第50話 新たな旅立ち
イリーナとイザベラ、イリア叔母さんは王族派の魔法師特別編成部隊のメンバーになり、王族派、貴族派、中立派の確執に巻き込まれるのをイリーナが嫌い、ハリス侯爵の侯爵夫人にリーダーを任せ、『空飛ぶ車』での移動生活をドールを入れて、6人と『フジ』の1匹で始めた。
当初はハリス侯爵がしつこく止めたが、実戦で魔法師としての技量を3人が伸ばすためにジンと共に色々な魔物やダンジョンにアタックするために移動しながら実力をつけてくるという、イリーナの言葉に負けたハリス侯爵が緊急時には『遠距離通話器』で連絡するのですぐ駆けつけてくれとしぶしぶ承知した。
お店も、魔道具屋ではなく肉屋として衣替えして借り手がついた。
キースの支店との連絡には『遠距離通話器』が有り、ドロシーさんとはいつでも連絡が取れる。
SSクラスのジンと、”ジンと5人の魔女達”の冒険者パーティーの連絡は王都ダルゼの冒険者ギルドに『遠距離通話器』を1台ジン達専用に置いてきたので、『空飛ぶ車』の行き先等は把握できるようになった。
ジンはイリーナと話し合って、時間が許す限り街道を走り、空を飛ぶときは急ぎの場合だけと決め、宿も泊まらず車での生活をする事にした。
王都ダルゼの街をたって、一路西海岸の方に向かって車は進み出した。
運転は基本、疲れの知らないドールに任せ、それぞれのんびり車内でくつろいでいる。
午前中のお茶の時間は、ティラミスとチョコレートケーキそれにオレンジペコを入れてあげた。
食卓も6人が座れるようになっており、トランスミッションのお陰で全く机の上も揺れを感じさせない。
途中グリーンウルフ20匹が襲ってくるが車を止めて、ドールとヒューイが剣で簡単に首を切り落として血止めして回収した。
更にブルーノの街の手前2キロ当たりでハーピーが12羽向かってくるが、ジンの『幻影』によって、全て首を切断されて落下した所を回収した。
ブルーノの手前の平原で、『フジ』を放牧してあげて、昼食をする。
ピザのマルゲリータ4枚とアンチョビ4枚それにエールとジンジャエールを出していつもの5人で食べる。
いつも揃って5人で食べるのは本当にイリーナにとっては幸せそのもののようだ。
派閥から解放された開放感が顔に出ている。
ジンもこれでよかったのかな?と感じていた。
ブルーノに2時半頃着いた。
早速、ジンとヒューイとイリーナが冒険者ギルドに行ってみる。
さほど大きくはなく受付も女性が二人だけいる。
「すいません!このギルドの管轄でダンジョンはありますか?」とジンが聞いてみる。
「この街を出て1キロ南に屋台が3、4軒有り衛兵が2人いるのですぐわかりますよ」ジンが”ジンと5人の魔女達”で潜りますと言って、車で向かった。
”粛清のダンジョン”と看板があり、屋台も出ていて入り口はそれなりに賑やかな雰囲気だ!
