第52話 ニースアでのスタンピード
レンブラント王国の西海岸の街、セモアの”潮騒のダンジョン”を踏破してベルギア公国に入国したジン達一行は海の幸を再び求めて海岸線を南に下りていきバリルの街を目指した。
海を見ながら朝食を済ませた一行は、街の門の衛兵にカードを見せて、先ずは朝市が開かれている中央市場にやって来た。
「イリーナさん、魚は白身を20匹ほど買いましょうか?ソテーにしたり鍋にすれば女性陣3人は肉よりもいいでしょ?」
「そうねぇ、マナバイソンやケルピーのステーキよりは魚のソテーを食べたい時の方が多いわね!女性でもヒューイちゃんは肉食系だから別ね」
「私はオークの照り焼きや、ファングボアの生姜焼き、マナバイソンのステーキが有れば何もいらないわ」
「ヒューイは元々肉食系だものね」
そんな会話をしながら市場を回って、イエローテイルを20匹、カレイに似た白身の魚20匹、エビ、タコ、貝類をかなり買い込んで、次は野菜をまとめ買いした。
公国は果物が美味しいので、マンゴーと似た味の果物、スイカ、スターフルーツなども沢山買い込んで、車の【次元ストレージ】に入れた。
中央市場を出て、冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドはこじんまりした2階建で、受付に二人の女性が担当でいた。
クエストを見ると、海の関係の依頼がやはり多めだった。
その中で、シードラゴン2匹の討伐依頼が有り、1匹辺り金貨5枚だ。
このクエストとケートス1匹金貨3枚のクエストを選んで受付にだした。
ジン達は『空飛ぶ車』に乗り込み、2メートル海上を飛びながら【サーチモニタ−】を見ていると、ケートスが先にモニターにかかった。
イザベラがケートスの周辺を【氷壁】で追い込んで、更に【アイスアロー】を放って刈り取り、ジンの【奪取】で【次元ストレージ】に入れた。
更に海上をゆっくり飛んでいると【サーチモニター】にシードラゴン2匹を捉えた。
イリアが【ウォーターアロー】とイリーナが【アイスアロー】を放ち、苦しんでいるところを、ジンが【奪取】で魔石をとって刈り取って回収する。
ギルドの素材置き場に持っていき納品書を受け取り、カードと納品書を受付に出すと、「ジン様、清算金、金貨13枚をジン様のカードに入金しました」と言って全員のカードを返してくれた。
以前公国を訪れた時は、キルネからトロンから公都ニースアに行ったが、今回はバリルから更に海岸線を行きチャンベルと云う街に行ってみる。
少しスピードアップして、お昼少し前に街の中に入った。
自炊でもいいのだが、海鮮料理のレパートリーを広げる意味でも街の定食屋に5人は入った。
ジンとイリーナ、イザベラとイリアが白身の魚のソテーと野菜スープにパン、ヒューイがケルピーの生姜焼き定食を頼んだ。
昼食を食べて、冒険者ギルドに行くと閑散としている。
時間も時間で、一番人がいない時間帯だが、それにしても寂しい感じがする。
掲示板を見ると、沢山のクエストがあるにも関わらず、こなす冒険者がいないのだろうか?
