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第35話 デイマール王国王宮にて

デイマール王国の王都シューベルで幼い子を助けたジンとヒューイはそのことから王女オレリアと知り合い、彼女に請われてお城に行く羽目になった。


「ヒューイ、悪いな!もう1日ここで付き合ってくれ」


「しょうがないよ、パパは模擬戦と云うと目がないからね」


宿を10時近くに出て、『フジ』を馬車につなぎゆっくり商業地区から貴族街を抜け王宮の城門前に、来た。


衛兵が「小僧、ここは王様たちがいらっしゃる王宮だ。お主のような者が何用だ!」


「オレはレンブラント王国の冒険者のジンだ。オレリア王女様に呼ばれて伺った。取り次ぎを頼む」と言ったが、最初は胡散臭い3人だとけんもほろろだったが、プラチナカードを見せると急に態度が一変して、一人の衛兵が慌てて王宮の方に走って消えた。


しばらくして、執事が来て「ジン様ですね?オレリア王女様がお待ちかねです。私の後についてきてください」と丁寧に言われ、ジンは馬車から降りて、ドールが馬車を引き、執事の後に続いた。


厩舎に『フジ』と馬車をつないで、城の中に3人は執事について行く。


ジンたちはレンブラント王国で城の中を歩く事には慣れていたので然程緊張はしていなかったが、他国の城内、【サーチ】しながら油断せずに進んだ。


「こちらで、しばしお待ちください。すぐにオレリア王女様がいらっしゃいます」


ジンたちは客室に通されたようで、豪華なソファーがあり、メイドがお茶を持って入って来た。


3人でソファーに座ってお茶を飲みながら待つ事10分ほど、オレリア王女が近衛兵師団長エドモンドを伴って入って来た。


「ジンさん、よくいらっしゃいました。きょうはごゆっくりして行ってくださいね」


「オレリア様、とりあえずはエドモンドさんと模擬戦をさせるおつもりでしょ?」


「あら、サッシがよろしいわね!エドモンドが楽しみにしているので」


「私も、色々な国のハイレベルの騎士や魔法師と模擬戦をして、自分のレベルを上げたいので構わないです」


「実は、父も是非レンブラント王国の至宝ジンさんと我が国のSランクのエドモンドの模擬戦を見たいと、きょうは観戦する予定ですわ」


ジンは昨日エドモンドが馬から降りて来た時にすでに彼の力量は把握しており、この王都のギルドマスターのアリシアよりも少し弱いと思っていた。


彼のステータスは剣技Lv950、スキル幻覚と然程特別なスキルも無いようだ。


「私はいつでも準備はできております。エドモンドさん、模擬刀ではなくアリシアさんと同様エドモンドさんの使い慣れた剣で模擬戦をしましょうか?」


「そうだな、お互い怪我をしても周りには優秀な回復術師がいるから、私もいつも使い慣れた愛刀でお主に挑みたい。それじゃ真剣で頼もう!」


そういって、皆で城のなかにある訓練場に向かった。


客席には王様らしい人が貴賓席におり、隣に王妃様らしき人と王子、周りに重鎮らしき人達と魔法師たちそして騎士団が顔を並べて座っていた。


ジンは上っ張りをヒューイに預けて、戦いやすい格好の軽装になり、王様らしき人の方に向かい一礼して訓練場の中央にたった。


エドモンドは鎧を着込んで、バーサーカーのような大剣を背に収めていた。


審判は何故か冒険者ギルドのアリシアが来ていた。


「なんだ!アリシア、君まで呼ばれたのか?」


「いや、私から志願したのだ、ジン君の強さの秘密を少しでも解明できればとな」


「はっはは、剣技に解明も何も、訓練の蓄積以外無いだろ?」


ジンはエドモンドと中央で対峙してアリシアの合図を待った。


「始め!」と合図すると、『煌剣』を抜いたジンは腰を低くして馬庭念流抜刀の姿勢を取り、居合で決めるつもりのようだ。


審判のアリシアは自分の時と違う構えに驚きつつ、エドモンドを見ると大剣を横に構えて、スキルの幻影で20人のエドモンドを出してジンを囲んで一気に押し寄せる作戦のようだ。