ドールが【ライティング】をかけながら全員で降りていく。
先陣はドール、その後ろにイザベラ、イリア、ヒューイの順、ヒューイの後ろにイリーナとジンがしんがりで警戒しながら1階層に降りた。
1階層はおきまりのゴブリンで、イザベラが【エアカッター】で5匹の首をはね、ドールが耳を削ぎ落とし、イリアが【ファイアアロー】で7匹を殺して、ドールが耳を削ぎ、そのまま2階層に進んだ。
2階層は広い野原でファングボアが3頭いる。
イザベラが【エアカッター】を放ったが力が弱く弾き返され、すごい勢いで突進してくる。
ドールとヒューイが前に出て、『雷剣』でドールが、ヒューイは正拳でそれぞれ頭を切り落とし、3匹を回収する。
後ろのイリーナが娘に「イザベラ、もっと魔力を強めに流さなければ相手はゴブリンじゃないからね!あの程度では弾き返されるよ」と叱咤した。
3階層は砂漠ステージで皆が『空飛ぶ車』に乗って、砂上2メートル程上を飛んで行く。
サーチモニターにサンドワームが2匹かかる。
イリアがサンドワームがいる一帯の砂を【ファイアボール】で1000度以上に熱して熱がって顔を出したところを、『空飛ぶ車』からレーザービームを放って、2匹共瞬殺して回収した。
さらに進んで行くと、今度はポイズンスコーピオンが潜っている。
同様に今度はイザベラが【ファイアスプラッシュ】を放って2000度に素直熱するとたまらず全身を表したポイズンスコーピオンを『空飛ぶ車』からレーザービームで3発、頭と胴、それに毒針のある尾の部分を破壊して刈り取った。
4階層は死臭の立ち込める暗い洞窟だ。
アンデッド系のスケルトンが50体、バンパイアが30体、ミイラが20体とぞろぞろ現れてきた。
イザベラがジンがくれた『浄化の杖』に魔力をかなり強めに流し、全てを霧にして霧散させた。
イザベラは【次元ストレージ】に『浄化の杖』と『魔力3倍の杖』それに『マジックスピア』を入れているが、瞬時で選んで出すにはどれか一つを常に持って居た方がいいとその時彼女自身が感じ、それには『マジックスピア』であればイザベラの魔法属性を纏わせることができるため、一番適していると考えて、今後杖代わりにも『マジックスピア』を右手に携えて行動することにした。
それを見て居たジンが「イザベラ、いい選択だよ!今だってその槍で浄化もできたし、魔物が入れば投げつけて殺すこともできるからね、『魔力3倍の杖』は枯渇しそうな時に使えばいいのでほとんど出さなくてもいいし、浄化が槍だけでは弱い時に『浄化の杖』を使えばいいので基本は『マジックスピア』が一番持ち出して携帯するには適しているよ」
イザベラも実戦をして見て、初めてわかったことで、『マジックスピア』であれば、魔法を発することも纏わせて相手を打ち倒せるのでジンからもらっておいてよかったと悟った。
5階層は密林のステージでフォレストモンキーが上から硬い木ノ実をなげつけてくる。
イザベラが『マジックスピア』で、ジンが『幻影』で上に投げつけて全てのフォレストモンキーを打ち取って回収した。
イザベラは自分が武器で相手を倒した実感を初めて感じてすごく興奮して、どうやら『マジックスピア』を気に入ってくれたようだ。
さらに進むとポイズンスネークが紫色の舌をチョロチョロ出して、毒液を飛ばしてくる。
イリアが【ファイアスプラッシュ】を3発、頭部と胴、尾っぽに放ち硬い鱗も破壊して打ち倒した。
イリア叔母さんの魔法力はおとろえていないなぁと感じるジン。
後ろから見るとイザベラもイリア叔母さんもイリーナも高温多湿の為にシャツが汗でかなり濡れてしまっている。
そばにいるイリアなど、ジンが見るとバストに生地がぴったりくっついて、やたらくっきりと美形のバストがジンの目を誘惑して下を向いてしまうので、あとで3人に耐熱、耐寒、耐湿、耐物理的攻撃の付加を施してあげようと思った。
「ジン君、考えてくれてありがとう!私は見せて居てもいいけど、イザベラが前にいるのに、ジン君が私に欲情しては困るからね(笑)」
「イリーナさん、俺の心を読んだの?」とジン。
「ジン君は素直だからすぐに顔に出る」
密林ステージを出たので、すぐに3人に【クリーン】魔法で汗と汚れを取ってあげて、先ほど考えた耐熱、耐寒などの付加を上着に付与した。
6階層は平原ステージでトロールが2体、マナバイソンが3匹いる。
イザベラとイリアが二人で【エアカッター】を2発づつ連発して、足と首を狙って放った。
1発だと躱されるかも知れ無いが2発同時にはなったので見事2体を二人で刈り取った。
マナバイソンはドールとヒューイが剣で簡単に首を切り落とし回収する。
7階層は海のステージでクラーケンがサーチにかかった、2匹いる。
ドールが飛び込んで、次にジンが『竜宮の実』を飲んでから海に飛び込んだ!
