第38話 ジン、パーティーを組む
久々に王都ダルゼに戻ったジンとヒューイはイリーナ親子とイリア叔母様に高価な『リフレクションリング』と『魔力増幅リング』の腕輪を3人にあげた。
そのほかに、イザベラには『浄化の杖』をあげ、3人が使えるようにと『転移盤』を渡した。
イリーナからイザベラが魔法特性を4つ持っていると聞かされて、ジンはその魔法訓練でイザベラに付き合い彼女がマスターするのを見てみんなで冒険者パーティーを組むことになった。
早めに朝食を食べて、ドールに店を見てもらって、ジンと3人の女性にヒューイがギルドに来ていた。
「リリアンさん、イリーナさんとイリアの冒険者復帰と俺とのパーティーを組むのでお願いします」
「イリーナさんもイリアさんもAランクで、そうそう、昨日言い忘れてましたがイザベラさんもBランク昇格してますので全員のカードを預かります。それとジン君のもね、パーティー名は?」
「”ジンと5人の魔女達”です」とジンが言う。
「復帰のお金は銀貨お一人1枚なので2枚いただきます」イザベラが昨夜の稼ぎから引いてもらっていた。
「はい、手続きは全て完了いたしました。チームリーダーはジン君で”ジンと5人の魔女達”で登録完了です。依頼は特別枠まで全て受けられます」
全員がカードを受け取り、イザベラは晴れてBランクのシルバーカードに、イリーナとイリアのカードはゴールドカードの新品が手渡された。
「ジン君、私とドールは支店に魔道具の補充をしてくるから、ドールちゃんを借りて行くわね、夕飯までには戻るから」とイリア叔母さんが言って”魔女の道楽”の店に急ぎ足で戻って行った。
「きょうは私が店番してるから、ジンとお母さんとヒューイちゃんでクエスト受けて来たら?」
ジンはそれを聞いて、掲示板を見に行くと王都の東側の森にサウンドラー2匹がいて、その討伐依頼が金貨2枚で出ている。
それを剥がして、リリアンに渡し、イリーナとジンのカードを出した。
「それじゃ、お母様私は店番してるから行ってらっしゃい!」とイザベラは店に戻った。
「イリーナさん、おれに捕まって、ヒューイも行くよ」一瞬で【転移】して森の入り口に現れた。
「イリーナさん、低周波音は大丈夫ですか?」
「ええ、幻惑、幻聴の耐性スキルを持っているからそれは大丈夫よ」
「それでは俺は右のやつ、イリーナさんは左のやつをお願いします」
イリーナは簡単に【エアカッター】の通常威力を2倍にして放った。
勢いよく首が飛んで凄い血が出るので、イリーナは【ファイアボール】で切り口を焼いて血止めした。
一方右のサウンドラーはヒューイが正拳で頭を砕いて瞬殺して2匹を回収した。
3人は【転移】で素材置き場に戻り、納品書を持って、リリアンに出した。
「えええ?もう討伐したのですか?まだ10分も経っていないのに!」と呆れていたが、金貨2枚をイリーナに手渡した。
3人で歩いて直ぐなので、”魔女の道楽”に戻りイザベラとイリーナが店に出た。
「お母様達、早すぎ!まだ10分ちょっとしか経って居ないのに・・・」
「イリーナさんの魔法は錆びてなかったよ!さすが王立魔法学園の教頭さんだっただけは有るな」とジンが関心していた。
ヒューイも店に出て、のんびりしている間ジンが昼ごはんを準備することにした。
ヒューイが好きなカツカレーにする。”彼女ら親子は見たこともない料理で多分面食らってしまうんだろうな?”と思いながら野菜サラダと、食後のデザートにマンゴーを用意して昼少し前に食卓に並べた。
イリーナ親子と叔母のイリア3人の魔法師を仲間に加えてジンは”ジンと5人の魔女達”のパーティー名でパーティーを組むことにしたジン。
イザベラとオークとホーンラビットを討伐して彼女のランクもCからBランクに上がり、イリアとイリーナはAランクに復帰して店が暇な時とかにクエストを受けることにした。
