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特級来る2

リガの街 sideユーゴ


「いやあ、2人とも久しぶりだな。弟子と姪を連れてくるとは感慨深い」


悪ガキどもが人に教える立場とはなあ。歳を取るはずだ。


「ご健勝のようでなによがっ!?」


「けっぐっ!?」


「こら、家の中で隙を窺うな」


前言撤回。変わらん。


「改めまして、セシルさん、フィン君ようこそ我が家へ」


「お邪魔します!」


「お邪魔します!」


礼儀正しい。感動ものだ。反面教師かな。


「紹介するね。奥さんのジネットと、ルーだ。もう一人リリアーナがいるけど、今お仕事中でね」


「…よろしく」


「よろしくお願いします」


ジネットはまだ警戒している。まあ、今も俺に襲い掛かってこようとしているからなあ。


「3人もいるのですか!ん?リリアーナ?」


「ああ?待てよ聖女の名前なんつったけ?」


やっぱ、知ってたか。


「そうそう、ちょっと前まで聖女をやっててね」


「なんとまあ。ついでに聖女を見ようかと思ってましたが、奥様でしたか」


「急に3人も嫁ができるとか頭うっ!?」


「うるさい」


相変わらずこりんやっちゃ。


「ああ、そういえば手土産に酒を買ってきてましてね。フィン」


「はい!」


おお!嬉しいねえ!


「ありがとうな。大事に飲ませてもらうよ」


「しかし、奥様が聖女となると、少々面倒なことになるかもしれませんね」


「はっはっ。だな」


「ん?どういう事?」


「聖女を一目見ようと、何人か特級がこちらへ来ようとしてましてね」


ええ…。


「なんでまた…。ごめん2人とも、帰ってきたばかりだけど、リリアーナの所に行ってくるね」


「お気を付けてくださいね、あなた」


「はい!いってらっしゃいませ!」


いくら特級でも、街中で騒ぎはそう起こさんとは思うが…。


「あっはっはっ!あなただがあっ!!?」


こいつら見てるとなあ…。


◆   ◆   ◆

sideフィン


師匠達もユーゴさんに付いていくようだ。

単なる地方都市と思っていたけど、リガの街は結構にぎやかで意外だった。


「ぐっ!?」


「があっ!?」


「ええい、懲りん奴らめ」


時折、師匠達の頭がブレている。

話を聞いてると、どうやら師匠達がユーゴさんに仕掛けようとしているみたいだけど、その度に、頭がブレている何が起こっているかさっぱり分からない。ユーゴさんはデコピンだと言っているが、デコピンで?


あれ?あそこにいるのダレルとパオラじゃないか?聖女様を見に来たのかな?


「ちっ。ダレル」


「ん?くそエドガーかよ」


「ああ?糞ガキ共また俺に泣かされたいのか?」


この3人、会うたびに喧嘩になるんだよね。


「殺されたいのエドガー?」


「死ねよ」


「はっ、ボコられて泣いてたのもう忘れたのかよ」


ダメだ、これはまずい。


「【ひか】え!?」


「【ひか】なに!?」


「こら、街中で唱えるな」


なんだ!?高まった魔力が霧散した!?


