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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

短編他

余命の交換しませんか

作者: 如月ふたば
掲載日:2022/05/30

 私は公園のベンチでうらびれたスーツに身を包んだ男性の目の前に姿を出した。

「あなたの願い通り、余命を交換いたしませんか」

 こう告げるために。


 何言ってんのこいつ。では、ありません。

 怪しくないし。

 そもそも誰がどう見たって、禿散らかしたあなたのようなおっさんより、

私のほうが見栄えがいいですから、私を信用してくれると思いますよ。

 もちろん見ず知らずの方限定ですけど。

 でも今さ上原(かみはら)さん、

「こんな辛い思いばかり続くなら、この残りの命誰かに渡した方が良い」そう考えてたでしょう。

 なぜ知っているかですか。

 私ね、余命交換する仕事請け負ってるんです。

 誰からか?ですか。

 命にかかわることですから、あなた方が仰る所謂神様的な存在からです。

 ほらほらそんな胡乱な目で人を見ない。 


 とりあえずと言いながら、無理やり私は男の横に座る。

 あなたと話したいことはありますが、別に傍にいたいわけではありませんので、

もう少し間を空けて頂いても構いませんよ。

 私たちの会話が他人に聞かれても、

ただの下らないワイドナショーの話に聞こえるように、都合良くしてありますから。

「勝手に隣に座っておいて……」と、

ぶつくさと言いながら、私との距離を少しだけ空ける。

 隣に座っていたほうが、話しやすい気がただけなのでそれは仕方がありません。

 などと、適当なことを言って話を進めることにした。


 それで上原さん。率直に伺いますが、もう余命いらないって事で良いですか。

 あ、あとどのくらい生きられるかっていう質問は駄目です。

 ルール違反なので。

 あとは、そうだな、こちらから何人か、

余命を差し上げて欲しい方のプロフィールをお渡しすることはできます。

 こういう方がいたら差し上げてもいいな、っていう意見も伺えます。


「まず、なんで俺の所へ? 」男が尋ねる。

 人の話こいつ理解できないのかよ。

「仮に余命交換が仕事だとして、なんで俺なんだよ」

 ぶっきらぼうな態度をとる上原。

 人生長くなればいいのにって思う方は多いんです。

 その逆で、もう充分生きたからと、

思う方はいらしても残りを人に差し出そうと思い至る方は少ない。

 だからさ、割と重要な申し出ですし、前々から目を付けていてリサーチしていたことは否定しません。

 他人の不幸を楽しみやがってみたいな目、してらっしゃいますね。

 これ考え出したの私じゃないんで。

 他界後に閻魔に会ったら閻魔様にお伝えください。

 宗教的に天使なら天使でも良いです。

 私の上司みたいな人たちは、わりと下界より緩いんです。

 その話をし始めると長くなりますから、話し戻しますね。


 3人ほどピックアップしたんですけどご覧になりませんか。

 そう言いつつ私がノートをめくる動作をすれば、

手にノートが現れ、軽いモザイクのかかった人の顔と仮名や簡単なプロフィールが現れる。


 まず一人目は、ベッドに座り本を読む少女。

 この方に関してはあまり説明は無いと思いますが簡単に。

 生まれながらに体が弱く、「普通に」生きたいと願っています。


 二人目は中年に差し掛かるのではないかと思われる女性。

 この方自身は健康状態が悪いわけではないのですが、

「私が他界したらこの子を誰が面倒見てあげるのだろ」と、

ご子息に対し思っていらしている方です。


 三人目は、ちょっと待って下さいね。

 私は内容が勝手にすり替えられていることに気づき、

 あたふたしながら話しを続ける。

 こちらのご高齢の男性は、長年埋蔵金に「さぁこ?」

 ノート見てないと思っていたら、このおじさん私のノート見てたいたらしい。

 本当は高齢男性の予定だったのに、若い女性にすり替わっていた内容をだ。

 あいつら何してくれてるんだと私は心の中で舌打ちをする。


「さぁこ、3カ月後死ぬんですか。本当に!? 」

 確かに、この女性の死亡日は本日XX年〇月××日の3カ月後の日付が記載されている。

「そうか、あの男と何年かかってもいいから結ばれたかったのか。

 にも関わらず、他の男に命を狙われて他界するだなんて」

 だから余命を延ばしたい?

 私からすれば妙な表現な気もするが、上原は納得している様子だ。

 彼の気持ちは決定したらしい。

「さぁこに残りの命を差し出す。

 例え、さぁこが気付かなくても彼女の幸せに貢献できるなら。

 どうすればいい?かぁことの余命を交換すると強く願えばいいのか!? 」

 鼻息を荒くしながら、まくし立てる上原に私はやれやれと首を振る。


 人の話が一切耳に入らない様子でノート取り上げ、

幸子(さちこ)こと、このページの女性と余命の交換をする!! 」

 上原は宣言するとともにページが輝く。

 あ、そんな方法で契約できちゃうんだ。

 私ですら知らなかったのに、何故だろう。

 いや、そもそもなどと考えを巡らせている間に、

 意気揚々と上原は席を外し公園から去っていってしまい、

 後ろ姿が小さくなる。

 私はため息を付きながら彼を見送ることしかできなかった。



 〇月××日から1週間後の▽月〇日

 若くそれなりに人目を引く女性の後を付ける男性がいた。

 後を付けれらていると感じた女性は、恐る恐る振り返り安堵と怒りの表情を浮かべた。

「二度と私の前に現れないと言っていたはずよね!? 」

「さぁこ、これは違うんだ。

 俺は君が誰かから狙われているのを知って

「後を付けてくるような卑劣なことをする人何て、

 あんたくらいしかいないわよ。上原悟っ!! 」

 本当なんだ。君は3カ月後にある男性の車の下敷きに。あれっ!?」

 上原の手の刃物が怪しく光る。

「ち、ち、違うんだっ!!俺じゃなくて」

 錯乱した様子の男性を目の前にした若い女性からは悲鳴のあと、

あえぐような息遣いが少しづつ小さくなっていった。




 ー----


 上原の様子が気になり少しだけ監視をしていた私は、

改めて自らのリサーチ内容を確認する。


 【上原悟(37) XX年▽月〇日 事故死予定】 

 会社の部下に懸想し貢も、彼女には本命男性(既婚)有。

 彼女から別れを告げられ思い悩み、見返してやりたい気持ちと役に立ちたい気持ちが交差。


 XX年は私以外の誰かがXZ年から書き直した様子が残っていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 寿命の交換という発想のアイディアはおもしろい。 [気になる点] オチの表現が雑に思えた [一言] がんばって
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