ジンはまだこの世界に来て1ヶ月ちょっとしか経っていないため、レンブラント王国の都市もキースと王都間辺りしか知らないため、今日はヒューイとドールのいつものメンバーだけなので、ダルゼの西側の街の1箇所に行こうと『フジ』に馬車を繋いで1泊2日の冒険にでだ。
最初はイザベラも行くとぐずったが、幸い彼女が作っている盾の修理が締め切り間近で断念せざる得ないとイリーナに説得されて結果3人の旅になった。
目指すのはダルゼから80キロ離れた、ブルーノと言う街だ。
<タブレット>の【GOD】に”レンブラント王国ブルーノ”と打ち込みenterキーをポチった。
『王都ダンゼルより西方約80キロに位置する工業都市で貴族派のリーマン伯爵が統治する人口15万の都市である。北に鉱物が豊かなキルリア山を擁し鉄鋼業、武器製造などが主な産業である。ダンジョンは”傲慢のダンジョン”があり、今現在3階層迄が踏破されており最下層が何層まで有るかは不明で有る』と表示された。
「ヒューイ、王様派ではなくどうやら貴族派の伯爵が統治しているそうだ、あまり派手な動きをしないで美味しいものを食べてダンジョンに潜ろうな」
「貴族に目をつけられなければ良いのでしょ?大丈夫よ」
ジン達は途中の岩場に腰を下ろして、『美食の皿』から回鍋肉と餃子とスープにご飯を出して、食べていた。
天気が良いので、たまには外で食べようとジンが言い出して食べていたのだが、その匂いを嗅ぎつけたグリーンウルフの群れが25頭が遠巻きにジン達を囲った。
ジンは食事を邪魔されたくないので『フジ』も含めて【結界】を自分達に掛けて襲って来れないようにしてヒューイと中華料理を満喫した。
『フジ』を馬車から離してあげて、[適当にグリーンウルフを狩って、食って来て良いぞ]と念話し、ヒューイとジンはお互いジンが【エアカッター】ヒューイが【アイスアロー】で22頭を殺して回収した。
『フジ』が3頭のグリーンウルフを殺して、昼飯用に食べている。
あっという間に3頭を食べて、骨と魔石を残して食べ尽くした。
再び『フジ』を馬車に繋いでブルーノの街に向かい3時半ごろ街に入った。
ギルドの場所を確認しながらゆっくり馬車を走らせていると、ギルドの直ぐ隣に”ともしび”という宿があり、ジンが降りて1泊ツインが有るか聞くと大丈夫だと言われ、『フジ』と馬車を宿の厩舎に繋ぎ中に入った。
「1泊ツインは銀貨1枚です。朝食は5時半から10時まで、夕食は5時から10時まで、ラストオーダーは共に9時半です」
ジンは現金で銀貨1枚を払って、205号室にヒューイと上がった。
シャワーを浴びて、着替えてスッキリし、すこし街を散策しようと歩いてみると、さすが金属工業が盛んな街で武道具の店が所狭しと軒を連ねている。
今度、人工魔物の金属はここに持ってくれば高く売れるかもしれないとせこい考えをするジンは前世の貧乏人の癖が抜けきれてないようだ。
ジンには『煌剣』と短剣の『幻影』が有るのでこれ以上の剣は必要がないが朝練の時に素振りをするバーサーカーが使う大剣の良いのが有れば買うかなと思っていた。
ヒューイに聞いたら、「パパから貰った『神龍剣』以上のものは私にとってはあり得ないからいらないわ」と言われて、とりあえずはアイショッピングをするつもりで順番に店に入って見ていた。
意外に大剣は少なく、自分より大きい2メートルから1メートル80程の長さで、最高に強度を誇るアダマンタイト製の剣があればいいなぁと思いながら2、3軒と見ていった。
ちょうど商店街の終わりに近づいた7軒目の武器屋でジンが目を奪われた剣が長尺の1メートル85センチ、アダマンタイトに更に高度を増すためにダイヤの粉を塗布加工した一品に出会った。
重さも重く40キロ有るのだが、軽くと念じると羽のごとく軽く、そのままの重さでと念じると40キロの大剣の重さだ。
「ご主人、この大剣はいくらですか?」
「これねぇ、硬くて良いのだけど大きすぎて買い手が居ないから銀貨80枚で良いよ!」
ジンは一瞬耳を疑った、金貨100枚ぐらいすると思ったのが銀貨で買える?