ジンは低姿勢のまま全く動かない。


エドモンド20人が、気合いとともに大剣を翳して迫り来る。


まだ、ジンは動かない。


大剣が横に薙いでジンの体を『煌剣』ごと撥ね飛ばす勢いで、切り裂いたように見えた瞬間ミスリル製の豪華な硬い鎧ごと腹を切られて横に倒れていたのはエドモンドだった。


ジンの方はいつ抜刀していつ鞘に刀を納刀したかアリシアさえも見えなかった。


「勝者ジン」と言って、エドモンドに駆け寄るアリシア。


鎧が綺麗に避けてパックリ空いているのでかなり切られているのかとアリシアが救護班を呼ぼうとすると、「必要無いよ、アリシア。彼は気絶しているだけだから」とジンが言って、エドモンドの背に回って、喝を入れて意識を回復させた。


エドモンドには何が起きたか判断できないでいた。


しかもミスリル製鎧は刀で切られた様にぱっくり裂けているのに自分の腹には打撲の若干の痛みがあるだけだった。


「ジン、君のあの技は何だ?エドモンドに切られる瞬間まで身動きせず君が抜刀したのも見えなかったぞ!」とアリシアが興奮して質問してくる。


エドモンドはまだ座り込んで、あぐらをかいて呆然としている様子だ。


「あれは、馬庭念流一文字居合術と言って相手が斬りかかる瞬間まで剣を抜かず相手の剣が自分に当たる直前に素早く剣を抜いて相手を切り、素早く鞘に収める技術だ」


「私にはジンが刀を抜刀したのが見えなかったぞ?」


「ははは、それは修行が足りないのだ、ヒューイは見えているぞ」


「でも、鎧は切られていたけど、何故エドモンドの体は無傷なんだ?」


「鎧を切って、刀を峰に返して峰打ちにしたからな!」


「えええ?鎧を切ったあと、刀を返す動作をしていたのか?」


「そうだよ、それじゃ無いとエドモンドの胴は真二つに別れているだろう?」


「あとで色々聞きたいが、このあと魔法師たちとも模擬戦をやるのだろう?今度は客席で見させてもらうわ」


やっと、立ち上がったエドモンドと一緒にアリシアは今度は客席に向かった。


ジンは王様に再び一礼して、次は王室筆頭魔法師と二人の魔法師計3人が魔法師らしい黒いマントのフードに身を包み現れて、ジンにお辞儀をした。


今度の審判は宰相殿がやるということで、恰幅の良い50代の髭を生やした人が出て来た。


「レンブラント王国のジン君とやら、私はこの国の宰相を勤めているダミアンと申し。魔法対決は3対1になるが構わないのかね?」


「戦いに人数は関係ないのでこちらは構いませんよ」


「それでは両者離れて合図とともに魔法を放って戦いを始める。両者中央から離れて・・・」


「始め!」


魔法師3人がそれぞれ属性の違う魔法、火、風、水の魔法を唱え始める。


ジンは全く何もしないで、待っている。


ただ自分の身に【スピリットシールド】を掛けて万が一のための保険をかけていた。


彼ら3人が詠唱を唱え終わる寸前、ジンが【ディスペル】と呟き3人の魔法師の魔法を全て霧散させてしまった。


慌てた3人は再び詠唱を始めるが、ジンは3人を【結界】で囲って中の空気を一気に抜いていく、抜きすぎると死ぬので気絶させる程度だが・・・。


彼らに【結界】は見えない。観客たちからすれば魔法師3人が苦しみ出して倒れ気絶してしまったのを呆然と眺めているだけだ。


「ジン殿の勝利」と宰相が叫んだ。


ジンは【結界】を解除して、気絶している魔法師に喝を入れて、正気に戻してあげる。


王様に一礼して、彼はヒューイが待つ客席側に行き、出口に向かった。


執事が再びジンたちを客間に案内して、「しばし、お待ちください。王女様がすぐにお見えになりますので・・・」と言ってお茶を用意して出て行った。


「パパ、相手にならずだね。魔法師3人をどうするのかと興味あったけど氷漬けとか土の壁でとか考えたけどパパのあの方法が一番的確だったね」


「魔法を的確に選択するというのも戦闘の時には大事なのでこういうのを経験するのもいいもんだぞ」とジンがヒューイと話していると、ドアがノックされてオレリア王女、エドモンド近衛騎士団長、アリシアギルドマスター3人が入って来た。


