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三段落

リガの街 ユーゴ邸 ユーゴ


ベッドでジネットとリリアーナと一緒に寝ているが、お腹の子供は順調に成長している。よく見ると、小さな小さな足があるのが分かる。婆さんによると大体妊娠3か月と言った所らしい。

幸い2人とも悪阻は酷くないが、肉の焼ける匂いがダメらしい。気を付けねば。肉屋の大将、すまんが買い控えだ。


残念だが、粉ミルクの類は存在しなかった。まあ、勝手な想像だがリリアーナなら大丈夫なはず。しかし、凄い事も分かった。どうやらアリーはお乳を出そうと思えば出せるらしい。万が一2人が出なかった時の事で悩んでた時に教えてもらったが、曰く、「シルキーは侍女としても乳母としても完璧な存在です」らしい。シルキー凄すぎない?今度拝んでおこう。


赤ちゃんの名前だが、性別が分かった後に考える事に決まった。婆さんによると大体5,6か月で分かるみたいだが、俺と違って直接見えてる訳じゃないのに、経験で分かるみたいだ。流石年の功。今度亀の置物をプレゼントしたついでに拝んでおこう。


そう言えばついに冷蔵庫擬きが完成したらしいな。魔法の国で開発されていたが、氷の魔石の調整に手古摺っていたらしい。どうやっても冷凍庫レベルの強さになってしまい苦労してたとか。まあ冷凍庫擬きのおかげで輸送に革命が起きていたのだ。誇ってもいいと思うぞ。

ちょっと見に行ってみよう。


「いらっしゃいませユーゴ様」


「あ、どうも店長さん」


「お邪魔しております」


アリーと一緒に魔道具屋に来ている。こういう電化製品…じゃなかった。魔道具製品はパーフェクト侍女の意見も聞いた方がいい。

それにしても店長から名前を覚えられていた。多分引越しの時に色々買いまくったからだな。

しかし、子供の時電化製品の店に行ったときはワクワクしたが、今でも変わらん。今度1人で来て見回ってみよう。


「こちらが御所望の品です」


「ありがとうございます」


店長さんに連れて行ってもらったけどデカいな。記憶にある故郷のより2,3倍はあるんじゃないか?苦労したんだな。

問題は中の容量だ…。

なんだそこそこあるな。伝導する素材が本体ということはなさそうだ。

が、初期ロット特有のとんでも仕様じゃ困る。アリーと一緒にじっくり見させてもらおう。


ここがああなって、そうなって。

ふむふむ。


「ユーゴ様。なかなかいいのではないでしょうか?」


「だね」


色々見たが特に問題なさそうだ。買おう。

真冬でも冷たい飲み物派の俺としては是非欲しい。ぬるい水に氷を入れてもいまいちだし、最初から凍らせてたら飲みにくいからありがたい。


「これください」


「はい!ありがとうございます!」


新製品だけあっていいお値段だからか、店長もニコニコ。

ところで気になっていたのだが。


「この水差しは?」


「こちらは極小さな氷の魔石を使用しての水差しでして、入った水を常に冷やしております」


「下さい。4つほど」


「ありがとうございます!」


こんなものまで出ていたのか。即買いだ。


「あとすみません、割増しで払うので人手をお願いしたいです」


「はい喜んで!」


屋敷と認定した範囲の物はどれだけ重い家具でも浮かせられるアリーだが、外ではそうはいかない。まさか俺が持ち上げて運ぶわけにもいかないから人手をお願いしよう。


「お帰りなのじゃ」


「た、ただいま」


「ただいま帰りました、おひい様」


玄関を開けると、ナイスバディな金髪の女性が現れて一瞬戸惑ってしまった。アリーは全く動揺してないが、彼女は大人姿になったセラだ。

どうも俺の血を吸ったら体に魔力が溜まって、こうやってたまに急成長するらしい。どうなってんだ?


「おっじゃま…」


冷蔵庫を持ってきてくれた若い衆が完全に固まっている。分かるよ、今のセラは傾城傾国っていう形容そのものだものね。たまに凜もそういう感じになるが、比ではない妖艶さだ。腰まで伸びた金の髪にこれでもかという女らしいラインの体、そして少し細まった目から覗く妖しい赤い瞳は、魔眼を使っているわけでもないのに人を固まらせることができる。


「おお!それはなんじゃ!?随分大きいのう」


「冷蔵庫って言ってね。今ある冷凍の奴よりも少し違った奴」


「ほうほう」


興味津々といった様子で眺めている。大人バージョンでも、中身は変わっていないから可愛らしく思ってしまう。


「それじゃあこちらへ」


「は、はい!」


再起動を果たした若い衆。俺の奥さんだからダメだよ。


「ここへお願いします」


「はい」


特に配線があるわけでもないし、置いたらいいだけなのは便利と言えば便利だ。しかし、結構余裕があったうちの台所が埋まったぞ。改めてデカい。


「それじゃあ私達はこれで」


「ありがとうございました」


お礼を言い見送ると早速セラがつついていた。


「いいのうこの寒さ。わし、ここで寝てしまいそう」


「いやあ、流石にそこまで大きくないからねえ」


「残念じゃ」


夜や、洞窟の冷たさを好む吸血鬼らしくセラは気に入ったようだ。以前言っていたが、流石に冷凍の方は無理らしい。

クーラーが開発されるのを待とう。


「これならおひい様に作ったトマトジュースも無理なく保存できます」


「おお!それはいいのじゃ!」


どうやら前に飲んだトマトジュースが気に入ったらしく、たまに飲んでいる姿を見かける。トマトの方は相変わらずダメみたいだが。


「あ、旦那様お帰りなさい」


「ただいまリリアーナ」


「お出かけ中に徴税官の方がいらっしゃってましたよ」


「え!?」


リリアーナがキッチンにやって来たが、留守中にとんでもない事が起こっていたらしい。


「要約すると、税の申告お間違いなくといったところですね」


「ぬおおおおおおおお!!」


リリアーナが悪戯っぽく笑いながら言うが、とんでもない爆弾発言だ。

そういやある程度纏まった大きな収入が入った奴は、その時に申告しなきゃいけないんだった!俺がデカい冷蔵庫買ってる姿も見てるんじゃないだろうな!?

ちくしょう!今回は俺の負けだ!だが次はこうはいかんからな!


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― 新着の感想 ―
[一言] 宰相に言えばこの前のバジリスク?と骨やら蜘蛛やらのの討伐でお金が貰えそう。 終生免税とかもしてくれそう。
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