「親父さん、それじゃこの大剣、銀貨80枚でください」とジンはカード払いでこのアダマンタイトとダイヤ紛の合金製大剣を購入して自分で『剛力』と名付けた。
「ヒューイ、良い買い物ができたよ!実戦ではそれ程多く使わないけど、朝練にはとても役立つ大剣だよ」
「実戦でもこの硬さならパパ十分使えるわよ」
「なんだ、お前見てわかるのか?」
「当たり前じゃない、私は『神龍』よ」
「はいはい、わかりました、『神龍』さま」とジンはおどけていうが、ヒューイの目には狂いはなかった。
宿に帰って、夕食はマナバイソンのガーリック焼きとケルピーのスープにパンが食べ放題と野菜サラダだった。
安い割に食事も美味しく量もヒューイが満足するのだから相当量だった。
食後部屋に戻りヒューイはいつもの通り食後は直ぐに眠りについてしまった。
ジンは普段あまり使わないスキル【時間軸操作スキル】とか【魔力感知スキル】の訓練をしてみる。
ジンは古代人の資料を読み解いた時に、共に両スキルは限界値を越え測定不能の位置にまでレベルは行っているが戦いで未だ使ったことがない。
【時間軸操作スキル】は100メートルの範囲で5分間時間を止めることができる。
範囲と停止時間を更に伸ばせるのか検証してみる。
頭の中で【時間軸操作】と念じ、最大範囲拡大のイメージを持つ。110メートルになった様に思えた。
ただ、そう感じているが、部屋の中なのでそれが実際なのかはジン自身は未だ確かめられて居ない。
そのまま時間を伸ばす、と念じると6分に伸びた感覚が何となくわかった。
取り敢えず検証はどこか外で行うとして、その動作を繰り返すこと5回、距離範囲は150メートル周囲、時間10分まで行ったところで終了した。
次に【魔力感知】と念じると、直ぐ近くにヒューイの馬鹿げた魔力13000万の魔力を感知、更にホテルにいる20、30前後の魔力の冒険者と厩舎にいるドールの3000の魔力を感じ取っていた。
ジンはこの【魔力感知】を頭で念じなくても本能的に感じるまで鍛えようとひたすら作業を繰り返した。
何回繰り返して念じたかは覚えていないが、ふと気がつくと念じることをしなくても感覚的に頭に自然と入ってくる夫々の魔力と種類、人間なのか、魔物なのか、ヒューイ、フジ、ドールなど瞬時に誰の魔力か感覚としてわかるところまでスキルが上達して居た。
次に初めて試みる【変身】を<タブレット>の項目をポチった!
ジンは蝶々を頭に思い描き【変身】と唱えると、ジンの体は白い煙に包まれ黄色い小さな蝶々に変身していた。
<タブレット>から”変身スキルレベルが100に上がりました”と頭に語ってきた。
変身を解いて、再び今度は鷹を頭に思い描いて【変身】と念じるとジンの姿は部屋の中で翼をばたつかせている鷹に変身して居た。
次にイザベラを思い描いて【変身】を唱えると鏡の前にはイザベラがいる。
ジンは自分の顔を撫でて、イザベラになった自分を眺めている。
声は変わっているのだろうか?小さな声で”ジンくん好きよ”などと喋ってみると、イザベラの声で、ジンは何故そんなことを口走ったのか顔を赤らめケタケタ一人で笑い転げた。
目の前のヒューイにも【変身】してみる、そんな事を数十回繰り返すと頭に【変身】を思うだけで自由に全てのもの、無機質の物体にまで変身でき、”レベルが限界値に達しました。測定不能になりました”と頭に声が響いてきた。
変身を解いて、ジンに戻り横のベッドでスヤスヤ寝息を立てて寝ているヒューイに布団をかけてやりながら自分もベッドに横になり意識を手放した。




