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たちあがってしまったかいぶつたち

リガの街 sideジネット


「ほらコレットー。こっちだよー。パパはこっちー」


「さあコレット。パパの所へ行くのよ」


「あう!」


「おお凄いぞコレット!速い速い!」


這う事を覚えたコレットは、日夜屋敷の中を動き回っていた。

今も夫の声に反応して這って移動している。


「おおクリスも来たかあ!そおら高い高い。ん?んん!?」


「あなたコレットが今」


「すごいぞコレット!今立っちしようとしてたね!」


カーペットに座っている夫の膝まで辿り着いたコレットが、膝を支えに立ち上がろうとしていた。流石にいきなりは無理だったようで、体勢を崩して膝にもたれかかってしまったが、もう立ち上がろうとするなんて。


「クリスも出来るかなー?そうそう、パパのお膝に手を置いてー、おお!クリスも!」


「まあクリス。凄いわ」


クリスの方も同じように体勢は崩したが立とうとした。


「コレット。ママのお膝でもやってみて」


「そうだコレット。上手だぞー」


「あー!」


笑顔の娘が私の膝元まで這ってきて、膝の上に乗ろうと段々と手が上に置かれるにしたがって、足腰も高くなり始める。

夫の方はコレットを誉めながら写真を撮っている。


「あうー」


「ふふ。凄かったわよコレット」


やはり体勢を崩してしまった娘を抱き留めて褒める。


「いやあ凄かったぞ2人ともー。ご褒美の高い高いだー。へっへっへっへっ」


夫が娘を持ち上げるが、興奮した娘の足で顔を蹴られている。しかしそんな事気にもせずに笑い続けていた。


「わん!」


「にゃー」


「おお!ポチ、タマ!凄いんだぞ!コレットとクリスが掴まり立ちしそうなんだ!」


夫の言葉を聞くなり、タマがコレットの前に胴体が来るように移動して来た。


「はは。毛を引っ張っても痛くないから、掴んでみてだってさ」


横を見ると、ポチの方もクリスの前に立っていた。


「コレット。タマが掴まって立ってほしいそうよ」


「あー!」


夫から降ろされた娘が、タマの胴体に手を伸ばして掴もうとする。

少しづつ腰と足も上がり始めた。


「お?お?」


「コレットもう少しよ」


「まあクリス」


ゆっくりゆっくりと体が起き始めた。


「おお!立った!凄いぞ!」


「頑張ったわねコレット」


「まあクリス。なんて凄いんでしょう」


タマにもたれかかっている形だが、確かに娘が立っていた。

夫はやはり大喜びで写真を撮っている。以前リリアーナが書斎の本棚が埋まる心配をしていたが、どうも現実になりそうだ。


「あれ!?立っちしてる!」


「おお!」


皆で喜んでいると、ルーとリンがリビングに入ってきて驚いている。


「きゃー!今一歩だけ歩きましたよ凜ちゃん!」


「ああ!見た!」


確かに娘達は、入ってきた2人に近寄ろうと一歩だけ足を出した!


「ふふ。お疲れ様コレット」


「凄かったわクリス」


だが流石にそこで力尽きたようで、尻餅をついてしまいそうだったので抱き留めた。


夫は無言でひたすら写真を撮っている。


「わー!コレットちゃん早いですねー!」


「あ、こらクリス。私のズボンは食べ物じゃないぞ」


一度座った娘達だが、今度は這ってルー達の下へ向かう。皆が甘やかすせいか、誰かの顔を見れば向かうようになっていた。

今も彼女達に抱き上げられて嬉しそうだ。


「おや皆ここにおったのか」


「お茶をお持ちしました」


「あ!」


「ああ!」


セラもアレクシアもやってきたので、皆揃ったことが分かったからか興奮してバタバタしている。


少しルーにコレットを任せてお茶にしようか。



「あ!」


日の光を浴びるために、コレットを連れて日中にも散歩をしているが、この娘は夜に散歩した方が元気で、昼夜2回の散歩をしている。

庭には明かりが幾つかあるが、それでも普通の幼子には見えないはずなのに、庭にいるポチの姿をちゃんと捉えているようで目が追っている。


私がダークエルフだからコレットも遺伝して夜目が利くのだろうが、恐らくそれだけではない。この子は夜に愛されている。月の神に名を付けられた私よりも更に。

自分で身を守れるように、ダークエルフの業を教えるつもりだから、長ずれば歴代でも、最も偉大な夜の狩人として名を馳せるかもしれないが、出来ればその業を振るう機会が無いことを祈りたい。だが、自分にはしがらみが大きすぎる。親の因果が子に祟るなんて…。


「大丈夫さジネット」


「あなた?」


「リリアーナもだけど、子供の将来を考えて不安になる事はないさ。お、…いや、俺とジネットの子供なんだ。何かあってもきっと乗り越える」


「あなた…」


「ほら笑顔笑顔。コレットも見てるよ」


そう言われ腕の中にいる娘の方を見ると、確かに私の方をじっと見ていた。ひょっとしたら心配しているのかもしれない。


「ふふ。ありがとうコレット」


「あ!」


意味が分かっているのか分かっていないのか、笑顔を見せてくれる娘に微笑み夫と一緒に散歩を続けた。


ショートコント


???「どっちかってっと、主人公の方が因縁多いよね?」


???「あるっちゃああるけど…、ほとんど無いぞ…」


???「昔も色々やらかしたんだろ?なんで無いんだ?」


???「因縁持ってる奴がほとんどこの世にいないから…」


???「…」


ーある次元での会話ー


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[一言] (因縁ごと消し飛ばしやがったコイツ……)
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