「いやぁージン殿の強さには感服いたしました、何をされたかわからないうちに一瞬で気絶して面目無い!」とエドモンドがさばさばした顔で笑いかけてきた。


アリシアが「魔法師3人をああも簡単に退けた魔法は何だい?彼らの詠唱した魔法が全然起動しなかったし・・・」


「ああ、オレに魔法は無意味なんだよ!【ディスペル】で起動を全て解除できるし、もし起動されても魔法耐性と【シールド】で全く身体には魔法が当たらないからね」


「本当に人外の化け物だわ」とアリシアが呟いた。


「化け物とはひどいな、可愛い青年と言ってくれ。アリシアだってエルフにしたら俺と大して違わない位若いだろう?」


「それにしても、お強い、父が唸ってましたわ!このあと食堂で美味しいものをご用意しておりますので皆様と食事でもしながらお話を聞かせてください」


「ヒューイもドールも人見知りで喋るの苦手だからヒューイは食べる専門で許してくれ、ドールは食べずに横で座っているから」


「ところで、ジン君は今後どんな予定で動くの?」とアリシアが聞いてきた。


「一応この国にあるダンジョンを1箇所でも踏破して一旦ダルゼの下宿先に戻るつもりなんだ」


「それならルルカのギルドに行って、”試練のダンジョン”がまだ誰も踏破してない難攻不落と言われているダンジョンだよ、ルルカには宿もあるからここを明日朝立てば、2日目の夕方前につくわよ」とアリシアが教えてくれた。


昼食会は立食パーティー形式で、ジンのところに、オレリア王女がやって来た。


他にも模擬戦を観戦していた王国の貴族達も立食に参加して居るようだ。


「ジン君、圧倒的強さで誰もジン君に勝てなかったわね」


「王立魔法師筆頭の人が何の魔法を掛けられたのかわからなかったと嘆いていたわ、ジン君は幾つ魔法特性あるの?」と王女はいつの間にかジンを君付けで呼んでいる。


「どうなんだろう、出来ないものがないから全部持っているのじゃないかな?」


「ちょっと、待って!ジン君この世界で人は一つか二つ魔法属性を持てば魔法が使えるかもしれないと喜ぶのよ、うちの筆頭魔法師でさえ3個の属性を持っているのが最高よ!それが全部って、7つの魔法属性を?」


「あまり大げさにしないでくれると助かるな、オレリア王女だけにいうが7つ全ての属性を持っているぞ、どこまでの魔法が出来るか未だ検証半ばなので、色々ダンジョンや模擬戦しながら魔法を習得している最中だ」


「ジン君、【神級魔法】も使える?例えば【インフェルノ】とか・・・」


「【インフェルノ】や【メテオライト】、【タイムストップ】、【エクストラハイヒール】などかな?」


「ちょっと待って、ジン君、貴方死んだ人間も生き返せるじゃない!」


「30分以内ならな、1時間も前に死んだら生き返らせないぞ!」


「それはネクロマンサーでしょ」


「それも出来るけど・・・」とジンは小さな声で呟いた。幸いオレリアには聞こえてなかったが。


そこにオレリア王女の父親つまり王様がジンのところにやって来た。


「ジン君と言ったかのう?儂はこの国を司る、ベルトホルド・ディアナ・デイマールと申す。今後とも宜しくな」


「レンブラント王国の冒険者ジンです」


「ジン君は我が国のSランク2人を簡単に負かしてしまったが、剣の師匠はどなたかな?」


「私は幼い頃から父の弟の叔父さんに教わり鍛えられましたので、剣だけは誰にも負けないと自負しております」


「レンブラント王国とは友好国なので、いつでも遠慮せずにオレリアのところに遊びに来てやってくれ。できたら、そのついでに騎士団に剣を教えてくれると嬉しいのだが・・・、頼めるかな?」