ジンが受付に聞いて見ると「冒険者の殆どが公都のスタンピード発生の応援に行ってしまっているのです」と云う話だ。
「イリーナさん、公都の最高ランクは騎士団長のAランクの人が最高らしいのでスタンピードが起きたら公都は冒険者だけでの対応では辛いのではないかな?」
「ジン君行ってあげたいのでしょ?私らもお手伝いするわ、すぐ向かいましょ」と云うことで、チャンベルの街から急遽【転移】で『空飛ぶ車』ごとニースアに【転移】した。
すぐに、ニースアのギルドに行き、受付に「ギルマスのケビンさんをお願いします」と云うと「ケビンは今スタンピードの対応で忙しく、お客様の対応には出れない・・・」
「ああ、ジン君」とトロンのギルマスのグラシアが声をかけてくる。
「チャンベルのギルドでニースアの件を聞いて【転移】で駆けつけたんだ。こちら私の仲間のSランクの魔法師のイリーナさん、イリアさん、イザベラさんです」
「あなた達が参加してくれればすごく助かるわ!すぐにケビンを呼んでくる」
しばらくすると、慌てた様子のケビンが飛んで来て「いやぁー、ジン君が来てくれたら鬼に金棒だよ”深淵のダンジョン”をジン君達が踏破した後、魔物の構成がガラッと代わり、人義的ではないけど強力な魔物に追われているように中の魔物達がこのニースアに向かって来ているんだ」
「数的にはどのくらいなんですか?」
「2万匹ぐらいだろうか?」
「それでは、今いる前線の冒険者を全て公都の城門の中を守るようにしてください。俺は、城門に【シールド】を掛けて公都全体を包み込んで守るようにします。魔物2万匹は俺たちに任せて全員が【シールド】内にいてください」
「僕も君たちと居たいのでシールドの外にいるよ」とケビン。
「私もだわ」とグラシアも言う。
「わかった、イリーナさん、イリアさん、イザベラはやばくなったら車に入っても構わないけど、僕の後ろから攻撃魔法を最大出力で放ってください。それぞれ魔力増幅器を使っても構わないからお願いします」
「それじゃ、即行動開始!」とジン。
城門の東門の外にいた冒険者1000人程が全て城門内に入り、万が一城門の内側まで魔物が来た場合、街を守る役目を負うことになった。
城門の内側の広場にはジョゼフ公爵以下3000人の騎士団も控えていた。
2万の魔物達が東門より3キロの地点にまで迫って来ていた。
ジンは公都の城門に沿って完全に街そのものを【シールド】で囲った。
イリーナもイザベラもグラシアやケビンもその力に驚いている。
「ドール、車から『フジ』を解き放して、雑魚の魔物の処理をやらせるから、それが終わったら、ドールは空から、広域レーザー砲を魔物の群れに数発打ち込んでくれ、それを合図に俺とヒューイ、イリーナlさん達が一斉に魔法を放つから」
「わかりました、『フジ』を下ろして上空から射程距離3キロに設定してレーザー砲を5発打ちます、その後はご主人様達の状況を見て随時打ち込みますので、お任せください」
ドールは『空飛ぶ車』を上空500メートルに浮かせて、広域レーザー方を1発、2発と放ち、5発目を打った時に、ジンが人前では初めてかもしれない神級魔法【インフェルノ】を放つと轟音とともに3キロ先の魔物の3/4の魔物を灰にしてしまった。
イリーナ、イリア、イザベラ3人も漏れた魔物達に極大【ファイアボム】を連発する。
ヒューイは神龍の姿になり、上空から火炎咆哮を放つと、【インフェルノ】と同等の威力でジンが消した魔物の残り1/4を全て消し去った。
2万頭いた魔物は残り20頭から30頭ほどの魔物が右往左往しているところを人型に戻ったヒューイが『神龍剣』で斬り殺し、『フジ』が噛みつき、蹴飛ばして、イザベラ、イリア、イリーナが【アイスアロー】で貫いて20分ほどして全ての魔物を全滅させた。
ただ、3キロ先に巨体を表した45メートルを超える黒龍が向かって来る。
おそらくこの巨大な黒龍によって、スタンピードが起こされたのだろう。
ジンは『魔拳銃』を構えて、【レールガン】を装填して1発、巨大黒龍の頭の部分を狙って放った。
物凄い轟音を残して極超音速弾丸【レールガン】は黒龍の頭を貫通し”深淵のダンジョン”のある丘をも吹き飛ばして彼方に消えた。
グラシアもケビンも『魔拳銃』の威力といい、ジンの神級魔法【インフェルノ】の威力に驚かされていた。
ジンはシールドを解いて、『空飛ぶ車』に再び全員が乗って、グラシアとケビンを乗せてジョゼフ公爵以下3000人の騎士団が控えている広場までケビンとグラシアを連れて行ってあげた。




