその丘へとやってきた。