「そうですね、教えるというと云う事は自分にもプラスにもなりますからいつこれるかわかりませんが、来たら必ずお教えします」


「おおそうか!頼むな。そうだ、兵士が君を呼び止めないように、この短剣を渡そう。これは王族が認めた信頼おける友人のしるしなので、この国で困ったことがあればこの短剣を見せなさい」


「そんな大切な物を宜しいのですか?」


「勿論じゃ、オレリアとも仲良くしてくれ、アイツがあれ程嬉々とした表情を見せるのは珍しいことじゃ。よっぽどお主を気に入ったのであろう、頼むな!」


「はい、ありがとうございます」


そう云うと、王様はジンの所を去って貴族達と談笑し始めた。


「ジン君、お父様と何話してたの?」と王女が来た。


「時々遊びに来るようにと言われ、短剣をくださったぞ」


「あら、本当だ!これで門番に止められることなく私のところに遊びにこれるわ、ジン君【転移】が出来ればいつでも会えるのにね!」


「出来るぞ、でも他言しないでくれよ!」


「えええ、御伽噺に出て来る古代魔法よ!それじゃ、お願い、最低でも一月に一度、私に冒険の旅の話をしに【転移】で来て」


「オレの話なんて聞いても面白くは無いぞ、王様に頼のまれた事も有るしな1ヶ月に一度くらいは遊びに来るよ」


「うれしい、私は剣をジン君から習うわ。それまで基本を練習しておくわ」


「オレリア、君は魔法が使えるだろ?かなりの魔力を感じるし、属性も3個も有るじゃ無いか」


「ジン君、分かるの?誰にも言った事ないのに・・・」


「王様は知らないのか?」


「ええ、父や母にも内緒にしているの、誰も私が魔法を使えるって知らないわ」


「どうして、俺が戦った魔法師より上じゃないか?筆頭魔法師になれるじゃん」


「実は、王立魔法師軍団は宰相の息がかかっていて、私はあの人が苦手なの。息子の嫁にと五月蝿くて・・・、だから魔法師軍団に入れられるのは避けているのよ」


「それなら、剣では無く俺が魔法を教えてやるよ」


「ほんと?私、父に言って、ジンの所で魔法修行したいな!」


「来れたら本当はいいけどな、俺の下宿先はオレリアと近い娘さんのイザベラが魔法師で、そのお母さんと叔母さんが居るのだけど二人とも魔法師で、3人で魔道具屋をやって居るんだ、楽しいよ」


「私も魔法の勉強の為と言ってお父様にジン君の所に行かせてもらおうかしら!」


暫くして「ジン君、私を今度弟子にして貰えないか?」とアリシアが言ってきた。


「アリシアさんは教える側で教わる側じゃ無いだろ!」


「私がああも簡単に負けたのは、初めてでそれもかなりの差が有るのを感じた?少なくともジン君の剣捌きが確認出来るくらいまでにはなりたいんだ!頼む、弟子にして欲しい」


オレリア王女が慌てて「駄目よ!ジン君は私の先生になる予定なんですからね、貴女にはギルドマスターとしての重要な仕事が有るのですから」


「王女様、2年間だけ副ギルドマスターに代理を頼むつもりですが・・・」


「駄目、駄目、駄目よ!貴女は我が国のSランクの宝なんだから絶対駄目よ!」


「それでしたら王女様の所にジン君が【転移】して来る時に私も必ず王女様の所に来ますわ」


「それでは私は落ち着いて魔法を習えないでしょ?2日位後にして」


「アリシア、俺が王女様に魔法を教えている間、ヒューイと模擬戦をして居れば?あいつの方がアリシアに手加減しないから、最初は大変だけど、彼女のスピードに就いて行ける様になったら間違いなくレベルは上がっているぞ!」


「そうなの?ほんとね?わかったわ!」


「オレリア王女に『遠距離通話器』を渡して置くから王女から連絡来たら王宮でヒューイと模擬戦をすればいいよ」


「わかったわ!王女様お願いします」


ジンは結局月イチでデイマール王国に来る羽目になってしまった。


翌日アリシアに教わった様にルルカに向かって馬車を走らせている。


少し忙しかったので、『フジ』に頼んで、昼夜を問わず走り、翌日の昼にはルルカの街に着いた。



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