二人とも魚と同じスピードでクラーケンに詰め寄りドールは『雷剣』でジンは『煌剣』でクラーケンの顳顬を貫いて、魔石を取り出して葬った。
二人で担ぎ上げて、回収し、車に戻ってくる。
「ジン君、ドールも大丈夫?」とイリアが心配してくれていた。
8階層は岩場のステージで岩竜が1匹巨体だ!ジンが岩礫を避けながら甲羅の上に飛び乗って掌底破を放つ。
イリアもイザベラもイリーナさえも初めてジンの体術を目の前で見せられ驚愕していた。
岩竜は内臓を破壊されて、もがき苦しみながら息を引き取った。
【次元ストレージ】に回収して、9階層に向かう。
火山ステージに赤龍が1匹いる。
イリーナが【アイスロック】で足を凍らせて、赤龍が吐く火炎咆哮を凌ぐ凄まじい【ブリザードスプラッシュ】を放つと全身を凍らせて死んだ。
ジンが【奪取】で魔石を体内から取り出して回収した。
ラストボス部屋だ!鉄の扉を開けるとヒュドラがいる。
ドールが剣で首を切り落とし、ヒューイが切り口を焼いて再生を止め、3人の魔女たちは魔眼にやられないように、【シールド】をイザベラが掛けて防ぎ30分費やして倒した。
罠を確認しながら、宝箱を開けると『シールドの指輪』が入っていた。イザベラ以外のイリーナさんとイリアおばさんに【複製】を施して2個にして渡せば二人とも独自に【シールド】を使えるようになる。
転移盤に皆が載って、1階の入り口に着き『空飛ぶ車』で冒険者ギルドに戻って行った。
素材置き場に刈り取ったダンジョンの魔物を納品して、皆は車で待機し、イリーナとジンがお茶を飲みながら待つこと30分、清算ができて納品書と皆のカードを渡して、履歴を打ち込んでもらう。
「清算金はどちらに入金しますか?」
「イリーナさんのカードにお願いします」とジン。
「それではダンジョンコアと地図代も含めて、白金35枚、金貨32枚、銀貨60枚、銅貨75枚になりました」とイリーナのカードに入れて全員のカードをもらった。
車にドールと『フジ』を残して、食材を買い出しに街の市場に行く。
夕方で市場もかなり混んではいるが然程大きな街ではないのでイザベラを中心に野菜と、肉類、穀物など暫くは買わなくてもいいほどの大人買いをして車に戻って来た。
街の門を出て1キロほど離れた野原に車を止めて、夕食をジンが作る。
外でBBQ形式に炭火焼でファンゴボアやソーセージ、玉ねぎなどを塩をふりかけて焼いて、スープはコンソメスープを『魔法の鍋』で作ってクロワッサンをだして、野外BBQで食べた。
外で食べるのも楽しいものだ。シンプルに塩だけでもとても美味しい!
食べ終わって、アメリカンにしたコーヒーを飲みながら談笑していたら、匂いに誘われたのか、グリーンウルフが20引きほど現れたが、ドールと『フジ』が処理して『フジ』などは夕食として3匹も食べてしまった。
そういえば途中で倒した魔物を清算してなかったのを思い出した。
明日移動した所の冒険者ギルドに行って清算しようと思うジンだった。
「イリーナさん、明日の予定ですが明日はブルーノから西に移動して海岸線にでて海の街に入りましょう!魚や貝類の美味しいシーフードを食べて、冒険者ギルドがあれば清算し忘れた魔物を納品して、クエストでも受けて海岸線を南下して翌日辺りにベルギア公国にでも入ればと思っているのですが・・・」
「そうね、海など見るのは冒険者の昔に見たっきりだわ!シーフードもいいわね。是非そうしましょう」とイリーナが賛同した。
ジンたちは周りに魔物よけを放って、シールドをして車の中でゆっくり寝ることにした。