「お前今何をした!?」


「内緒だ。さあ、行った行った。目立ってるぞ」


言い争いに、周りの人達が注目し始めてる。


「くそ、パオラ行こう」


「ちっ」


よかった。街中で騒動は起きなかった。


「なんだ?やぐうっ!?」


「煽るんじゃない」


「今のは何をしたのです?」


「ん?魔力を吹っ飛ばしたというか何というか…」


「そのようなことが…」


いったいどうやったらそんなことが。


「いってえ…。おいこら!俺にそんなの使った事ねえだろ!」


「んん?そうだったか?」


「こっち見やがれ!おい!」


「はっはっは」


◆   ◆   ◆

sideユーゴ


いやあ、昔の悪ガキ共を思い出すような二人だったな。懐かしい。

さて、リリアーナを見つけたはいいが様子が変だぞ。


「でも聖女様、あたいみたいな戦う事しか能のない奴が今さら結婚なんて…」


「いいえマイラさん。出会いは意外な所に転がっていたりします。私だって、神と教会が全ての人生でしたが、今では幸せです。さあ、涙を拭いてください」


「そうだぞ、マイラ。元気を出せ」


「聖女様…レイナルド…」


お悩み相談というか結婚相談というか…。あの二人多分特級だよな…。

流石は元聖女だ…。


「邪魔するぜ」


「ブラッド!いまあたいが聖女様と話してんだ!」


「今立て込んでいる」


おっとまた出たぞ。


「何か御用でしょうか?」


「いやあ。やっぱりいい女だ。どうだ?俺のものにならないかい?」


おっとそれはダメだ。


「すみません。私、人妻でして。お引き取り願います」


「なに!?そいつは悪いことを言った!忘れてくれ!邪魔したな!」


「分かって下さってありがとうございます」


誘い文句のわりに、聞き分けいいなおい!

相談してた特級だけじゃなくて、悪ガキ共もポカンとしてるぞ!

やっぱ、特級って変なの多いな。


◆   ◆   ◆

さて、リリアーナも家に帰ったが、どうも悪ガキ共が遊びたいらしい。

夕食に誘ったが断られて、街から離れたところに連れていかれた。


「今度こそてめえをぶっ殺す!」


「今日こそ切らせて頂く」


「だから殺そうとするな」


はは。本当に変わらん。

よしゃ。かかってこいや。


◆   ◆   ◆

sideセシル


どうしよう。叔父さん達やる気満々だ。気迫で肌が痛い。

私達には、離れて見てろって言ったけどこのくらいなら大丈夫だよね?


「かかってこい!」


叔父さん達速い!


「【凍れ】!!」


「【斬る】!!」


え!?そんな初歩的な技で!?


■■■■■■!!!!


目が!?それに何この音!

技の結果なの!?

ユーゴさん死んじゃったんじゃ!?


「はっはっはっ!!ほんとに腕を上げたな悪ガキ共!」


生きてるの!?嘘!?


「なら死ねやあああ!!」


「いったいどれほど!?」


「そら行くぞ」


消えた!?

「っっがああ!!?」


「ぐっう!?」


叔父さん達吹き飛んだあああ!!??


「おじさん!!」


「師匠!!」


生きてる!


「いやあ、悪ガキ共め。マジで殺しにかかってきたな。はっはっ」


なんで無傷なの!?


上の服は無くなってるけど、傷一つないなんて!

化け物だ!?


「よし。起きたら酒だな。二人とも付いてきてー」


ええ!?というか足を持ってるから頭があちこちに!?


「ユーゴさん!叔父さん達の頭が!」


「大丈夫大丈夫。こいつらくらいになったら、鉄よりよっぽど硬いから」


いやでも!?


「はっはっはっは」


あ、置いてかないでください!



人物事典

"氷と冬の魔人"エドガー:北の国の名門に生まれた次男。幼いころより才能を発揮し、一族始まって以来の天才児ともてはやされた。事実、人間種の中では最高峰の戦闘力を持っており、特に氷の魔法に関しては、魔法の国の最高導師ですら及ばない。

性格は傍若無人を絵に描いたような人物であるが、兄から預かった姪の成長を願っているなどの一面もある。

家の事は、兄がいるから心配していないが、それでも近況を報告する手紙は欠かしていない。

特級冒険者の中でも最強の存在であり、国家存亡の危機が起こった際には、真っ先に名前が挙がると目される人物である。

ー空気が凍る 水は流れる事を許されない 魔人が来たー


"剣の見えない剣神"カーク:騎士の国出身で、騎士の家に生まれるも、騎士道精神よりも剣の事を追い求めて、国を出奔。普段は常識人であるが、未知のものに対しては、切れるか切れないかで判断するなど、特級の例に漏れず変人でもある。

剣を振ると、大多数の特級ですら見ることができず、また、いかなる物も切断してしまうため、エドガーと並び特級最強との呼び声が高い。

ーこの前カークに切られた魔物、マジで気が付いてなかったからなー


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― 新着の感想 ―
[一言] ブラッド良い奴じゃん。多分落とした女にたいしても相当面倒見が良いんだろうなとか想像してる
[一言] ブラッドくん常識的で優しい世界。 肩肘張らず読める世界観好きです、これからも楽しみにしてます。
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