第88話 エリオット侯爵領の結末
シルコレア帝国の皇帝から指名依頼を受けたジンファミリーは帝都に潜む政敵のエリオット侯爵の配下500名余りの裏ギルドの殺し屋達を全て消し去って、いよいよ侯爵の自領地パラメーラに向かって馬車を走らせていた。
皇帝が手配してくれたユースダレーの高級宿を朝出て、いよいよ敵地パラメーラに向かった。
ウォーホースのフジの足では午後一番には宿に着くので、手綱を持つドールものんびりとフジを走らせていた。
途中で昼食休憩を馬車の中でジンの前世の定番のトンカツカレーを出して昼食に食べ、小一時間ほどコーヒーを飲みながら侯爵をどう処理するか話し合った。
一応帝都の裏ギルドの連中のように、一瞬で消し去るのも、相手は領主で家族も配下の騎士団、侍従達の処理もあるので一応皇帝の特使として来たと面会して皇帝の手紙をだして要求を飲めない場合は領地没収で平民格下げと、相手が飲めない条件でジン達を襲って来たところを消し去ることにした。
途中2度も野盗の襲撃にあうが、エリオット侯爵の高い年貢の要求が酷く農民も商人、市民達が野盗になっているようだった。
そのため、襲って来た野盗達を殺さず領主がもう直ぐで変わるので、心を入れ替えて真っ当に生きれば助けてやると約束させて、解放してあげた。
午後3時頃に城壁の門に着き、兵士にカードを見せてすんなりパラメーラの街に着いた。
周りを見渡すと、野盗達が言っていたように年貢の取り立てが厳しいのか市民達の元気のなさがやたら目立った。
領主が住む館に一番近い宿を抑えて、一応2泊で泊まることにした。
部屋に入って、そうそうジンはニセの皇帝からの手紙をしたためて、ヒューイとドールそれにイリーナを連れ立って早速エリオット侯爵邸に伺った。
門を守る兵士に皇帝からの使いだと言って侍従長を呼び侯爵に面会を申し込んだ。
客間に通されるが、周りに騎士団が剣を持って客間を伺っているのが良くわかりジンは笑ってしまった。
しばらく待たされると侍従長が申し訳なさそうに来て「侯爵様は皇帝の使者などと会う必要が無いそうでお帰りくださいとのことです」
「そうですか、では侯爵殿にお伝えしてください。貴殿の配下の帝都の裏ギルドの連中500人は私が全て消しました、もし我々の要求に従わないときは夕方までに侯爵がこの官邸から消えることを覚悟してください。そう、伝えてくれ、では失礼する」と言って侯爵邸を出ようとすると、隣にいた騎士達が一斉に襲って来たが20人ほどを瞬殺して、門を出ようとした。
後ろから侯爵子飼いの魔法師3人ほどがせこい魔法を放って来たので、イリーナが巨大な【ファイアボム】で館の廊下ごと吹き飛ばした。
侯爵邸にいる騎士団長含めて50人が後ろから剣を構えて、襲ってくるがドールとヒューイが簡単に首を落として、ジンが「君が侯爵家の騎士団長だね、皇帝からの手紙を渡そうと思ったが拒否されて侍従長に君の親分である侯爵は今日の夕方この世から消えるから、今後の身の振り方を考えておきな」と言って彼が構えている高かそうな剣と鎧を人差し指で一瞬にして消した。
騎士団長は圧倒的な実力を見せられてすぐさま侯爵のもとに走って行くが既にジン達は侯爵邸の門を出て、侯爵邸の塀だけを全て消して歩いて街に戻って行った。
侯爵は侍従長から聞いたことと騎士団長が慌てて戻って来て、あっという間に騎士団70人が殺され、家を守る塀が一瞬で消えたのを見て慌てふためいていた。
帝都の500名ほどの配下が全滅した知らせが届いたのは、ジン達が去った1時間ほどあとだった。
「ジン、おそらく侯爵は全軍を連れて、この宿に向かってくるわよ」とイリーナ。
「そうだね、宿に迷惑が掛かるからその前の侯爵邸近くの道で待ち構えていようよ」と言って、全員馬車に乗り、侯爵邸まで500メートルのところで侯爵の軍隊を待つことにした。
予想通り2時間後の夜に差し掛かった5時頃、侯爵邸から1200人程の騎士団と兵士が街に向かって出て来たが、ヒューイの【ファイアスプラッシュ】で一気に半分以上の兵士達が灰になって焼かれた。
残る連中は慌てて館に逃げ込むがエリオッ侯爵はジンによって既に消されてこの世にいなくなっていた。
ジンが一人館に赴き、侍従長と騎士団長、侯爵夫人に事の説明をして「全員討ち死にするか館を引き払って次に生きて行く方策を探すか2日間で決めなさいと」伝えた。
侯爵夫人はジン達と話を持ちたいという事で翌日午前中侯爵邸で打ち合わせることにした。
「ジン、それにしても派手に処理したわね」とイザベラが呆れていたが、「何日かけても、あの侯爵では円満解決には至らないからしょうがないよ」とジンはサバサバして宿の夕食を皆んなと楽しんで食べていた。
「今後の話だけど、侯爵夫人は話がわかりそうな人だから息子を見ながらこの領地を息子が引き継いでくれればと思っていうのじゃ無い?」とイリーナ。
「ただ、父親が皇帝の使者に殺されて遺恨を残さないかしら?」と心配顔でオレリアがいう。
「それに関しては俺が如何に君の父親が酷いことを帝都の市民とこの領地の住民に行って来たのかを丁寧に諭し、説明するよ」とジン。
翌日宿で朝食後全員で塀が無い侯爵邸に行き、侯爵夫人と侍従長、騎士団長と話あいになった。
「まず私は皇帝から依頼を受けて参ったジンというものです、こちらは私の家族達で全員がこの世界で最高ランクの冒険者SSSクラスのもの達です」
「あなたのご主人でいらっしゃったエリオット侯爵が帝都で皇帝夫人や王子達を殺そううと市民をも巻き添えに襲ったことは奥様はご存知ですか?」
「申し訳ございません、主人は日頃からわしがやることに口出しをするなと言われており、全く存じ上げておりませんでした」
「そうでしたか、この領地の住民も皆、重税にあえいでおり、一部は野盗に身を落として生きて行く始末、皇帝はそれを見かねて正そうとしていたのです」
「自領地は保全を確約している皇帝に対して反旗を起こし皇帝家族を亡き者にしようとした罪は本来なら家族一同断罪するところですが、私たちは一つ条件を出してこの地を貴女の息子さんに治めて貰うよう提案いたします」
「ただし、今後皇帝には忠誠を誓い、住民とともに良い治世をしてください」
「どうでしょうか?この提案を拒否するのであれば奥様の実家に戻り静かに暮らすこともできますよ」とジンは話した。
「はい、息子が立派にこの地を納めるように私と騎士団長達で支え合って行きたいと存じます」
「そうですか、それならよかった。息子さんが成人するまでは侯爵家はそのまま若いけど息子さんが継ぐということで侍従長と騎士団長もしっかり補佐してください。私が消した館の塀は出るときに戻しておきます。それと騎士団長、今後の兵士は400人程度しか残らんが、おいおい募集して良質の騎士達を集めてください」
ジン達は一応ジン達が考えたところで落ち着いたのでホッとして宿に戻る時にジンは改めて【復元】を掛けて塀を元に戻して館を出て行った。




